カテゴリー「8.勉強会・研究会(社内および社外産官学活動)など」の投稿

2011年2月22日 (火)

【社内マクロ経済勉強会】「政府の通貨発行特権」議論は反知性?

 明日(2011年2月23日〔水〕)早朝に1時間ほど、また社内のグローバル・マクロ経済勉強会を実施します。その際に社内関係メンバーに宛てたeメール(一部加筆修正したもの)を貼っておきます。
 年度末になり、慌しくなりましたが、一通りGW連休頃までには終えたいと考えています。

=====≪quote≫
 ご返信が遅れました。今回も1時間ほど、皆さんと勉強したいと思います。私は大丈夫です。

 今回は、前回の財源確保の第2の方法(日銀の直接引受)に続き、「財源確保の第3の方法(政府紙幣の発行)」を取り上げたいと思います。

 以前も書きましたが、この方法はある意味劇薬ですが、今の日本経済には、物凄く効果があると考えています。このように考える“一流”の経済学者が内外には少なからずいます。
 ただ、国家の通貨発行特権(シニョリッジ)を用いる方法ですので、歴史的に「国家」と対峙してきた「中央銀行」との確執が議論になるところです。

 決して、大学や大学院の経済学の教科書や授業では、まず取り上げないテーマです(私が客員教授を務める大学はその例外ですが)。
 何となれば、元大蔵省出身の早稲田大学のN教授の言葉を借りれば、そのようなことを採り上げること自体が“反知性”という代物だからです。
 しかしそこには、もっと客観的に判断されるべき重大なメカニズムが絡んだ問題が横たわっています。

 最近の、マスコミ報道によるイスラム陣営の民主化の動きの背後に潜むものにもっと関心を向けるべきでしょう。
 FacebookなどのIT空間内での、単なるコミュニケーション(民主化連携の動き)が契機にはなっていると報じられていますが、もっとその動きの背景には大きな思惑が動いているようにも見えます。
 アジア新興市場をはじめ、グローバル市場の今後の動きを知るには、教科書やマスコミではカバーされない領域・事項が厳然と存在しています。
 かつてマッカーサーは日本人のことを「12才の少年」と表現しましたが、“少年”であれば、知る必要のない世界でしょう。

 欧米人が自らのことを指して言う「近代文明の尺度で測れば我々は45才の成熟した人間」まではすぐには行けず(?)とも、この勉強会を通じ、そのような世界や核心的なメカニズムのことについて、少なくとも「二十歳」を超えた程度の“大人”の知識を得ておくことが、当社のビジネスにおいても(日本にとっても)極めて大切だと、常日頃感じています。
=====≪unquote≫

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2011年2月 8日 (火)

【社内マクロ経済勉強会】年金財源と日銀の国債直接引受

 明日の社内早朝勉強会に向けたeメール返信の抜粋です。ここにメモしておきます。

=====≪quote≫

> 明後日の8時半からの、マクロ勉強会開催の連絡です。
> 明後日は、お時間大丈夫でしょうか?

(略)

 ご連絡有り難うございます。大丈夫です。

 今週水曜に1時間ほど、参加できる皆さんとまた一緒に勉強を続けましょう。

 前回の「増税の意味・年金・日銀引受」うち、次回水曜は「年金・日銀引受」のことを取り上げたいと思います。
 資料は前回のものを使いたいと思います。

 年金については、私たちは厚生年金受給者としての扱いになりますが、ここでも財源が問題視されています。

 財源の問題は、米英の中銀がとっているような国債の「日銀引受」による、事実上の無利子国債発行による方法であっても、わが国の場合は何の問題ありません。
 何となれば、何度も書いていますが、デフレ不況下(NRIのリチャード・クー氏の言葉を借りれば「陰の局面」)にあっては、デフレギャップがわが国の場合膨大ですので、一定期間ある種の「無税国家」(米FRB総裁「バーナンキの背理法」と呼ばれるもの)を実現できるのです。

 

 これまでの経済学もしくは財源問題への解決策とは、マイルド・インフレ下(陽の局面)を中心に扱う学問またはアプローチでしたので、全くの的外れな政策(例:競争促進による生産性向上、金融緩和、民営化など)が打たれ続け、結果、経済は低迷したままでした。
 陰局面で打つべき経済対策は、総需要喚起の政策といった正反対のものになります。

 経営学はマクロ経済に規定されることしばしばですので、このデフレ下(もしくは陰局面下)の経営学(経営コンサルティング)が求められるところです。

 その場合、内需喚起が中心になりますので、本来は、ある種の近隣窮乏化政策(相手国の需要を不当にも収奪してしまうもの)である、外需頼みのアプローチ(考え無しのグローバルビジネスの展開)は、現下の経済状況にあっては、信じがたいことでしょうが、実は間違っているのです。少なくとも、様々なことを考慮したグローバル展開が求められるところです。

 このことを知らずして、この方向へ舵を国としてとり過ぎると、必ずしっぺ返しを受けることになるのが歴史の示すところです。
 例えば、短期では比較的軽微ではありますが円高という罰として、そして中長期的にはブロック経済を通じた、より深刻な紛争・戦争の勃発などとしてです。

 ただ、「年金と財源」の話に戻しますと、次回は、そのような財源確保の問題というよりも、いかに年○官○という人々が、国民のお金をいかに○い物にして来たかを主に取り上げたいと思います。
 そして、財源確保の鍵を握る、「日銀引受」についてです。○銀はバランスシートが膨らむので嫌がりますが、この問題は、毎年3万人も自殺者が出続けているような悲惨な国民経済を立て直すこととの、どちらを優先するかで比較すべきでしょう。

 これを終えた後は、いよいよ世界経済がどのような局面に今後は入って行くかの考察になっていく予定です。
 さらにその後は、環境・エネルギー問題や食・農業問題を取り上げ、この様子見の勉強会も、年度内もしくは連休前には一区切り付けたいと考えています。

 では、楽しみにしています。
=====≪unquote≫

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2011年1月24日 (月)

