カテゴリー「6.食・農畜産業・水資源」の投稿

2010年11月19日 (金)

【講演】日本の国民農業とアグリビジネスに関する資料のポイント

 来週〔2010年11月25日(火) 〕の下述の講演の資料を昨晩、事務局に送付しました。
 そのポイントのみ、ここに備忘録としてしめしておきます。時間は45分ですので、かなり忙しいお話しになるのではないかと思います。(^-^)

【講演】アグリビジネスの構造イノベーションとIT活用の意義

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タイトル:
 「アグリビジネスの構造イノベーションとIT活用の意義~発展のための抜本的処方箋案」(不可欠な内需拡大とグローバル化への対応)

概要

農業問題やアグリビジネスの背景

■危機的な農業:日本における農家類型別の農家数等の推移

■グローバリズムと食(低下する日本の食料自給率)

≪参考≫世界的な食の危機
* 引き金(ドル崩壊、株式市場急落、地震、原発事故、騒乱・戦争など)
 ⇒通貨紙くず化(既に不換紙幣) ⇒エネルギーと食糧が不可欠!
 ⇒将来の通貨(バスケット:金・銀・銅・ニッケル+トウモロコシ・小麦・コーヒー・原油・天然ガス等)
≪参考≫農業の“工業化”と“ビジネス”
* 世界の主要穀物 ⇒95%の種子特許は支配下
* 北極種子金庫プロジェクト(Doomsday Arctic Seed Vault Designed to Withstand All Perils Project)

 ⇒ 核戦争や地球温暖化などで種子が絶滅しても再生できるように保存(目的)

■問題意識と基本スタンス

■目指すべき農業またはアグリビジネスのイメージ

■国民農業とアグリビジネスの抜本的浮揚のための基本アプローチ

■【1】農業を“SEM”する

* 農業を“SEM”する=Science, Engineering & Managementする
* 土壌・水田マップ ⇒【水中】栄養分(イトミミズ) 【空】衛星監視

* 現状分析と潜在力評価 ⇒第3者による生産物の出来具合の格付け(≠金融商品)
* 土壌分析・改質、育描法研究
* 化学肥料や農薬(除草剤、殺虫剤、殺菌剤)のDB化
* 経営(ROIなどの追求)
* 相互補完のエリア化やネットワーク化

≪IT化≫土壌情報閲覧システムと今後の期待(栄養分状態マップ)
≪IT化≫農業情報管理システム(効率化から本来農業支援へ)
≪IT化≫ITを活かした酪農用自動給餌システムの開発
≪IT化≫生産履歴管理によるトレーサビリティーの確立
≪IT化≫植物工場ビジネスに参入する企業
≪IT化≫植物工場の例

■【2】農業事業法人化
* 生産・経営主体としての中大規模農業事業法人の設立
 - 主業農家による生産と経営(ビジネス) ⇒省力化・低コスト化+安全・安心な商品
 - 「所有と経営の分離」(農業ビッグバン)は慎重に ←ヴェブレンやケインズやミンスキーも警告
 - ハゲタカ外資・金融・ファンドらによる乗っ取りの可能性大
 - かつての日本型経営や独ライン型経営(監査役会の強化、アングロサクソン型経営とは一線を画す)が有用
* アグリビジネス企業またはNPOら(専門家集団)による投資(資金、人材、設備)や経営参加
 - 非主業農家の意識改革(覚醒促進)
* 生産性が高く(低コストで収量大)、安全な技術の追求と普及・指導(除草剤・農薬フリー)
 - 政府によるノウハウのコモディティ化(種子などの独占的使用権を認めない)
 - 大学による技術ノウハウなどの情報供与
 - 投資家やファンド会社を通じたファイナンス
* 価値連鎖
* 土地(水田、畑)の維持管理
 - 水田を蘇らす
* 無農薬・無肥料栽培(米)
 - 不耕起移植栽培・冬期湛水

■【3】土地(水田)集約化+畑(野菜)+用水等(インフラ整備)

* 土地(水田、畑)の集約化
 - 非主業農家の土地の集約化(ゾーンニング)
 - 貸借or売却
* 用水等設置の原風景としての水田
 - 水質改善(緩速ろ過)機能をもつ新たな水源
 - 微生物によるメカニズム ⇔ 水道事業者による急速ろ過方式(カルキ臭、まずい水)
* 不耕起水田 ⇒浄水池機能
 - 10aの田んぼで水5,000トン浄化 > 米生産に水3,600トン消費

