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2009年11月26日 (木)

【マスコミ記者勉強会】政権交代に伴う世論の変化やオルタナティブメディア台頭に伴うマスメディアの行方(補足)

 昨日予定通り、マスコミ記者勉強会が弊社(千代田区一番町)オフィスで行われました。
 私が名刺交換をした皆さんは、読売、朝日、日経、時事通信、日刊工業、東洋経済、ブルームバーグ、モーニングスター、そして下述のJ-castニュースから来られた記者でした。

 早速、当日の夜半には、次のような記事がネットにアップされました。

=====≪quote≫
■「マスメディアからネットメディアへ」 ジャーナリスト大移動は起こるか?
http://www.j-cast.com/2009/11/25054712.html

(2009/11/25 20:15、J-CASTニュース )

   地盤沈下する「マスメディア」からネットを基盤に台頭する「オルタナティブメディア」へ、ジャーナリストのマイグレーション(移動)が起きようとしている――日本総合研究所の理事・主席研究員で、通信メディア・ハイテク分野の経営戦略を専門とする新保豊氏は記者向けの勉強会で、メディア業界の未来図をこう予想した。新保氏はアメリカで起きている事例を紹介しながら、「メディアビッグバンがいよいよ生きた言葉となってきている」と語った。

   勉強会は2009年11月25日、東京都千代田区の日本総研で開かれ、新聞社や通信社などに勤務する記者たちが聴き入った。新保氏は、アメリカの新聞事情を中心にマスメディアが置かれた状況を概観。ほとんどの新聞の発行部数や広告収入が落ち込む一方で、インターネットメディアが着実に伸びている様子を説明し、「景気が回復してもマスメディアの地盤沈下は続く」と厳しい見通しを示した。
(略)
=====≪unquote≫

 私のレクチャーの後半部分のポイントをうまくまとめて下さっています。
 ネット上の書き込みをみると、マスコミに対する厳しい見方が多いようです。その当たりのトーンについては、私もほの同感です。読者離れ(コンテンツへの飽き)が急速に進んでいるものと感じます。

 当日の資料では、冒頭で次のようなことをお話ししました。

▼新聞の発行部数の推移
* GDPは名目で見ても微増かゼロ成長にあって、新聞発行部数は減少
* 「1世帯あたりの部数」は▲1.7%
  ⇒新聞離れの背景には何が起こっているのか?

▼新聞の総売上高の推移
* GDPは名目で見ても微増かゼロ成長にあって、新聞の総売上高は減少
* 「広告収入」▲4.1%に加え、「販売収入」▲0.5%
  ⇒新聞離れの背景 : 
  ①購買力低下(デフレ不況下の所得減ゆえ)
+②コンテンツへの飽き(国民の価値観の変化ゆえ)?

 私が重視したのは、上記②に関することです。このことをマスコミの皆さんに知って欲しかったのです。

 そこで、下述のような資料の構成としたのです。
 私が強調したかったことは、「【2】日本のマスメディアの最近の論調(マクロ経済・財政、構造改革、CO2地球温暖化など)」に関し、≪参考≫として示した「様々な俗説・常識」に対するものです。
 ことここ日本では、「俗説・常識」になっていたとしても、世界の「非常識」もしくは日本(国民)には本当のことを知らせておかないことが、結構あるのです。

 まさにノーム・チョムスキーが、「MANUFACTURING CONSENT: NOAM CHOMSKY AND THE MEDIA」(1992年)で言っていることです。

マスメディアは・・・
①なぐさみと娯楽と恐怖を与える (働くだけに隷属させる)
②ニュースを選別する (国民は教化の対象)  
③反対意見を小さく見せる  (世論の誘導)
④本当に重要な問題を語らない (現体制の保持)
⑤ただ過大な利潤を求める (広告主のみを見ている)
⑥人びとを孤立させる (考えさせない、気付かせない)

(注)上記①~⑥のカッコ内の記述は、私が補足。


=====≪quote≫
「政権交代に伴う世論の変化やオルタナティブメディア台頭に伴うマスメディアの行方」

2009年11月25日(水)14:00~15:30

新保 豊
JRI 日本総合研究所 理事・主席研究員
(通信メディア・ハイテク戦略クラスター長兼務)

【1】マスメディアの最近の傾向(現状認識:新聞・テレビの存在感の低下)

■広告費に見るインターネットとマスメディアの明暗
▼米国と日本における新聞発行部数の比較・ランキング
▼新聞の発行部数の推移
▼新聞の総売上高の推移
≪参考≫新聞の広告量推移

【2】日本のマスメディアの最近の論調(マクロ経済・財政、構造改革、CO2地球温暖化など)

■「経済成長(景気)や経済予測」に関する最近の論調
≪参考≫主要国GDP比較に見る日本の経済成長の低迷さは異様
≪参考≫金融ビッグバン(国際会計基準など)と資金流出
≪参考≫膨大な外為資金運用による外需下支え(内需に資金が回っていない)
≪参考≫信用創造量と名目GDP伸び率の関係
≪参考≫日米の金融政策比較
≪参考≫部門別の資金過不足推移と日本経済の低迷と水準維持のメカニズム
≪参考≫日本経済に「デフレギャップ」は殆ど存在しない!?
≪参考≫GNPギャップ(デフレギャップ)の定義
≪参考≫日経新聞における潜在成長率の定義
≪参考≫内閣府モデルによるデフレーター予測値と実際値との乖離
≪参考≫ケインズの乗数効果を考える
≪参考≫内閣府の乗数値を使った実質GDPの押し上げ効果試算
≪参考≫GDP=「乗数効果」×「有効需要支出」
≪参考≫世界のGDPに占める日本の存在感と財政出動
≪参考≫非現実的な経済財政モデル(内閣府モデル)

■「財政」に関する最近の論調
≪参考≫債務残高の対GDP比による国際比較の誤解
≪参考≫日本の新規財源債発行額(年間)とその残高および長期金利の推移
≪参考≫真のデフレギャップの規模
≪参考≫名目GDPの成長率と税収の伸び率および税収のGDPにおける弾性値
≪参考≫デフレギャップ(真の財源)利用した経済対策と劇的な効果