【マクロ経済(4/4)】国のGDPと乗数効果が及ぼす範囲

 これまでの3回分の続きです。今回はその4回目で、これで終わりです。

=====≪quote≫
> この問題の根本は、国のGDPと乗数効果が及ぼす範囲(バウンダリー)をどのように
> 考えるのか?だと思っておりますが、認識としては正しいのでしょうか。
> この辺りの問題の整理で悩みます・・・

⇒ 「バウンダリー」が、その「国」の内外の境界を指すのでしたら、重要な疑問だと思います。

 GDPとは、国民総生産のことですので、日本なら日本だけの総生産額(付加価値の合計)です。他方、グローバル経済という開放経済にあっては、再びGNPで見るべきという人々も最近では出て来ています。

 つまり、乗数効果が国外は漏出してしまうのではないかという視点です。
 得られた所得がにより消費される波及経路で、消費が海外でなされる部分は、国内経済(GDP)には寄与しなからです。ただ、海外での消費、すなわち輸出 (国内での漏出、輸出国での需要収奪)、もしくは投資(海外の金融商品や不動産などを購入)することで、程度にもよりますが、円高傾向になり(国際競争力減)、結果、景気回復しないとする、マンデル=フレミング効果などをあげつろう人々もいます。

 しかし、このマンデル=フレミング効果は、かなりの制約条件下にあって成立するかどうかと考えられる代物であり、円高そのものは、抜本的には経常収支問題(大幅な黒字の結果)です。

 勉強会でもやりましたが、国債購入で民間資金減(Liquidity減)により相殺され(LM曲線左シフト)、結果、金利上昇が起こり、円高になるよう なことは、少なくとも、日本の今のデフレ経済ではまず有り得ません。実際、いくら国債を発行しても、依然ノンリスク債権とみなされ、従って買手が国内に十分いますので、金利は一向に上昇しませ ん。

 他方、経常収支が過多である場合、特段の為替介入などを行わない限り、円高基調となります。
 しかしそれでも、内需をしっかりコントロールしていけば、本来円高になる懸念は本来殆どありません。

 別の基本的な視点を、念のため示します。
 ケインズの乗数効果とは、所得の波及効果であり、所得は、「生産(国民総生産)=分配(国内所得)=支出(国内総支出)」の三面等価でみるGDPの構成要素です。GDP=総所得ともなります。

============================
(注)GDPの
三面等価に関する基本的な事柄:

* GDP = 生産額から原材料の投入額を引いた付加価値の総額

* 生産(国民総生産) :
 企業は「生産」活動により原材料を加工し、価値を付加した製品を供給。
 他方、「生産」につき、生産要素(労働、資本、土地など)に対し、付加価値から対価(賃金、利子、地代など)を支払います。

* 分配(国内所得) :
 付加価値から対価を差し引いた利潤が、企業の「所得」となります。
 付加価値は、最終的には必ず誰かの「所得」となりますので、GDP(国民総生産)=「所得」の総額(総所得)となります。

* 支出(国内総支出) :
 支出には、経済主体別に、大きく3種あります。
 消費支出家計が財を購入する)、投資支出企業が機械設備として需要するなど)、政府支出政府が公共事業やその他の公務のために購入する)です。
 これら「支出」=国内総支出。
 「生産」された財は、結局誰かによって購入されます。売れ残りは、在庫投資として投資の中に含まれますので。
 従って、国内総支出=GDPとなります。

* 以上により、「生産(国民総生産)=分配(国内所得)=支出(国内総支出)」の三面等価となります。
 ============================

 最初の経済主体が「生産」して得た「所得」を原資にし、それが「支出」(家計の消費支出、企業の投資支出、政府支出)につながっていく過程が、乗数効果ですね。

 例えば、バイアメリカン条項により、米国政府が、何かの政府支出(環境関連などの公的な投資や、郵便サービスなどの公的なサービスの購入、政府による請負契約)が成された際、その資金を得た民間企業などに所得が生まれ、ハードウェア的なものや複雑かつ大規模なシステム(例:都市・農村部連携新型コミュニティ開発、石炭ガス化複合発電またはコンバインド発電システム〔燃料電池+マイクロ・ガスタービン〕、資源探索・開発・商品化一貫システム、宇宙開発など)であればあるほど、それが他の経済主体まで波及します。

 他方、その企業や個人のみで生産が可能であり、それ以上他社に効果が及ばないソフトウェアなどのサービス性の高いものですと、そこで波及効果は終わります「経済のソフト化」が進むと、このレオンチェフ効果は小さくなっていきます。日本経済で「波及効果」が小さくなったのではないかという議論は、ケインズ乗数のことではなく、このレオンチェフ乗数のことです。両者の区別を知らない人々は少なくありません。

 授受されるその財・サービスによりますが、大型プラントや巨大なシステムなどでは波及効果が続きます。その続き方として、〔A〕関わる経済主体の連鎖が長い・複雑なものもあれば、〔B〕予算単年度を超え数年がかりで波及するものもあるでしょう。

 マクロ的にみれば、米国の場合、消費性向が7割ほどありますので、乗数効果=1÷(1- 0.7)≒3.3近くあるはずですし、日本の場合は6割ほどですので2.5近くになります。
 ただこの効果が出るには、モノによりますが2~3年ほどはかかるでしょう。毎年、同程度の有効需要支出が成されることで、この効果がもたらされます。

 この通り、「乗数効果が及ぼす範囲」とは、財・サービスの性格により、〔A〕経済主体の面々は変わりますし、また〔B〕時間的な広がりも変わります。

 ついつい長くなってしまいました。しかし、このあたりのことは重要なことだと思います。
=====≪unquote≫

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【マクロ経済(3/4)】政府支出と内需喚起策と経済学者の奴隷

 続きです。

=====≪quote≫
> ②政府支出とバイアメリカン条項
>
> 今日のお話にあった、デフレ景気化の政府による財政支出の有効性に関連して、
> アメリカ政府が現在行っている政府支出における原料調達をアメリカのメーカーから
> 行うというバイアメリカン条項に関して質問があります。
>
> 政府支出における、原料の調達はレオンチェフの乗数効果で考えられると思います。
> この観点から見ると、バイアメリカン条項は国内需要創出の観点からより有効な
> 施策であると思います。ただ、一方でそのような条項は保護貿易主義の
> 引き金になりかねないとも思います。また、長期的な観点から見れば、非効
> 率な市場からの調達を行うことによる、長期的な競争力の低下などの問題を
> はらんでいるように感じます。
>
> 実際この場合、バイアメリカン条項による「レオンチェフの乗数効果による
> 景気刺激策」と「長期的な視点での市場の効率性」のトレードオフは
> どのように捉えるのでしょうか?
> 個人的には、長期的な市場の効率性を重視するべきかと思います。
> (私は、リバタリアンに共感しているので・・・(笑))