■【4】“商品”のマーケティング
* 生産物ではなく、“商品”に仕立てる
* 品質    ⇒栽培方法の統一
* プライシング
 - 当面    :既存流通網外での消費者直結的な価格設定
 - 将来    :より広範な規模で、市場メカニズムを機能させる
* 販路・販促
 - 新たな流通網の形成(既存網とのよき競争)   
 - 既存網: 農家 ⇒JA ⇒経済連 ⇒全農 ⇒米卸 ⇒小売
 - イノベータ-(経営のプロ)が農家を覚醒させる
 - 海外へも(販路拡大、新たな収入源)
* 国際競争力の強化
 - 但し、その前に国内での農業基盤の整備(ハード+ソフト)が最初(必要条件)
 - 減反制度の段階的緩和 ⇒潜在潜在力の開放 ⇒余剰生産物・商品は海外輸出(または食糧備蓄)

* プロモーション :売り方のイノベーション

≪IT化≫IT農業の実践とフードチェーンシステムの構築
* 農業生産法人(株)イソップアグリシステム
* インターネットによる農産物直販の事例(無農薬米専科の百姓アグリ)
* インターネットによる農産物直販の事例(ファーム葱坊主)

■【5】政府支援(インフラ整備、技術・資金支援)
* インフラ整備
 - 直接的    ⇒農村向けの用水路整備(水溜りづくり)、分散型電源、気象情報提供など
 - 間接的    ⇒周辺エリア向け住環境整備(学校、病院、観光施設、道路、大深度地下鉄道など)
* 農業事業法人の成果パフォーマンス・改善度に応じ助成

* 技術支援    :公共系研究機関・試験場などから
* 新たな財源確保
 ⇒農業インフラへの投資(個別所得補償より効果大)
 - 国債発行
 - 日銀直接引受など

≪IT化≫地下水位の制御システム

■【6】里地・里山型コミュニティの創生
* 生き物一杯の桃源郷を目指す
 - 都市住民による田畑のオーナー制度促進
 - 田んぼと一体の生活圏 ⇒子供たちの体験実習など
 - 都市住民参加による農村コミュニティ公園
 - 生産者と消費者との相互補完の現実的接点の場

 - グリーン・ツーリズム
 - 各種観光施設、温泉・保養施設の整備
 - ホスピタリティの工夫
 - 外国人向けの案内・表示

* 耕作放棄地の再利用
 - 里地・里山の復活
   美しい日本の原風景を再現
   水源の確保
 - 万一の場合の食料確保の避難地

   TTP(信頼のできる第三者機関)への管理委託
   農家を親族に持たない都市住民向け

≪参考≫日本における耕作放棄地の現状

■【7】国民皆農化(消費地と生産地の相互補完を通じた日本の元気発進)

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2010年10月27日 (水)

【講演】アグリビジネスの構造イノベーションとIT活用の意義

 とある産官学連携の勉強会(筑波学園都市にある農業・食品産業関連の研究所・施設の見学会)がきっかけになって、『アグリビジネス創出フェア』にて、話しをすることにあいなりました。
 その関係ページは、ここです。
 http://agribiz-fair.jp/event/event.html
 お偉い先生方の大写しの写真の、ずっと下の方に、気付かない程度に掲載されています。(^-^)

 次は、事務局に送ったレジュメです。

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■テーマ :

 アグリビジネスの構造イノベーションとIT活用の意義
 ~発展のための抜本的処方箋案(不可欠な内需拡大とグローバル化への対応)~

◇ 講師    :株式会社日本総合研究所 理事・主席研究員 新保豊
◇ 日時    :2010年11月25日(火)
◇ 会場    :幕張メッセ

■セミナー内容の概要:

 前半で日本のアグリビジネスが抱える構造問題の現状を、
 ①ミクロ面(経営の担い手・方法、投資リターン、上下流域価値連鎖、生産物・商品の価格・販売チャネル)、
 ②セミマクロ面(産業の収益性・競争力、農地の扱い、気象の影響度、業界組織改革)、
 ③マクロ面(政府投資先と財源、国際競争力)
から考察、そのイノベーション余地を模索。

 後半では主に①ミクロ・②セミマクロ面として、ITを駆使した効率化・生産性向上や生産・流通・販売チェーン上のイノベーションを通じた収益力増大、ひいてはグローバル対応への可能性について概観します。

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2008年7月23日 (水)

【一言】不可思議なモノ言いで進められるBSE(牛海綿状脳症)政策

20080719  国家の屋台骨を成すものに、財政(所管は財務省)、外交(同外務省)、治安・警察機能(同法務省・検察・警察)、国防(同防衛省)などがあります。そして、国民の生活や安全を守る上で重要な機能を果たしています。