■「構造改革」に関する最近の論調
≪参考≫「CHANGE」?されたオバマ政権の主要閣僚・顧問らの顔ぶれ
≪参考≫オバマ政権への期待、その幻想と真意を知る
≪参考≫『年次改革要望書』に見るオバマ政権の意志

■「地球温暖化の原因?CO2削減」に関する最近の論調
≪参考≫ CO2濃度変化(原因)と気温変化(結果)の因果関係は逆
≪参考≫温暖化へのCO2影響度は僅か(むしろ雲=水蒸気が主因)
≪参考≫気温は過去100年間以上(CO2増加の前から)上昇基調にある
≪参考≫国連組織IPCCのこれまでの動き
≪参考≫原発と原潜からの廃温水で海温は上昇

■「原発・原子力」に関する最近の論調
≪参考≫低く喧伝されている原発コストと非効率なエネルギー利用効率
≪参考≫専門家のアバウトな想定式を判断基準に置いている危うさ
≪参考≫PWR(加圧水)型燃料集合体の構造と汚染冷却水の海中への還流
≪参考≫核燃料サイクル施設と活断層地形
≪参考≫再処理工場や英セラフィールドからの広範囲の放射能汚染
≪参考≫最近の米国と過去の日本での水/CO2と地震の関係

【3】メディアの変遷と将来シナリオ(マスメディアからオルタナティブメディアへ)

■メディアの分化(メディア2.0の出現)
≪参考≫メディア2.0市場の位置づけ
▼マスメディアとメディア2.0の社会的影響力
≪参考≫メディア内の主体構造の変化

■オルタナティブメディアへの変遷
≪参考≫米国The HuffingtonPost(創業4年のオンライン新聞)の躍進
≪参考≫News Corporationグループに見るグローバル市場での独占・寡占化

■シナリオ別のマスメディアのゆくえ
▼トレンド・シナリオA
* マスコミの地盤沈下続く
* インターネットの存在感増大
▼激震シナリオB
* マスコミのビジネスモデル瓦解
* オルタナティブメディアとの主役交替(シナリオB1)
* インターネットの終焉(シナリオB2)

■最後に
=====≪unquote≫


 長くなりますので、上記内容については、今回は触れません。

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2009年11月20日 (金)

【マスコミ記者勉強会】政権交代に伴う世論の変化やオルタナティブメディア台頭に伴うマスメディアの行方

 今朝(2009年11月20日〔金〕)、私の所属する会社の広報部から、来週私が担当することになっている「マスコミ記者勉強会」向けのアナウンスがありました。
 当件は、金融記者クラブ、経済研究会、財政研究会、経済産業記者会、金融庁記者クラブ、霞クラブにて登録しているようです。

 当ブログには、マスコミの皆さんも多少はアクセスがあるようですので、少し補足しておきます。

 恐らくアナウンスされた文面は、次のものになると思います。
 若干、オリジナルの文章が、マスコミさんを意識 してか、欠落していますので、それをここで補っておきます。このことは、本当はとても大事なことなのです。


■公開版

=====≪quote≫
 今般、下記内容にて勉強会を開催する運びとなりました。
 お忙しい中とは存じますが多数のご参加を賜りますようお願い申し上げます。

                            記

1.日 時 :
 2009年11月25日(水)14:00~15:30
    
2.場 所:
 日本総合研究所 東京本社
 東京都千代田区一番町16番
 <地図>→ http://www.jri.co.jp
 電話:(03)3288-4606(広報部)

3.テーマ:
≪次世代の国づくり」記者勉強会≫
『政権交代に伴う世論の変化やオルタナティブメディア台頭に伴うマスメディアの行方』

 新政権へ移行後、国民にとっての価値観の変化、所得減少に伴う購買力の低下など、マスメディアを取り巻く環境も大きく変化しようとしています。

 今回は、マスメディアの影響力の減退や、勢いを増すインターネットメディア(=オルタナティブメディア)の台頭など、メディア界を取り巻く現状を確認した後、メディアのビジネスモデルや関連制度が持つ課題や、現在、日本のマスメディアが陥っている矛盾などに触れ、マスメディアやオルタナティブメディアの将来シナリオについて、理事の新保豊が解説を試みます。

※今回はご参加の皆様と活発な意見を交わしながらの勉強会にしたいと思いますのでディスカッションスタイルの会場を用意しております。

4.出席者:
 理事  新保 豊

*ご参加にあたっての事前予約等は不要です。当日直接会場にお越し下さい。

以上
=====≪unquote≫


 世の中に事なかれ主義が蔓延しているのか、あるいはどの会社の広報部にとっても、マスコミさんは、彼らにとっての“お客様”となっているため、あまりストレートに表現できない事情・立場があります。きっとそう言うことでしょう。^^;

 シンクタンク・コンサルティング業界の者(特に研究員、エコノミスト、コンサルタント)が、マスコミにおもねるようになれば、お終いです。どちらが上だという話しではなく、お互いよき牽制作用が機能する関係を構築しておくこと、それを維持できること、これらのことが尊いのです。

 オリジナルの文章(テーマの概要)では、下述のように、青字下線部のものがありました。

■オリジナル版

=====≪quote≫
(略)

3.テーマ:
≪次世代の国づくり」記者勉強会≫
『政権交代に伴う世論の変化やオルタナティブメディア台頭に伴うマスメディアの行方』

 新政権へ移行後、国民にとっての価値観の変化(正しいものに対する目覚めの兆し)、所得減少に伴う購買力の低下など、マスコミを取り巻く環境(コンテンツの質要素、財務要素)も大きく変化しようとしています。