⇒ 政府支出が最初の契機(車輪の第1回転目)となって、それを受け取った経済主体(一般企業)が、ある事業やサービスを行う上で必須となる原料・部材を 調達し(その企業の原価を構成)、その残りが同企業の所得となりますが、他の経済主体からさらに原料・部材を調達するといったように、特に売上高に関し次 々と波及する効果をレオンチェフ効果(第1次波及効果)と言いますね。

 そして、当該企業が得た所得を、その企業や従業員(消費者)が消費する、その波及効果が、勉強したとおり、ケインズ乗数効果(第2次波及効果)となりますので、「バイアメリカン条項は国内需要創出の観点からより有効」と言えましょう。別途、後述します。

 ただ、「そのような条項は保護貿易主義の引き金になりかねない」の件、さほど心配する必要はないでしょう。バランスの問題だと思います。

 確かに、米国のみならず欧州諸国のような大需要国(新興国にとっての輸出市場)が一斉に、保護主義になれば、深刻な事態をもたらします。

 しかし、大供給国の中国や日本などは、“リーマン・ショック”後の米欧市場の需要減退期にあっては、すぐに米国から欧州へ、そして最近では欧州から新興国市場へと軸足を変えています。
 他方、先進国からは、それら新興国への資本投資や資本注入(資本収支である直接投資や証券投資に加え、経常収支に分類される、ODAなどの経常移転赤字)がなされ、新たな需要を創っています。

 米国は自国の実物経済への梃入れ(輸出増と内需拡大)について、オバマ政権になって熱心になりましたが、有り余る金融資本を上述の通り、新興国へ注ぐことで、自国企業や多国籍企業の後押しをしています。

 他方、米国でも国内の雇用問題は深刻ですので、政治家が自身の得点を稼ぐ意味でも、バイアメリカン条項による自国購買力増強、ひいては自国企業の元気を取り戻すことのポーズとなるシグナルを、例えば、ウォール街などへ送っていることは自然な流れでしょう。
 失業対策をしているというポーズを何としてもとっておかないと政権運営としては大変であり、それは他国からの保護貿易主義批判など意に介さないぐらい深刻だということだと思います。それでなくとも、経済政策の司令塔であるサマーズ(Lawrence Henry Summers)国家経済会議(NEC)委員長らの辞任が年末(2010年)に相次ぎ、オバマの政権求心力はかなりの程度失われつつあります。

 大きな内需を抱える国(特に米国や日本)においては、自国経済の内需をコントロールすることが重要です。米国は世界最大の内需大国(日本は2番)です。

 米国も、“リーマン・ショック”後にデフレに突入し、企業や金融機関は、負債デフレ(バランスシート不況)に陥っていますので、米国内に有望な投資案件が見出せず、借金返済に注力しつつあります。これではお金が回らず、リバタリアンが信奉するような市場メカニズムがうまく機能しませんので、経済が立ち行 かないことになります。

 金融恐慌後の構造的なデフレという現象(真に非効率な市場の典型的な現象)を、甘く見ることはできません。市場は既に不均衡な状態にありますので、均衡を前提とする、伝統的なLéon Walras流の『一般均衡理論』のアプローチでは解決できません。もちろんミルトン・フリードマン流のアプローチでも無理です。かえってデフレを固定化することになると思います。

 特に恐慌に近い構造的なデフレ経済には、ケインズ流のアプローチに加え、ケインズも十分扱っていなかった、金融資本主義がもつ本質的・内在的にもつ矛盾解決策を示している、ハイマン・ミンスキー流のアプローチが不可欠でしょう。
 市場メカニズムなる自浄作用は、大きく失われていますし、過度な金融経済による悪弊が、実物経済の市場メカニズムを狂わせています。この現代の金融経済のもつ不具合の遠因は、マネタリスト派の元祖であるフリードマンのアプローチにあったとも言えるでしょう。

 「長期的な市場の効率性を重視するべき」なる言は、フリードマンなどの主流派経済学が、ケインズと議論を戦わせた時のものと同じですね。
 それには既にケインズが「長期的にはみな死んでいる」という有名な言葉で返しています。もはや古典的なやり取りとなっています。経済学の使命は、短期の現実の経済的課題を解決することにあると思います。長期的には、現下の当事者は誰も存在していないのですから、そのような学説・アプローチは、真摯なものとは言えないでしょう。

 繰り返しですが、、不均衡市場に直面している、今の現実を解決できない経済学は無用のものでしょう。経済学は、実務的な社会科学でもあるべきだからです。

 ケインズは、『一般理論』(1936年)の最終章(第24章)の最後(本文の最終ページ)で、次のようなことを言及しています。
 ≪経済学者や政治哲学者の思想は、それらが正しい場合も誤った場合も通常考えられている以上に強力である。実際、世界を支配しているのはまずこれ以外のものではない。誰の知的影響力も受けていないと信じている実務家でさえ、誰かしら過去の経済学者の奴隷であるのが通例である。虚空の声を聞く権力の座の狂人も、数年前のある学者先生から自分に見合った狂気を描き出している。≫

 最後の文面は、1933年に政権をとったナチス・ヒトラーや、リバタリアンのハイエクらが毛嫌いしたスターリンらを指すのではないかと思います。

 私も昔は、ハイエクが批判の矛先を向けた共産主義のことを勉強して、ハイエクの主張には大いに鼓舞されたものです。残念なのは、その共産主義に振り下ろしたハイエクの鋭い大鉈が、勢い余ってケインズまで斬ってしまったことです。それでハイエク信奉者がケインズに興味を持たなかったことが、世界にある種の悲劇や誤解を生んだ温床になったものと思います。この辺りのことは、丹羽春喜氏(大阪学院大元教授)が著書の『謀略の思想「反ケインズ」主義』(2003年)で的確に描いていると思います。