 加えて、国民の生命や健康に不可欠なものが、“食”に関するものです。  最近の農水省と公取またはその関係研究会による、BSE(牛海綿状脳症)を巡る妙な議論がまかり通りそうなところに、この国の不思議さをつい感じてしまうのは、私だけでしょうか。^^;

20080719openbse(太字下線は、私が付しました。写真は、20049月「BSE対策の徹底を求める要請」を行う衆議院議員会館での集会時のものです。左の絵はオマケであり、記事とは関係ありません。)

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■<BSE>「検査済み安全」PR表示ダメ 牛肉で公取委判断

2008719日、毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080719-00000051-mai-bus_all

 生後20カ月以下の牛に対するBSE(牛海綿状脳症)検査に関し、食肉業者などが「検査済みで安全」とPRした場合、公正取引委員会が景品表示法違反(優良誤認)に当たると判断することが分かった。現在、20カ月以下の牛は全自治体が検査しているが、今月末で国の補助が打ち切られる。さらに自主検査を続けるか対応が分かれる可能性がある中、検査の有無で安全性の差別化を図ることにクギを刺した形だ。

 BSE検査は、20019月に国内初の感染牛が見つかって以降、処理されるすべての牛に義務付けられたが、20058月からは対象牛が生後21カ月以上に緩和された。しかし、自主的な全頭検査の継続を表明する自治体が相次いだため、厚生労働省は今年7月までの3年間限定で、20カ月以下の牛の検査にも補助金を出していた。

 屠畜場(とちくじょう)を持つ76都道府県・市は、今年度は自主検査を続ける構えだが、来年度以降は未定の自治体が多い。一部が打ち切った場合、検査済みと未検査の牛肉の両方が流通する。このため厚労省は、表示の可否を公取委に照会。「検査済み牛肉の方が安全だと思わせる表示は、商品が実際よりも優れていると不当に誘導する『優良誤認』に当たり違法」との回答を得た。「検査済み」のみの表示は「消費者の受け取り方次第なので即断できない」(公取委消費者取引課)という。

 厚労省食品安全部は「20カ月以下の検査が不必要なことは、3年前に国の食品安全委員会で出た結論。横並びを意識して検査を続ける自治体もあるだろうが、差別化を図る表示はできないので、打ち切っても信用や評価が落ちる心配はない」と話す。

 一方、市民団体「食の安全・監視市民委員会」代表の神山美智子弁護士は「消費者が知りたい情報は出すべきだ。国は遺伝子組み換え食品に関しては、リスクに差がないとしながら『組み換えでない』との表示を一部認めており、均衡を失するのではないか」と疑問を投げ掛ける。【清水健二】

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■私の見方:

(ビジネスパーソンも知っておきたいマクロ経済学的な視点)

 BSEの問題は、次の点で決して解決済みではありません。まず日本人の多くが、まず知らないことを簡単に示しておきましょう。

①輸出国での検査の結果、月齢30ヶ月未満の牛にBSE感染がなかったことを証明する個体数の検査を同国は殆どしていない模様。
 20049月の内閣府「安全食品委員会」の報告書では、同国の検査率は1%未満で対象はわずか2万頭、日本では350万頭。にもかかわらず、前者が“科学的”ということになっているらしい。

②月齢24ヶ月まで基準を厳しくしたとしても、輸出国ではその基準確定はできないそうです。
 輸出国が主張するような、「永久歯」や「肉の色と質」では見分けることは無理があります。

③輸出国の検査では、同国大手食肉業者(≠第三者機関)に任されており、客観性に極めて乏しい模様。
 
これら大手業者と吉野家ディー・アンド・フーズ社らが取引している。

④異常プリオンが蓄積する、牛の臓器や脊髄・脊柱などの「特定危険部位」を除去しておけばよいと言われるが、その検査も疑わしいことに加え、技術上・実際上の限界があるそうだ。

 事実、炎症のある特定危険部位以外の臓器に異常ブリオン蛋白質の蓄積も発見されている模様。

⑤「BSEは、好きな草を食べることも許されず、くる日もくる日も穀物と成長促進用抗生剤を添加された配合飼料ばかりを強制的に食べさせられる牛たちの反乱であろう。」

 上記の出所は、本山美彦氏(京大名誉教授、元日本学術会議会員、経済学博士)の著書『「帝国」と破綻国家』20058月)からの抜粋によるものです。鋭い指摘が同著には随所にあります。多くの日本人が耳を傾けるべき素晴らしい本です。