 今回は、マスコミの影響力の減退や、勢いを増すインターネットメディア(≒オルタナティブメディア)の台頭などマスコミを取り巻く現状(カニバリズムの拡大)を確認した後、マスコミのビジネスモデルや関連制度(寡占・独占状態を許容してきたもの)が持つ課題や、現在、日本のマスコミが陥っている矛盾・間違い(世界の経済・金融、マクロ経済・財政、環境・エネルギー問題についての日本の非常識)などに触れつつ、マスメディアやオルタナティブメディアにとっての将来シナリオ(トレンド型、激震型)について、弊社理事の新保豊が解説を試みます。

(略)
=====≪unquote≫

 臭いものに蓋をしたままでは、本当の知識と実態をつかむことはできません。

 当日、私が説明できる時間は1時間ほどでしょうから、あまり広く・深く、それぞれの内容面(日本の非常識:マクロ経済、金融、財政、環境エネルギー問題など)を掘り下げることはできないでしょう。

 また、日本のマスメディアは、その発行部数や広告・販売収入の減少(新聞)や視聴率低迷(テレビ)など、このままではジリ貧必至です。

 その背景には、 ①購買力低下(デフレ不況下の所得減ゆえ)②コンテンツへの飽き(国民の価値観の変化ゆえ)といった大きな要因が横たわっているのです。

 私は日本のマスコミの場合、同①以上に同②に関する要因が深刻だと考えています。そして、その舵取りを見誤ると、「激震型シナリオ」を踏むことになるのではないかと・・・

 米国では、特に同②に対する動きとして、例えば、『HuffingtonPost』などの無料・広告ビジネスモデルを主とするオンライン新聞がブレイクしています。今や900万ほどの購買者数を獲得し、WashingtonPost(オンライン版)を抜き去る勢いがあります。

 『Democracy Now!』では、寄付(donation)モデルを主とする運営が行われているようです。マスメディアに替わる、「オルタナティブメディア」の先駆けのような存在です。ここが取り上げるコンテンツ(映像作品など)は、私も社会人MBAの授業で取り上げています。とても勉強になるものばかりです。日本のマスコミが、報道しないため、一部国民(覚醒した市民)にとって、この種のコンテンツでなければ、もはや満足していないのだと思います。

 その他、有料購買モデルとして、元ジャーナリストなどによる大変充実したスタッフを抱える『politico.com』(米国Washington D.C.)などがあります。ここは年200ドルの購読料をとりながらも躍進し、米国のメディア業界にあって異彩を放っています。

(注)読者からのコメントを下に記し(再掲)、訂正・補完しておきたいと思います(2009年12月5日)。
=====≪quote≫
 上記記事で、Politico.comへの言及があり、年200ドルなのに躍進している云々とありますが、誤解を招きかねない表現でしたので一言。
 200ドルというのは、議会会期中は連日発行される紙の新聞を配達(おそらく全て郵送)してもらう場合の料金です。国内は一律で、海外は600ドルです。
 ワシントンDC内外では無料配布です。もちろん、サイト閲覧はすべて無料です。
=====≪unquote≫
  このBlogでは示していませんが、私が説明に使った「2×2」マトリクス、つまり、横軸の左側に「マスメディア(オールドメディア)、同右側に「インターネットメディア(オルタナティブメディア)、また縦軸上側に「無料(広告)モデル」、同下側に「有料購読モデル」において、『Politico.com』は右下部分と同時に左上部分でもある、ということになります。



 日本では、『田中宇プラス』(半年で3,000円)などもあります。私も愛読者の一人です。田中宇(たなか・さかい)さんによれば、30万人ほどの読者がいるようです。こうなると、確か30万台の英『GUARDIAN』や仏『Le Monde』に迫る勢いです。素晴らしい。

 このような元ジャーナリストによる高質記事のコンテンツへの魅力度が高まるにつれ、既に米国などでは胎動しつつある、「ジャーナリストのマイグレーション」、つまり、メインストリートに現在所属しているジャーナリストの、マスメディア業界からオルタナティブメディア業界への移動(ジャーナリスト自身の覚醒)が、早晩日本でも起こることが考えられるのです。そうなって欲しいと考えています。(^-^)

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2009年4月 7日 (火)

【マスコミ向け】“慈善団体国家”に求められるトランス・グローバルな見方・考え方

20090407_4  先日(2009年4月)に、弊社ブランド広報室から依頼があり、簡単な原稿を書きました。主にマスコミの記者向けの媒体に掲載するものです。弊社では昨年から、「次世代の国づくり」という標語のもと、様々な情報発信活動を対外向けに行っています。
20090407jri
 バックデートで、当Blogに再掲しておきます。

 私の主張は、同標語には適ったものだと思いますが、恐らく関係部署(経済や金融、環境・エネルギー問題を扱っている部門やチーム)での見方とは、ちょいと(?)違ったものになっているのではないかと思います。

 ただ私は、同じ会社の仲間の間にあって、たとえ見方・考えが異なっていても、お互い正論と考えることを表明しておくことが大事だと思います。
 その過程があってこそ、より核心を突く価値ある論考に発展、そして、実効性のある政策やアクションにつながっていくものと考えますので・・・(^-^)


=====≪quote≫

“慈善団体国家”に求められるトランス・グローバルな見方・考え方
 新保豊 (『日本総研ニュースレター』2009年5月号 第10号)

 なぜ経済はもっと上向かないのか。富は流出するばかりで、この国は本気で国益を追求する気配がない。その上、今般の金融危機はわが国の不調な実体経済をさらに悪化させている。戦後最大の国難に直面しているのだ。国難(国益の毀損)を招いている、主だった見方(誤認事項)を4つ挙げてみよう。

【1】経済は市場に委ねておけばよいとする新古典派経済学的な見方(主流派)

 デフレ状況を脱し健全な経済成長を遂げるには、市場機能がもっと働くようにと構造改革の号令をかける。しかし、対GDPの在庫変動額比率は過去20年間0.3~0.6%であり、企業部門は需要変動に応じ極めて敏速に商品を供給している。日本市場は既に十分機能しているどころか、外国に比べ極めて優秀でさえあるのだ。