 前半の文章は、現代の日本でも十分通用するものではないかと感じます。その日本人が、一般人ならともかく、政治家や官僚であれば、直接私たちの生活に関わる、多大な影響を及ぼします。

 また知的ワークに携わる専門家・プロフェッショナルであれば、それはまたそれで関係する人々を、正しくも誤った方向にも引っ張って行ってしまいかねない恐れがあります。その意味で、自戒の念を込めて言えば、まだまだいろいろな考え・思想を知り、それを勉強していくことに意味があろうかと思います。
=====≪unquote≫

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2011年1月21日 (金)

【マクロ経済(2/4)】日本は既に十分“小さな政府”

 続きです。

=====≪quote≫
> ①日本の小さい政府に関して
>
> データで裏付けされた、日本政府が既に小さい政府であるとの
> お話はかなり意外でした。
> 実際、直感的に感じる人員の多さ(あくまで、頭数として)、
> 公共サービスの充実ぶりを見ると日本の政府がアメリカなどの欧米先進国より
> 小さいという事実には疑問があります。

⇒ 専門家か、もしくは特別な関心でも抱かない限り、私たちの多くは、実質マスコミ情報と、主流派経済学が支配する大学レベルまでの教育しか受けませんので、意外に感じるのが普通だと思います。

> 地方などでは、定年後の再雇用(期間雇用)や福祉の現場でのアルバイトスタッフ
> などが多いのも事実ではないでしょうか。また、各種の独立行政法人や
> 民間への天下り人員など、半官半民のような立場の人間が多いのも
> 特徴に思います。

⇒ きっとそうでしょうね。
 ただ下述の①「人口千人あたりの各国 公的部門職員数」の統計では、“天下り”の国際比較の中での定義が不明瞭ではありますが、日本の場合、郵政公社や学校関連なども含まれているようです。

> そう考えると、”正規の”公務員一人当たりと考えるのは多少不適切のように思います。
> 実際、公務員の一部部門の非効率さを聞くと疑問を感じます。
> (公務員一家の話や、現場の感覚を
聞いていると、特定の職員への
> 過度の職務集中があり、人手が足らないのも事実ですが・・・。)
> ただ、やはり現状の政府部門の実態と統計上の数字に乖離を感じてしまいます。
> この辺り、他国の状況などはどのような状況なのでしょうか。

⇒ 中国を例に出すまでもなく、日本政府の統計ですら、こと「失業率」などのデータは、政府の政策の失敗を露見させたくない、ある種の意思が感じられま す。「失業率」のみならず、①「人口千人あたりの各国 公的部門職員数」などのデータも、下述の通り、過小評価したくなるインセンティブが当局には働きやすい でしょう。

◆同①「人口千人あたりの各国 公的部門職員数」:
 「日本38.2人 < ドイツ61.3人 < 英国67.1人 < 米国71.9人 < フランス96.7米国」

 (出所:2003年の日本IOL協会資料)

 従って、ご指摘のことは、もっともなことだと思います。

 ただこの統計データが怪しいからと言って、「日本は必ずしも大きな政府ではない」ことを否定できないと思います。勉強会では、①「人口千人あたりの各国 公的部門職員数」に加え、②「GDPにおける財政歳出額の割合(2008年)」、③「名目GDPにおける財政歳出額の年次変化割合(1997年を100と した場合の2008年時点の増分)」の3つを取り上げました。

◆同②「GDPにおける財政歳出額の割合(2008年)」:
 「日本37% < 米国39% < 独44% <英48% < 仏53%」


◆同③「名目GDPにおける財政歳出額の年次変化割合(1997年を100と した場合の2008年時点の増分)」:
 「日本120 < 独153 < 米187 <仏195 < 英230」

 これらのデータを見る限り、明らかに「日本は十分過ぎるくらい小さな政府」なのです。

 この傾向・状況を指すものには、他に例えば、④「小泉政権誕生の2001年度~08年度の8年間で、地方交付税・交付金および公共投資額の総計がやり方60兆円削減」されている、といったデータを示すことができます。勉強会の資料の通りです。

 「公務員部門の非効率さ」についても、特に民間部門と比べれば、きっと疑問の通りでしょう。異論ありません。
 ただ、ここでは国際比較を行っているのですから、比べるべきは、海外との務員部門になりますね。
 例えば、ここでは代表選手に、フランスやイタリアあるいはスペインのようなラテン諸国のエース級を挙げれば、さすがの日の丸親方連合も敵わないのではないでしょうか。(^-^)

 ラテン諸国のエース級との比較では、相手としてフェアではないとの感想を持つでしょう。それゆえ、食べること(料理)やアバンチュールに殆ど関心がないのではないかと思ってしまう、生真面目なアングロサクソンの英米を例に挙げることもできます。

 まさに、リバタリアン思想に影響を受けたサッチャーが、手を焼いたのが、そのアングロサクソンの、労働党が政治支配する英国だったわけです。
 その他、例えば、労働組合や基幹産業 であるテレコム主要企業(当時は公共企業体)や鉄道系やユーティリティ系(電気・ガス)などは比べるまでもなく非効率の象徴でした。

 また、米国ではかつてのAT&T社(民間会社)から分離・分割後の今のVerizon社など、そして、ドイツでは公共事業体から民営化後のドイチェ・テレコム 社などを比べると、日本のNTTなどよりも、人員を多く抱えた巨大な独占的な市場支配力をもっています。

 総じて、効率面で日本の公的部門が、甚だしく劣るということはありません。むしろ、日本の方が、効率的ですし、小さな組織になっている実態があろうかと思います。
=====≪unquote≫

 続きます。

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2011年1月20日 (木)

【マクロ経済(1/4)】リバタリアン的な考え方

 

 とあるところの、ある勉強会後のやり取りの一部を備忘を兼ね、メモしておきます。以降、これを含め4つに分けて貼っておきます。「マクロ経済」のポイントに関することですので、オリジナルのものに、若干の修正と加筆を行っています。
 個人が特定できないよう、配慮したいと思います。