 
加えて、BSE10年間ほどの潜伏期間がありますので、感染しても暫くは分かりません。発症するまでの潜伏期間は、平均5年で、ほとんどの場合が46年と推測〔20048月、食品安全委員会プリオン専門調査会〕。長いもので25年以上とも言われる(50年超とも)。つまり、「現行犯逮捕」が事実上できません。仮に10年ほども先のこと(結果)となれば、BSEの疑いのある牛肉を食べたこと(原因)の関係を証明することは、手続き上かなり煩雑・困難なものとなりましょう。10年も前の関係者は、その時もう生きていないかも知れません。

 このように仮想敵国以上にある意味、身近な危険度の高い代物がBSEにつながる牛肉問題なのです。この牛肉に関する表示を巡る報道が上述の記事(関係者のロジック)なのです。 その“ロジック”を簡潔に下に示しましょう:

A食肉業者などが「検査済みで安全」とPRした場合、公正取引委員会が景品表示法違反(優良誤認)に当たる」。または「検査済み牛肉の方が安全だと思わせる表示は、商品が実際よりも優れていると不当に誘導する『優良誤認』に当たり違法」。

⇒ “安全”表示が“優良”誤認に当たる、と。14歳の少女を死に至らしめてしまうほどの“安全”と、業者商品の競争公正上の“優良”が同列で比較されているのです。

と言うよりも比較の結果、後者つまり業者間の競争の方が、前者の消費者・国民の生死よりも重要だと言っているのです。

B差別化を図る表示はできないので、打ち切っても信用や評価が落ちる心配はない」と。

⇒ 自治体がこれまで続けてきた自主検査への補助金を打ち切る模様です。そして、自主検査を行わない牛肉が市場に出回っても、その牛肉商品の信用や評価は落ちやしないと主張しています。

 輸出国からの検査に疑いがもたれているのですから(上述の①~④)、自治体の中には自主的な検査を通じ、少しでも安全性を確保しようとする動きがあるのは当然。それを牽制しようとする意図はどこにあるのでしょうか。

今や日本でも“神”となった“規制緩和”に帰依せよ、ということなのでしょうか。「補助金」が常に悪いなどと考えることは幻想に過ぎません市場原理では解決できなことの方が、この世の中には満ちているのですから。

 以上、小学生か中学生でも分かるような、ロジックもないような論理・内容の流れが、国の関係者から説明され、それに何の疑念も示さず大新聞が報道しています。

 
同記事の最後に、市民団体からの意見が付けたしのようにあります。「遺伝子組み換え食品」に関する表示との比較を出すまでも本来ないことです。上記(A)や(B)のことだけでも、BSE「検査済み安全」PR表示をダメとすることの説明が説明にもなっていないことがお分かりかと思います。

 これ以上は止めて置きますが、このBSE問題の背景を知ることが重要でしょう。ごく基礎的なデータや情報を目の前に並べて、少しでもじっと眺めれば、同問題を巡る関係者、つまり輸出国側の政府や大手業者、輸入国側の政治家・関係府省の官僚と御用学者やマスコミらとの間に、明瞭な利害関係が透けて見えることでしょう。ここには消費者・国民などはまったく不在であることも・・・

 食や安全に関することにまで、市場競争や大幅な規制緩和を持ち込むことになれば、危険に晒されるのは消費者・国民側です。少なくとも日本側の関係者も、まったく同じ状況にあるはずです。消費者も牛肉の安さばかりに目を奪われていると、後で親も子供も大変な目に遭うことになりかねません。

 
“規制”という企業の行き過ぎた横暴を御する権限をもつ政府が、新自由主義的な発想(≒宗教・ドグマ)にただ翻弄され、あるいは企業向けの経営コンサルティングをするコンサルタントが、利益の最大化のみを支援するようなことに留まるのであれば、この国は今よりもずっと居心地が悪くなります。何れも、物事を局所的な視点と同時に包括的な視点をもたない限り〔米国の科学哲学者Thomas Samuel Kuhn〕、社会全体の方向を決める舵取りにおいて重大なミスを犯すことになりかねません。

 
しかし既に、コンソメスープなど含めあらゆる食材に疑わしい牛肉が混在していることでしょう。従って、余程抜本的な手を政府が打たない限り、普段気をつけているつもりの私もその影響下から逃れることは、事実上極めて困難な状況にあります。悲しいかな、この豊かで安全であった日本を離れ、南の無人島にでも移住して、まだ汚染されていない海や川からの魚でも釣り上げ、また地元で野菜でも育て(せいぜい、自然に育つ豚でも飼って)、暮らすしか選択肢がなくなりつつあります。^^;

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