 問題はそこにはなくマネーの総量にある。今着手すべきことは、年数百兆円(公表されるような僅か20兆円ほどではない)にも及ぶ膨大なデフレギャップを活かし、日銀に負債を持つ必要のない、新たなマネーを創り投入(現行法で可能な政府貨幣を発行)することだ。同ギャップ(=真の財源)があるためインフレにはなりようがない。総需要が拡大しさえすれば、高度な資本設備をもち優秀な労働力を抱える日本企業はみな復活する。

【2】生産性向上を経済成長の最後の切り札とするサプライサイド派(新古典派の一種)の考え方

 資本設備と労働力が余剰であるため、経済成長はしないと決め付け、第3の要素として生産性を持ち出す。特に労働生産性〔=付加価値÷労働投入量〕が低いことが経済成長を阻んでいると見る。

 デフレ(総需要不足)で売上高が減少するなか、株主資本主義(グローバリズム)のもと株主配当を高める一方、人件費を下げざるを得ない(購買力が落ちる)ため、つまり付加価値(≒営業利益+人件費+減価償却費)が下がるために生産性が低いことになる。

 原因はデフレそのものであり、生産性が低いからでは必ずしもない。従って、生産性が低く企業価値がないからといって“ゾンビ企業”と決め付け市場退出を迫ることはおかしい。退出させるべきは、かの国で公的資金を注入されるゾンビ銀行群ではないのか。

【3】欧米諸国のような金融立国を目指そうとする方向感

 今なお金融立国論は根強い。銀行による過度の信用創造(融資)に加え、インデックス化できるものをことごとく証券化し、その担保掛け目(証券種により異なる融資額率)を利用した新型のレバレッジ信用創造(デリバティブマネーの創出)が、世界の金融危機を招いたことの反省に欠ける。日本の現金融機関は「世界の序列」の脇役(仕掛けられる側)に過ぎず、金融立国など幻想に過ぎない。

 むしろ現在はドルに代わる次代の通貨を巡る戦争が起きているのだから、この戦争で負けないよう(円建てやドル建ての資産が減らないよう)臨むことが重要だ。

【4】CO2地球温暖化犯人説を疑おうともしない姿勢

 2050年までの温暖化ガス削減のため、5,000兆円もの大金を使うなど正気の沙汰ではない。過度な金融活動に規制を設けるだけで、“懸念”される経済的損失(最大で世界のGDPの2割)を埋め合わせてお釣りが来る。

 CO2の量は温暖化ガス全体の僅か0.04%程度に過ぎず、しかも人為的なCO2排出量はうち3%に過ぎない。気温上昇後CO2が増大する明瞭なデータがあるにもかかわらず、因果関係を逆にしてCO2が気温上昇の主因だとするグローバルな喧伝事は、大半の科学者からは疑問視されている。

 効率的な経済を他国に先駆けて実現している日本が1990年基準で排出権取引することで、わが国の資金が一方的に出て行くだけ(経済の縮小)となる。しかもCO2地中化により地震誘発とそれによる原発災害の可能性もある。海外へマネーをばら撒く“慈善団体国家”を今後も標榜していくなら話は別だが、利益追求(マネー獲得)と安全保障という2大“国益”(世界の常識)には見合わない。

■事象に対する捉え方・見方を磨く

 こうした“国益”を損なう誤認事項を導く考え方には、〔A〕物事を専門別に分割・細分化して捉える、〔B〕思考が演繹的で思い込みが強い(事実よりも理論・モデルや権威を重視)、〔C〕世界には序列があることを理解していない(下位とみなされている国や人々には核心的な情報は伝わらない)、のような特徴がある。

 国難に立ち向かうには、これまでのグローバル標準に迎合することではなく、それを超えた(トランス・グローバルな)捉え方・見方が不可欠だろう。換言すれば(自戒の念を込め)、世の中で起こる事象とその背景についての分析・洞察力を磨くことに他ならない。

=====≪unquote≫

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2008年7月30日 (水)

【一言】太陽光発電の普及策に垣間見える背景

20080730  今回も一見「へぇ~、そうなんだ」という類の記事・テーマを取り上げましょう。

 キーワードは、「地球温暖化」、「CO2排出防止」、「太陽光発電の見直し」、「原発ビジネスの再興」、「排出量取引ビジネスの芽生え」です。

 読者の皆さんには、これらキーワードのつながり(その核心)が読めるでしょうか。少なくとも、下述の記事では、その関係をそれなりに説明しているようです。このBlogでは、少々深読みをしてみましょう。

(太字は、私が付しました。写真は、地球温暖化対策推進本部の会合であいさつする福田首相〔中央〕=2008年6月17日午前、首相官邸でのもの。)


=====≪quote≫
■太陽光発電機普及へ、半額目指す…「低炭素」行動案
(読売新聞、2008年7月26日3時6分配信)

 温室効果ガス排出を大幅に減らすため、政府が29日にも閣議決定する「低炭素社会づくり行動計画」案が明らかになった。

 2050年の排出量を現状から60~80%削減する長期目標を掲げた「福田ビジョン」の達成に向けた具体策を示したもので、太陽光発電機器の価格を3~5年後に半額程度にする施策を打ち出す。火力発電所や製鉄所から排出される二酸化炭素(CO2)を地中に閉じ込める「CCS(炭素回収・貯留)」の実用化への道筋なども盛り込んでいる。

 日本の太陽光発電の導入量は04年までは世界一だったが、05年にドイツに抜かれた。行動計画では「世界一の座を再び獲得する」ことを目指し、「思い切った支援策」を講じるとしている。05年度に打ち切った個人住宅での購入費補助の復活や、電力会社が買い取る太陽光発電の電力量を増やすことを検討する。

 住宅向け太陽光発電機器の普及を図ることで、現在200万~300円の価格が3~5年後に半額程度になるよう後押しする。導入量については、20年に現在の10倍、30年には40倍にするとしている。