=====≪quote≫
 自身の頭の整理もあって、ちょっこし、長文になるかも知れません。

> つい最近、マイケル・サンデルの著書(「これから正義の・・・」を
> 読み公共政策のあり方の根本にある「正義(哲学)」について、
> 考える良いきっかけになりました。
> (個人的には、ハイエク・フリードマンに代表されるリバタリアンの
> 思想に共感しているので、特に良い刺激でした)

⇒ サンデルさんの本、私が非常勤講師(客員教授)を務める、あるところの社会人学生から以前プレゼントされました。

 年末だったか、NHK教育テレビの番組で、ハーバード大学での彼の授業風景を視聴しました。第一印象として、記憶力のよい方なのだなぁと感じました。何せ、最初の質問・回答者(学生)から派生する種々の話題・テーマに関する、続く学生のやり取りを、名前とその発言内容のポイントまでよく記憶しており、てきぱきとした授業の進め方などに、とても感心しました。
 私などは、名前すら、すぐに忘れてしまいますので。

 ただ、そのやり取りの内容には、「へぇ~、そのように考えるのか、ちょっと問題意識が違うな」と言うものばかりでした。彼は、共通善を強調するコミュニタリアン(共同体主義)の政治哲学者であり、私の視点は、政治における共通善を追求するにも、国民経済がまとめでない限り、その種の善などは共有できないとするものですから。

 マルクスのいう、経済(生産力)が土台・下部構造(生産関係)を規定し、そしてその土台の上に構築されるものが形而上学的なもの(共通善含む)だ、という社会経済の捉え方は必ずしも間違っていないと思います。もちろん、私はマルキストでも左翼でもないつもりです。しかし、経済基盤が重要であることは、誰からも否定されるべきものではないでしょう。

 ハーバード大学の大ホールでのサンデル氏の講義は、学生の風貌からしてグローバルな感が強く、まさに米国は学術分野でも世界の覇権を今もまだ誇示しているかのような、日本の大学教授には通例ない堂々したものがありました。ただ堂々として話していることが、正しいか、あるいは共感を覚えるかは、また別なのでしょう。

 書くまでもないのでしょうが、リバータリアニズムの元祖は、あるべき人間像や社会像を小説や評論文の形で1950年代に提起した、ロシア・サンクトペテルブルク生まれのユダヤ人であり、後に米国に移住したアイン・ランド女史のはずです。
 古典的自由主義者と言われる、ミルトン・フリードマン、 ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスやハイエクのような人々に影響を与え、最近では、日本人の大好きなサッチャーやレーガンの政治信条として、世に知られるようになりましたね。

 私もかつては、この考え方に大いに共鳴していました。

 ウィキペディアによれば、≪リバタリアンはレッセフェールを唱え、経済や社会に対する国家や政府の介入を否定もしくは最小限にすることを主張する。 また、自律の倫理を重んじ、献身や軍務の強制は肉体・精神の搾取であり隷従と同義であると唱え、徴兵制と福祉国家には強く反対する。なお、暴力、詐欺、侵害などが起こったとき、それを起こした者への強制力の行使には反対しない。個人の自由と自由市場を擁護する等、ごく少数の基本事項以外これがリバタリアンであるというような定義は存在しない。≫ということです。

 経済がそこそこうまく成長もしくは発展している時には、この考え方に同意します。
 しかしながら、現在の日本経済がもう15年~20年もデフレ状態が続く状況下、あるいは“リーマン・ショック”後の世界経済(特に欧米経済)も最近デフレ基調に本格的になってきた状況下では、その限りではありません。
 この区別を付けることができるかが重要です。日本の経済学者・エコノミストあるいは政治家・官僚の多くは、この区別ができていないと思います。

 リバタリアン的な考え方をする、ミーゼス(オーストリアン学派)の信奉者であるトーマス・ウッズ(Thomas E. Woods Jr.)の『メルトダウン 金融溶解』(2009年8月)「A Free-Market Look at Why the Stock Market Collapsed, the Economy Tanked, and Government Bailouts Will Make Things Worse.」には、サブプライムローン金融危機などを題材とした景気循環(バブル形成・破裂と恐慌の出現)に関する鋭い考察がなされています。
 また、これは現下の自由市場とは対極にある人為的な「管理通貨制度」という前提を取り去った際の、マクロ経済もしくはグローバル経済のあるべき仕組みとしての中央銀行不要論と新たな通貨システム論が展開されています。

 しかしながら、この考え方やアプローチでは、現実的なデフレ経済下の問題を解決することはできないでしょう。

 その意味で、リバタリアン信条では、こと恐慌を防止すること、そして恐慌になってしまった後の構造的なデフレ経済の問題解決に関しては限界があることを、よく示している本だと思いました。

 “リーマン・ショック”前の資産バブルとその崩壊後の、ある種の(十分そうだと思いますが)経済恐慌について、歴史・理論・政策面で、大変適切な論を展開しているものに、例えば、ハイマン・ミンスキーの『金融不安定性の経済学 歴史・理論・政策』(1989年12月、原著は1986年出版)が挙げられるかと思います。勉強会の前日、私が紹介した経済学者です。
=====≪unquote≫

(続きます)

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2011年1月19日 (水)

【講演】日本経済の構造的問題点を踏まえた今後の経済発展のための処方箋案

 昨年末に名古屋でも、ほぼ同様のことを行いましたが、明後日(2011年1月21日)に行れる予定の講演概要をメモしておきたいと思います。

=====≪quote≫
第120回 「明日の経営を考える会(明経会)」例会
 http://www.jates.or.jp/?list=6

◆日時: 2011年1月 21日(金) 15:00-19:00

◆場所: ホテルグランドパレス(東京都千代田区) 牡丹の間(例会)、菊の間(懇親会)

●特別講演:
 「日本経済の構造的問題点を踏まえた今後の経済発展のための処方箋案

  ~財政と金融の両政策面およびグローバル経済の理解の仕方~

◆講師: 新保豊氏 (株)日本総合研究所 理事・主席研究員

◆講演要旨:

 これまでの政権が財政出動(ケインズ政策)を何度となく実施し、あるいは金融緩和なども長年続けてきたにもかかわらず、さらには市場機能を重視し民営化・自由競争・規制緩和などの構造改革(新古典派・シカゴ派)など、官民挙げて懸命にわが国は行ってきたにもかかわらず、先進国で唯一、なぜ日本経済は一向に浮揚・成長しないのか(15年以上もデフレが続くのか)、“国際競争力”も低下していくのでしょうか。

 そうこうしている内に未曾有の金融危機・金融恐慌が起き、その後、いまなお世界経済は不透明な状況が続いています。

 それをあたかも払拭しようと、あるいは出遅れてはならぬと、国の支援(為替介入、法人税引き下げ案と消費税増税など)を仰ぎつつ、多くの日本企業は海外事業展開(外需獲得)にその解決策・出口を見出そうとしています。

 日本経済はこれからどうなるのか、財政破綻は本当に起きるのか、日銀の金融緩和で効き目があるのか、基幹産業はどうなってしまうのか、円高や米ドル・ユーロなどの行方はどうなるのか。経済が浮揚しない真の理由・原因とは何か(財政・金融問題や人口減少構造問題など)。そして、その解決策または奥の手はあるのか。

 グローバル経営経済(欧米やBRICsなどの国々の多国籍企業や政府の取り組み)を主軸に、日頃のリサーチ・コンサルティングの仕事や、政策提言活動などを踏まえ、こうした現下の喫緊の課題事項について考えてみたいと思います。
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 私の担当前までの、最近の「例会」や「特別講演」のことが、同会のHPに掲載されていました。
 興味深いテーマが並んでいます。

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最近の例会
 http://www.jates.or.jp/?show=286&lang=

第119回例会: 2010年11月18日開催
講演: 「歴史から考える明日の日中関係」
講師: 加藤徹氏 明治大学 法学部教授、中国文学研究家

第118回例会: 2010年10月27日開催
講演: 「日本企業は韓国企業に学びなおせ ~グローバル企業を目指して~」
講師: 吉川良三氏  東京大学 大学院 経済学研究科 
    ものづくり経営研究センター 特任研究員

第117回例会: 2010年8月5日開催
講演: 「新・資本主義時代をビジネスチャンスに変える」
講師: 木下晃伸氏  株式会社 きのしたてるのぶ事務所 代表取締役

第116回例会: 2010年7月15日開催
講演: 「富山から ―私の歩みきた道―」
講師: 中尾哲雄氏  ITホールディングス株式会社 代表取締役会長


最近の特別講演

 http://www.jates.or.jp/?show=94&lang=

第115回定例会: 2010年3月18日開催
特別講演: 「ICT政策の動向」
講演者: 総務省 情報通信国際戦略局 技術政策課長  
      奥英之氏

第114回定例会: 2009年10月22日開催
特別講演: 「シリコンバレィのベンチャー企業 (start-ups) から学ぶ」
講演者: オプティワ株式会社 代表取締役
      岩越尚樹氏

第113回定例会: 2009年年7月9日開催
特別講演: 「『百年に一度』の危機は世界経済、日本経済をどう変えてゆくのか?
     ~危機後の成長戦略を考える」
講演者: 杉浦哲郎氏
      みずほ総合研究所株式会社 専務執行役員 チーフエコノミスト
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 総務省の奥氏とは、産官学勉強会でご一緒していますし、みずほ総研の杉浦氏は、確か2年ほど前の総務省のICT国際競争力会議の専門部会でご一緒していたのではないかと思います。

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2011年1月12日 (水)

【社内マクロ経済勉強会】財政支出や増税の意味の一部

 いつもの早朝のマクロ経済勉強会の実施前日に、アナウンスしたeメールを貼り付けておきます。
 少し加筆しました。

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■JRIマクロ勉強会:20110112.●ノート(財政支出・増税の意味)_0111-2132shimbo

 このファイルで明日水曜、勉強したいと思います。
 これまでも(前回も)、財政支出の意味について勉強してきた、その続きです。

 “リーマン・ショック”の際、NYウォール街の人々に、「我々はもしかするとミンスキーの時間にいるのかも知れない」と言わしめた、故ハイマン・ミンスキー教授(セントルイスの名門Washington大学)も、あるいは日本のシンクタンクでは数少ない、正論を主張しているエコノミストの野村総研のリチャード・クー氏などが、重視する方策です。

 バブル経済(“リーマン・ショック”前)の崩壊後の、世界のデフレ傾向にあっての、実質唯一のデフレ脱却方法が、この財政支出です。ミンスキーは『金融不安定性の経済学』(1986年)の中でこのことを、既に予言していました。

 また、クー氏はこの構造的なデフレ現象を示す「バランスシート不況」なる概念を世に問い、英国、オランダ、豪州、EUなどでの講演に引っ張りだこで、今や大変注目されている、世界では時の人です。
 他方、日本のマスコミには、特に2001年の小泉構造改革以降、殆ど登場しなくなりました。この差は一体何でしょうか・・・・・?

 ちなみに、クー氏の『デフレとバランスシート不況の経済学』(2003年10月)の中の「バランスシート不況」のことは、上述のハイマン・ミンスキーの1986年の原著では、「負債デフレ」という表現で、本質的にはほぼ同じことが10年以上前に指摘されていました。

 ただ、前者が特に一般企業や金融機関のバランスシートの毀損ゆえの投資活動の不活発化を強調しているのに対し、後者では、政府支出がもたらす一般企業や金融機関および家計へのバランスシート上の恩恵(優良資産=優良負債の増強や、家計の借金の減少)にフォーカスしているという、本質的には同じことですが、若干の重点の置き方の違いは認められるところかと思います。

 ミンスキーは、米国経済(特に1970年代の不況時)を実証的に分析し、「巨大な政府債務の存在」が、貴重な“ポートフォリオ安定化装置”として機能してきたことを明らかにしています。政府債務は、一般企業や家計の単なる借金・負債とは、全く異なる性格を持つという核心を突いた指摘だと思います。

 シンクタンクとしては競合にある野村さんではありますが、クー氏の主張は正しいものです。ただ、クー氏は米NY連銀出身ゆえか、その考え方や視点において、ある種の縛りがあるのではないかと感じられるところはあります。あくまでも感想とか印象の類ですが。

 この勉強会での、財政支出シリーズもそろそろ終わり、その後はNY連銀などをはじめとする中央銀行シリーズへ、近く移行していくことになると思います。その際に、その縛りのことも勉強しましょう。

 では明日、集まれる人で、続きを行いましょう。
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2010年12月21日 (火)

【ICT業界向け講演】クラウドサービスの国際展開に向けた方向性とその戦略

 バックデートで、昨年末(2010年12月下旬)に行われた講演に関することを、備忘を兼ねメモしておきます。
 ご関係者の皆様、当日は貴重な機会にお招きくださり、有り難うございました。(^-^)

=====≪quote≫
■クラウドコンピューティング・国際戦略委員会
 平成22年度 第2回 委員会

日時 :平成22年12月21日(火)13:30~15:30
場所 :ゆうぽうと 紅梅(6階)

議事次第

1.開会挨拶 :特定非営利活動法人ASPIC(ASP・SaaS・クラウド コンソーシアム) 会長
2.委員長挨拶 :エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 取締役 経営企画部長
3.来賓挨拶 :総務省
4.講演
  株式会社日本総研 理事・主席研究員 新保 豊 様
  「日本のクラウドサービスの国際展開に向けた方向性とその戦略示唆」
  ~再考ODA戦略との連動の必要性~
5.当委員会WG検討状況について(中間報告)
6.質疑応答
7.閉会
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 当日の私の資料の抜粋を、貼っておきます。

=====≪quote≫
■「日本のクラウドサービスの国際展開に向けた方向性とその戦略示唆」
 ~再考ODA戦略との連動の必要性~

【目的】
 日本のクラウド事業者の国際競争力向上・海外展開促進に向けた各種施策検討・政策提言を行う

【1】ODA戦略の再考

●ODAの歴史と意味合いの変容
≪参考≫主要海外機関の概要(ADB、IMF、World Bank)
≪参考≫円借款:JICAおよびJBICの概要
* 「国際協力」を超えて「国際展開」(ビジネス)とするには、もはや外務省や財務省管轄の資金を戦略的に活用することが求められる
≪参考≫日本の国際収支変遷(多額貿易黒字・所得黒字+適度な資本収支赤字)

●途上国援助とODAのあるべき姿

●戦略的ODAを考える

【2】グローバリズムを知り備える

●「SCPパラダイム」で考える
* 「CSPパラダイム」がグローバル市場のパラダイム
(注)「C⇒S⇒Pパラダイム」(シカゴ学派)
 「C](企業のグローバルベースの戦略と行動)が、各国の「S」(市場構造など)を支配し、「P」を最大化。
 ← 米欧の多国籍企業、“リーマン・ショック”前の投資銀行やファンドなど。
 ← 新古典派(ミクロ経済学のマクロへの適用)のアプローチ。
≪参考≫“政治覇権国・金融帝国”化とグローバル構造下における投資と消費のメカニズム
≪参考≫2009年_世界の巨大銀行(25行)の2009年の総資産
≪参考≫世界の主なタックスヘイブンと誤差脱漏
* 「誤差脱漏」と「貿易収支額」との対比(2009年)
 ⇒タックスヘイブンなどへの流出入と推定される
 - 米国     :同赤字の3倍
 - 日本     :同黒字の0.5倍
 - フィンランド :同4.5倍
「国際収支」=A+B+C+D=0
 A:経常収支(貿易収支など) B:資本収支(対外投資など)
 C:外貨準備高          D:誤差脱漏

【3】アジア新興国市場の概観

●新興国を育て刈り取る
* G20(G8除く)の存在感は高まりつつあり、G8は外需に期待(投資によるリターンor収奪)
* G8ないしG2(米中)を、政治経済的に牽制する動きとなろう
* 他方、G8の成長限界という信仰は本当か?
 ⇒実際は正しい総需要政策を採ればG8内需は喚起可
* 特にデフレギャップ膨大(300兆円超)の日本経済の内需潜在性は先進国で最大
≪参考≫真のデフレギャップ規模は膨大
≪参考≫デフレギャップ(真の財源)利用した経済対策と劇的な効果
≪参考≫ICT産業が採るべき未来の発展パターンと「飛躍の10年」
≪参考≫名目GDP成長率とその寄与度
* 「NX(純輸出)」の寄与(相対値)は小さく、絶対額もGDP比で1~3%
≪参考≫強小国は貿易依存度大、大国は一定の内需成長と外需追求
* G7と比べた各経済グループの存在感
* 主な次期ターゲット国(アジア+アフリカ)
≪参考≫中国人民元および韓国ウォンの為替レート推移

●国際収支の発展段階説
* インドの国際収支(多額貿易赤字とODA+IT系サービス黒字)
* インドネシア国際収支変遷(多額貿易黒字と少額のODA・FDI)
* ベトナム国際収支(多額貿易赤字・ODAと多額FDI・短期借入)
≪参考≫韓国の国際収支変遷に見る韓国経済の危うい現状
≪参考≫国家戦略的研究開発を進める場合の戦略の共有

【4】クラウドサービス事業の国際展開

●グローバル市場とクラウドサービスの通説
【2010年12月の外資IT系企業(多国籍企業)の日本法人トップ】
* 日本企業は海外に目を転じ、新たな需要に対応していく必要

(注)日本経済の内需の膨大な潜在性を知らない発言 ⇒本当か?
* それには自らを筋肉質な体質に変え、グローバルで適用するビジネスのやり方、経営のあり方に改めていかねばならない
(注)本当か?
 - “筋トレ”だけでは勝てない。多国籍企業の言いなりになる必要はない。
 - “CSPパラダイム”(多国籍企業の手口)を知り、“SCPパラダイム”
   (特に 相手国の構造)の研究は必須
* 世界的な競争力をもう1度取り戻すためには、独自のやり方に固執するのではなく、グローバルで適用するコミュニケーション基盤、情報共有基盤の整備が不可欠
(注)本当か?
 - 日本企業は、国際収支面で、昔も今も世界トップ級の競争力を保持(最近ではむしろ増加傾向)。
 - 多国籍企業が用意する受け皿(基盤)に全面依存するのでは、競争優位獲得は難