 温室効果ガスを大幅削減する「革新的技術」として期待がかかるCCSは、来年度に大規模実証実験をスタートさせ、20年までの実用化を目指す。

 原子力発電所の建設についても、着実な実現を目指すとし、電力各社が新規建設を計画している13基の原発のうち、17年度までに9基を新設するとしている。

 このほか、エアコンなどの家電製品や自動車ですでに導入され、エネルギー効率が最良の製品を業界の基準とする「トップランナー方式」を来年4月から建売住宅にも導入する。企業間で温室効果ガスの排出枠を取引する排出量取引制度は10月から試行を始める。
=====≪unquote≫


■私の見方:
(ビジネスパーソンも知っておきたいマクロ経済学的な視点)


 順にこの記事のポイントを追いつつ、深読みをしてみましょう。

◆冒頭に「太陽光発電機普及」に向けた今般の背景として、「温室効果ガス排出を大幅に減らすため」とあります。

 日本でも世界でも、現在「温室効果ガス排出」を軽減するための取り組みが、あたかも“神学”となってしまった感が最近あります。いつのまに、【仮設A】「ガス(主にCO2)」排出により(原因)「温暖化」(結果)していることが真実となってしまったのでしょうか。“科学的”には、この因果関係は証明されていません。むしろ、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)を含む、世界の学者・専門家(科学者)の中には、むしろ原因は「温暖化」であり、その結果が「CO2」排出だ、という見解が増えています。因果関係が逆なのです。

 マスコミや政治家あるいは経済学者の間では、この単純な因果関係の確認を十分せずに、「温室効果ガス排出の軽減」があたかも前提(given)となったような議論・取り組みがなされています。

 槌田敦氏(名城大学教授:資源物理学)、近藤邦明氏(『環境問題』を考えるHP管理者)、伊藤公紀氏(横浜国立大学教授:物理化学・環境計測科学)、渡辺正氏(東大教授:生体機能化学・電気化学・光化学)、丸山茂徳氏(東工大教授:地球惑星科学専攻)ほか、このことを論じている人々は少なくありませんので、このBlogでは繰り返しません。

 このような専門家が主張することに耳を傾けることもせず、膨大なコストをかけ「地球温暖化対策」をしているとしたら、その背景や意図を知らねばなりません。そうでなければ、どうも合点がいかないのです。

◆次に「CCS(炭素回収・貯留)」について。

 【仮設B】「地球温暖化=CO2回収・貯留」という主張です。CO2が温暖化の犯人ということですので、その犯人を退治する。方法として、地中に閉じ込めてしまうものです。

 米国のバテル記念研究所が、米国コロラド州で「帯水層へのCO2注入が誘発する地震活動の調査」をしたことがあるそうです。民主党の風間直樹議員は、2007年10月31日の第168回国会(災害対策特別委員会第3号)で、このレポートのことを質問されています。 地中に水ないしCO2を注入した時、どのような形で地震活動が誘発するかを調べたところ、例えば、デンバーで廃液処理のため、深さ3,671mでCO2注入(注入時圧力は7.6Mpa)したところ、マグニチュード5.5の地震が誘発された模様。他にも類似のデータが報告されているようです。

 つまり、「CO2地中化貯留⇒地震発生」です。このメカニズムについては諸説あるのですが、ここでは深追いは止めましょう。もしこのような因果関係が明確にあるとすれば、慎重を期すことが求められます。

◆「個人住宅での購入費補助の復活」や、「電力会社が買い取る太陽光発電の電力量を増やす」について。

 電気事業連合会やNEDOのデータを基に、太陽光発電の設置容量を、次のようにドイツと日本で比較してみましょう。

   ドイツ :19.1KWh(全発電量6,132kWhの0.31%)

   日本 :14.2 KWh(全発電量10,942kWhの0.13%

 この通り、まずドイツの全発電量は約0.61兆KWh、日本のそれは1.1兆KWhです。両国のGDP比とほぼ相関がありそうな値です。

 次に、太陽光発電の設置容量を見ましょう。ドイツ19.1kWhであり、日本の14.2kWhを近年追い抜きました。記事の通りです。そして、全発電量の太陽光発電が占める割合となりますと、ドイツは0.31%、日本では0.13%です。その比率は2.4倍であり、ドイツの方がよく普及しています。しかし、まだドイツでさえも、全発電量に占める割合は高々0.3%程度に過ぎません。太陽光発電の今後の普及に、さらなる期待が集まるところです。

 ちなみに日本の全発電量の構成比は、石炭28.3%、原子力27.9%、石油13.3%、水力7.2%、天然ガス1.2%、その他2.1%です〔出所:電気事業連合会「原子力・エネルギー図面集」(2008年度版)〕。太陽光発電は、この「その他」の中にあります。一方、原子力は2番目に大きな割合を占めています。

 私はある仕事で、2006年6月のドイツ・ワールドカップの開催時期に、ベルリンまで出向き、ドイツ環境省(BMU)と電力産業連合会(VDEW)の両担当者(政策スペシャリスト、産業アナリスト)から、ドイツのエネルギー政策についてインタビューしたことがあります。ドイツでは、電力会社による太陽光発電の電力を買い取る価格に“よき”規制があり、1KWhあたり150円ほどもあるのに対し、日本では同30円程度です。

  また、電源コストは、太陽光発電で70円前後、原発では7円程度と言われています。水力や石油さらには大規模風力では、およそ10~12円程度ですので、天然ガスや石炭の同5~6円の次に、原発は“安い”ことになっています。原発コストの試算では、運転年数40年、設備利用率80%とすれば、同5.3円まで下がる模様です。いずれにしろ、5~7円ということでかなり安い。しかし、この試算には、「事故なしで運転され設備利用率が低下しない」という極めて楽観的な前提の上で成り立つものらしいのです。つまり、原発コストは実際はもっと高いのです。

◆さて、「13基の原発のうち、17年度までに9基を新設」について。

 原発コストが実際は高いにもかかわらず、現行の55基に加え、今になってなぜ新設することが声高に叫ばれているのでしょうか。経済合理性からすれば、不自然ですね。 ここには、【仮設C】「CO2排出防止⇒原発は最適」というロジックが背景にあるようです。言い換えますと、実際は“少々”高コストであっても、あるいは危険かも知れないが、CO2を発生させないことで、地球にとても“優しい=クリーン”なのです、つまり「原発ビジネスの再興」こそ今まさに求められているのです、と。しかし、本当なのでしょうか・・・