●サプライサイド方策が有効であるかどうかは経済状況に拠る
* 国際展開には、経済成長を促す「インフラ整備」に連動させることが重要
* 「経済成長」←「民間投資」+「政府支出」(投資+消費)+純輸出+消費
≪参考≫新古典派(ネオクラシカル)の経済成長モデルは特殊
* ミスリードさせる「新古典派の経済成長の定式」:
 g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+n(労働人口増加率)+t(技術進歩)

* 経済成長率を大きくするには・・・・
 - s(貯蓄率)を大きくする
  ⇒高齢化に伴い小さくなるので、海外からの資金流入を促す
 - v(資本係数)を小さくする
  ⇒企業リストラと公的部門の合理化(規制緩和による競争促進と小さな政府の実現)
 - n(労働人口増加率)を大きくする   
  ⇒労働人口を確保するため大量の移民を受け入れろ
 - t(技術進歩)を促進する
  ⇒供給サイドの試み(デフレ不況下では二の次)
* しかし、実際は極めて特殊なケースでしか有効でない
* 政府の需要創出政策が必要
 - g(経済成長率) ←I(民間投資)+G(政府支出〔投資と消費〕)+NX(純輸出)+C(消費)
 - g ← 乗数値×(I+G+NX)               
 - Cは、「Y(所得)≒g」の従属関数ゆえ
【誤った政策】デフレ不況下: ROIが見込めないためNX重視 ⇒経常黒字大で円高に
【正しい政策】デフレ不況下: 当面G増やし(成長すれば税収増え債務率減)、適度なNXに

●クラウドサービスの海外動向とマクロ経済面での見通し
* “リーマン・ショック”後の余波冷めやらぬ欧米よりも(に加えて)、新興国の内需拡大に歩調を合わせることも視野に
 - 欧米    ⇒置き換え需要は大   
 - 新興国    ⇒成長率高いが規模はまだそう大きくない

●クラウドビジネスの階層別国際展開時のポイント
* 技術優位性のみでは勝負できない
* 単年度の収益性追求のみでは、現地顧客(政府や企業)のニーズを満たせない

●国際展開時のグリーン化とパートナー連携の核心部分
* 「グリーン化」は、“CSPパラダイム”に基づく多国籍企業らの高等戦略
* 日本企業 ⇒その手口を熟知した上で、土俵を変える戦い方(矛と盾)の備え要
≪参考≫非科学的な国連組織IPCC報告書の成果は政治家の手に
≪参考≫Climategate事件:地球規模の“Much Ado about Nothing”
* 2009年11月17日、英イースト・アングリア大学(UEA)の気候研究ユニット(CRU:Climate Research Unit)がクラッキングされ、地球温暖化研究に関連した電子メールと文書が公開

●日本政府および企業の新興国への進出アクションイメージ
* 成功事例(スモールスタート)を積み上げるための民間主導の「外需獲得基盤」づくり
* 広域経済圏向け「J-SIBA」の構想案
* 広域経済圏をターゲットとする「J-SIBA」組織のイメージ
* 広域経済圏をターゲットとする「J-SIBA」を通じたアクションステップ

●結論
①ODAに求められる昨今の意義と国益
 ⇒untiedからtied(短期)、豊かにし豊かになる(中長期)
  =付加価値(利益+地元含む人件費や賃借料等)向上≠「太らせて刈り取る」 
②グローバリズムの何たるかを知り備える
 ⇒CSPパラダイムの手口・遺伝子(短期的利益志向の株主資本主義)、
  世界の力の序列:政府<多国籍企業<金融機関
③外需の規模(絶対額)と構造や地域研究の不備
 ⇒巨大な内需潜在性+正しい経済政策でGDP成長 ⇒一定の外需獲得
④「インフラ+ICT」の真の相互便益享受
「ICT」例
 ⇒「クラウドとストリーミング」(安価な基盤)+「サービスの独自性」(日本ブランド育成・強化)
 ⇒外需獲得のための一元的発想と同組織の不備への対策
* 民間主導「P-EMA」(外需獲得基盤づくりPJ)によるトライアル 
 ⇒All-JAPANの「J-SIBA」(日本社会インフラビジネス・エイジェンシー)等の組織対応
* 戦略的「Public(相手国+日本政府)・Private(日本)・Partnership」
 ⇒相手国の鉱山資源や農作物等 ⇔ 日本の技術とマネー等
(注)
- 「P-EMA」:Project foundation for External Market Acquisition(外需獲得基盤構築づくりプロジェクト、JRI造語)、
- 「J-SIBA」:Japan Social Infrastructure Business Agency(日本社会インフラビジネス・エイジェンシー、JRI造語)。

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2010年12月16日 (木)

【講演】グローバル時代にあってのマクロ経済(内需喚起)浮揚策

 バックデートで、昨年(2010年12月16日)に名古屋で行われた講演に関するメモを貼っておきます。
 ご関係者の皆様、当日は忘れがたいおもてなしを本当に有り難うございました。(^-^)
 お蔭様で、貴重な機会をもつことができました。

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■(社)科学技術と経済の会 名古屋支部 講演会

1.開催日時: 2010年12月16日(木) 13時30分~15時30分
2.講演場所: ローズコートホテル 4Fローズルーム
  (名古屋市中区大須4-9-60 TEL:052-269-1811)
3.聴講対象者: 当会の法人会員及び個人会員 約60名~70名
4.事務担当者: (略)

◆名古屋支部の役員:
【支部長】リンナイ(株)取締役会長
【幹事】東海旅客鉄道(株)総合技術本部技術開発部 担当部長
【幹事】経済産業省 中部経済産業局 地域経済部長
【幹事】国土交通省 中部地方整備局 企画部長
【幹事】中部電力(株)設備総合計画グループ部長
【幹事】総務省 東海総合通信局 情報通信部長
【幹事】西日本電信電話(株)東海事業本部 設備部長

(注)ご迷惑がかからぬよう、個人名は伏せています。

●講演タイトル:
 日本経済を浮揚し国際競争力をも強化する処方箋案

 ~財政と金融の両政策面およびグローバル経済での正しい理解なしには日本経済は浮沈~
◆講師: 新保豊氏 (株)日本総合研究所 理事・主席研究員
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