 確かに、ウランの核分裂エネルギーを使うためCO2は出ません。しかし、原発という発電システム全体を考えると、その他様々なエネルギー発生によりCO2は出てしまうのです。例えば、原発の建設時(水力や火力の10~20倍もかかる模様)、核燃料の製造・輸送・管理時、施設の維持・管理時、使用済み核燃料の処分・保管・維持・管理時などに、どうしてもかなりの量のCO2が発生してしまうようです。従って、ちょいとシステム思考をすれば、【仮設C】はかなり怪しいのです。

◆さらに「温室効果ガスの排出枠を取引する排出量取引制度」について。

 【仮定D】「温暖化防止には排出量取引(証券化)が不可欠」という主張がなされています。金融(デリバティブ)経済が実物経済を、その規模(取引額)において遥かに凌駕する昨今、石油や穀物などのあらゆるコモディティ(商品)が投機の対策となり、証券化されています。このマネーゲームの延長に、「排出量取引制度」が位置付けられるのです。CO2温暖化ガスにまでその対象が移ってきました。

 つまり、【仮定D】とは、「金融ビジネス」とつながっているのです。その投資リターン率は、静脈産業といわれて来た「環境ビジネス」などの比ではないでしょう。しかも、その「投資」は日本を筆頭に、世界の主要国(の国民が税金支出の形で)負担するのですから、その収益率は半端ではない でしょう。

 以上の仮設を再掲してみましょう。

【仮設A】「ガス(主にCO2)」排出により(原因)「温暖化」(結果)している

【仮設B】「地球温暖化⇒CO2回収・貯留」

【仮設C】「CO2排出防止⇒原発は最適」

【仮定D】「温暖化防止には排出量取引(証券化)が不可欠」


 う~ん・・・。この帰結点が、「原発ビジネスの再興」 であり、過度の「金融証券化ビジネスの拡大」 。上の記事から、どうやら各キーワードのつながりについて、このように読めそうです。この両ビジネスの是非またはそのつながりの可能性については、今回は触れません。長くなりましたので、またの機会にしましょう。

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2008年4月16日 (水)

【一言】Jパワー株を巡る3つの視点

20080415  年度末の仕事(コンサルティング・プロジェクト)の関係や、ついこの間の土日の大学院MBAコースの授業などの準備もあって、しばらく更新を怠っていました。

 Jパワー株のことがホットな話題のようです。この株式を巡る、次の3つの視点をごく簡単に示しておきましょう。一部、さきほど(4/16水曜の昼休み)に、Jパワー社の「所有者別株式分布状況」や、英TCI社の本音、「原子力政策の後退=安全保障上の危機」という図式など、について加筆しました。文中赤字部分です。

①外為審(や経産省)の今般の判断は、表層的にはごくまともと言ってよいでしょう。
②一方で、英TCI社は、株主至上主義の典型的なファンド会社の行動をとっているまでと考えられます。
③国がJパワーを通じ進めている原子力政策に、もっと国民は目を向けるべきでしょう。

(青の太字下線は、私が付しました。写真は、会合終了後、記者会見する吉野直行・外為審外資特別部会長=財務省で4月15日午後、赤間清広撮影)

=====≪quote≫
<Jパワー株>公の秩序妨げる…英ファンド買い増しに外為審
(2008年4月15日、毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080415-00000121-mai-bus_all


 英投資ファンドによるJパワー(電源開発)株の買い増しを審議している関税・外国為替等審議会(外為
審)の外資特別部会は、15日開いた2回目の会合で「(買い増しは)公の秩序の維持が妨げられる恐れがある」と、買い増しに否定的な意見を全会一致でまとめた。財務、経済産業両省はこの意見をもとに、週内にも投資内容の変更や中止をファンドに勧告する。

 TCIが10日以内に勧告に応じない場合、経産省などはTCIに変更・中止命令を出す方針。

 英投資ファンド「ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスターファンド」(TCI)は現在9.9%保有しているJパワー株を、最大20%まで買い増すことを政府に申請している。

 外国為替及び外国貿易法(外為法)は、外資が電力など国の安全や公益に深くかかわる会社の株式を10%以上取得する場合、国への事前届け出を義務付けている。過去に762件の届け出があったがすべて認められており、「公の秩序に影響を与える恐れがある」として外為審の審議対象となったのは初めて。

 外為審の意見書は「開放された市場は維持されなければならない」としたうえで、「投資活動の結果として公の秩序の維持が妨げられるようなことがあってはならない」と指摘。Jパワーが全国を結ぶ送電線を保有し、原子力発電所の建設も予定していることを挙げ、「送電線をはじめとする基幹設備の運用や維持、原子力政策に不測の影響が及ぶ可能性を否定することはできない」と結論づけた。

 外資特別部会長の吉野直行慶応大教授は「TCIは短期的に(投資先の)株価を上げて撤退するファンドで、電力の安定供給に影響を与えれば日本にとって大きな打撃になる」と判断理由を述べた。【坂本昌信】 
=====≪unquote≫


 同様な記事をもう1つ。(青の太字下線は、私が付しました。写真は、インタビューに答える英ファンド「TCI」アジア代表のジョン・ホー氏=東京都内のホテルで2008年3月28日、岩下幸一郎撮影)

=====≪quote≫
TCI:Jパワー株買い増し却下なら、法的措置も辞さず
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080330k0000m020084000c.html
(2008年3月29日、毎日新聞)

20080328tci  電力卸大手、Jパワー(電源開発)の筆頭株主で株式買い増しを国に申請している英系ファンド「ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスターファンド」(TCI)アジア代表のジョン・ホー氏(31)は毎日新聞のインタビューに応じた。申請が却下されれば「欧州連合(EU)などに訴える」と述べ、法的措置を含め徹底的に争う方針を示した。

 Jパワー株9.9%を保有するTCIは1月、最大20%までの追加取得を国に申請した。外資企業が電力会社株を10%以上保有する場合、政府は安全保障面などで問題があると判断すれば中止を命令できる。経済産業省は5月中旬までに外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく審査の結論を出す見通しだ。

 ホー氏は「経営支配の意図はない。20%では安全保障上の問題が起きるはずもない」と強調し「安全保障の基準がわからない」と手続きの不透明さを批判した。また、申請が却下された場合は「海外投資家の日本離れを加速する」と警告した。

 TCIは27日、Jパワー経営陣に提言書を提出、電力会社だけではなく大口需要家への電力販売や高成長地域に限定した海外投資を求めた。ホー氏は「電力自由化の追い風を生かすべきだ。海外事業も選択と集中が必要」と述べた。

 また、大幅増配を今年も株主総会で求めるかについては「今後検討するが、計算上は現在の2倍の1株120円程度が適当な水準」との認識を示した。【増田博樹】
=====≪unquote≫


 最も注目すべきは、実はこちらの記事です。静かに「世界初のプルサーマル専用の商用炉」の稼動が進んでいるようです。

=====≪quote≫
Jパワーがこじっかりで始まる「青森県に大間原子力発電所を建設着工する見通し」と一部紙
http://mainichi.jp/life/money/kabu/nsj/news/2008041577332.html
(2008年4月15日、NSJショートライブ)

 5月に、青森県に大間原子力発電所を建設着工する見通しと一部紙が報じたものの、特段材料視はされていない模様。

 Jパワーの9時16分現在の株価は、10円高の3,540円。

 大間原発は使用済み核燃料から作るウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料だけで動く、世界初のプルサーマル専用の商用炉となるという。
=====≪unquote≫

■私の見方:
(ビジネスパーソンも知っておきたいマクロ経済学的な視点)

外為審(や経産省)の今般の判断は、表層的にはごくまともと言ってよいでしょう

 「公の秩序の維持が妨げられる恐れ」において、「公」とは「安全保障面」に関することです。表層的には、何もおかしくありません。

 Jパワーの「所有者別株式分布状況を同社のHPで確認すると、既に約40%が外国法人等の所有となっています。今時のグローバリズムの流れのなか、とかく外資は緊密なビジネス・ネットワークを形成している場合が少なくありません。(あくまで可能性を示しているだけですが)。従って、国の基幹産業に対する株式の買い増しについて、用心するに越したことはありません。こう考える方が、国際社会の常識なのです。

 つまり、英TCI社の現行の株式保有率約10%が今後20%となれば、外国法人全体ではプラス10%が加わり、子会社化が可能な50%超に及ぶのです。こうなれば、Jパワーの経営支配権が確立します。従って、同社ホー氏の言い分は実質詭弁とみなされましょう。このような判断が外為審にあるだろうことは容易に想像できます。


 海外において、例えば、かつて英国が、ヒースロー空港を完全民営化・自由化した際に、スペインの企業が、英民間会社を買収しようとした時、英政府はまったをかけました。
 また、米国の空港管理会社の支配権が、英企業からアラブ企業に乗り変えられそうになった際、やはり米国政府はそれを防ぎました。(英企業では、なぜかよいのですね。)

 このように、国家のインフラ産業が外資により経営権を支配されそうな時に、こと安全保障面で国が憂慮することは、ごく自然な行動です。
 ただし、こと電力産業(特に原発産業)の場合には、下述③の別の安全保障上の問題が潜んでいることに気づかねばなりません。


一方で、英TCI社は、株主至上主義の典型的なファンド会社の行動をとっているまでと考えられます

 TCI社は短期的には「大幅増配」、あるいは“株主資本主義”を地で行くファンド会社は、株主向けに利益を最大化したいだけ。このことを目論んでいるのです。つまり、上記①で示したように、同社が20%の株式保有率を目指すのもJパワー社の余剰金欲しさ、というところが本音ではないかと推察されます。

 アングロサクソン系のファンド会社や多国籍企業とは、お決まりの新自由主義(民営化、自由化〔電力自由化の追い風〕、市場競争促進)のパラダイムに基づき、世界の市場を単一化した自由競争市場とみなし、さらにはターゲットとする国の市場にもこれを求め、あくまで株主へのリターンを上げ続けねばならない人々で構成されています。一般論ですが。

 そして、「海外投資家の日本離れを加速」などといった常套文句を、必ずといって口にします。しかし、投資には、よい投資と悪い投資(日本国の国益に適う投資と適わない投資)がありますので、もし後者のケースであれば、「日本離れ」をして頂く方が、安全保障面というよりも、国民経済的にも、むしろわが国の国益に適うものです。



国がJパワーを通じ進めている原子力政策に、もっと国民は目を向けるべきでしょう

 このBlogでこれ以上のことを書くことはできませんので、一言だけ。私たち国民は、上記①や②に関することよりも、「原子力政策に不測の影響」とか、あるいは「電力の安定供給に影響を与えれば日本にとって大きな打撃」の意味やその裏で進んでいることに、もっと目を向けることが遥かに重要です。

 つまり、英TCI社ほか外国人株主が動くことで、わが国の原子力政策を妨げる方向に向かうことが、国および利害関係者の最も気にするところでしょう。言い換えますと、「原子力政策の後退=安全保障上の危機」という図式が底辺にあり、実はこの等式が本当に成立するのか(こうなることが真の国益にかなうのか)を、チェックすることが国民には求められています。

 近年、風力発電や太陽光発電などの新エネルギーの単位発電コストは、大きく下がって来ており、原発のかなりの部分を代替できるはずです。

 また、ドイツやスウェーデンのような電力料金システムに倣えば(夏場の電力ピークを緩和させるような料金制度への改定、さらには電力使用時間の増大に伴い電力料金も高くするような料金制度の設計)、現行の原子力政策を何が何でも堅持する必要はなくなると言われています。

 経産省担当者や外為審外資特別部会長さんは、このこと(上述①のような表層的ではないこと)を恐らくご存知でしょうから。

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2007年11月 2日 (金)

【一言】直下地震による被害想定でカウントされていない?要因

2007120071102   この内容はとても重要なことですので、ごく簡単に取り上げておきましょう。

(青の太字下線は、私が付しました。画像は記事とは関係ありません。)

=====≪quote≫
近畿直下地震、死者4万2000人・中央防災会議が被害想定
(NIKKEI NET、2007年11月1日)

 政府の中央防災会議の「東南海、南海地震等に関する専門調査会」(座長・土岐憲三立命館大教授)は1日、近畿・中部圏直下を震源とするマグニチュード(M)7―8級の地震の被害想定をまとめた。震源などが異なる13の地震を想定。大阪や名古屋など広い範囲で震度6強以上を観測、近畿直下型で最大約4万2,000人、中部は同約1万1,000人の死者が出ると算出した。

 近畿圏も中部圏も揺れによる犠牲者が総死者数の8割を超え、住宅の耐震化が急務と言えそうだ。調査会は近くライフラインや交通などの経済被害も算出した最終的な想定をまとめ、2008年度をめどに復旧復興対策などを盛り込んだ「地震対策大綱」を作成する方針。

 近畿圏は大阪湾沿岸部を縦断する「上町断層帯」の地震(M7.6)による被害が最大。冬の午前5時の発生(風速15メートル)で死者約4万2,000人、同正午の発生で全壊・焼失家屋約97万棟と予想。大阪市や堺市などで震度7を観測し、死者の約81%が家屋倒壊など揺れそのものが原因で亡くなるという。(18:35)

首都直下震度6強なら半年後も64万人避難所に・防災会議試算
(NIKKEI NET、2007年10月3日)

 震度6強クラスの首都直下地震が発生した場合、発生から半年が経過しても東京、千葉、埼玉、神奈川の各都県で約27万世帯、約64万人が避難所生活を余儀なくされることが2日、国の中央防災会議の試算で分かった。阪神大震災発生半年後の避難者数(約1万7500人)の約36倍に相当する。

 内閣府は「仮設住宅や応急修理した住宅だけでは足らず、各自治体と相談して民間住宅を確保しなければ」と危機感を強めている。(09:21)
=====≪unquote≫

■私の見方:
(ビジネスパーソンも知っておきたいマクロ経済学的な視点)

 一般的なマスコミ報道では、上の2つの記事のような表現で留まることが大半でしょう。

 マスコミ報道の多くは、「全壊・焼失家屋」や「家屋倒壊」といった被害のことが中心となります。もちろん、そのニュースの元となる「調査会」の発表の仕方が、そもそもこのようなレベルの分析・公表に留まるからでしょう。

 しかし、地震国の日本で最も留意すべきことは、地震による原発事故です。マスコミ報道の中には、多少突っ込んだものもあります。例えば、次のように、「即発臨海」の危険性を取り上げたものです。「最悪なら急激な核反応が一気に起きる即発臨界の状態になっていた可能性がある」という部分に注意する必要があります。

=====≪quote≫
志賀原発、最悪なら即発臨界も 日本原子力技術協が解析
(朝日COM、2007年4月11日13:32)

 北陸電力志賀原発1号機(石川県)の臨界事故を受けて、日本原子力技術協会が当時の状況を解析したところ、最悪なら急激な核反応が一気に起きる即発臨界の状態になっていた可能性があることが11日、わかった。

=====≪unquote≫

 通常の原子炉内での臨界は「遅発臨界」によって生じます。しかし、「即発臨海」が実際に起こった例があります。 

 1986年4月26日、ソビエト連邦(現 ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所で起きた事故です。メルトダウンののち爆発し、放射性降下物がウクライナ、ベラルーシ、ロシアなどを汚染しました。事故後のソ連政府の対応の遅れなどが重なり、被害が甚大化・広範化し、史上最悪の原子力事故となったものです。

 これまで知られてこなかった驚くべき事実があります。この史上最悪の原子力事故が、実は震度4の地震によるものだったということです【船瀬俊介『巨大地震が原発を襲う』地湧社、2007年9月】。

 「即発臨界」というのは原爆の核爆発の際に生じる現象です。核分裂反応が千分の一秒単位という短時間に急激に進行して人間による制御が不可能になる現象を言います。

 もし地震により「即発臨界」が生じた場合、その経済的な被害は計り知れません。「ライフラインや交通などの経済被害」などで、済まされないことは容易に想像できます。

 チェルノブイリがそうであったように、「震災地=原発爆発地」の周辺では多数の人々が即死し、ライフラインや交通どころか、まったく人気の無くなるような廃墟の状態になるでしょう。これが近畿地方で起きれば関西経済圏が、また中越あたりで起きたとしても東京都心を含む関東経済圏の経済的機能は、ほぼ完全に麻痺すること必至でしょう。

 そうなれば円は紙くず同然となり、生産設備は稼動停止になり、未曾有の社会的・経済的な混乱が生じることになります。もちろん私たちの生命さえも危険にさらされます。「調査会」ではこうしたリスクが皆無ではないことを想定した上で、真に重要で有効な回避方法や解決方法を早急に模索することが求められているのではないでしょうか。

 参考までに、ウィキペディアの「臨界状態」から、関連用語を抜粋しておきましょう。

=====≪quote≫
 原子核分裂の反応によって生成される中性子は、原子核が分裂した直後に発生する即発中性子と分裂後の原子核がベータ崩壊を起こすことによって二次的に発生する遅発中性子とに分けられる。臨界に達するのに遅発中性子が必要な場合、遅発臨界と呼んで区別する場合がある。この時、即発中性子のみで臨界に達するならばこれを即発臨界と呼ぶ。

 連鎖反応が遅発臨界状態となっている場合、反応速度は遅発中性子の推移に左右されるため外部から制御可能になるという重要な性質がある。従って、全ての原子力発電所の炉心ではこの状態で運転されている。一方で即発超臨界となった場合はもはや制御不能であり、その反応の中心は即座に爆発を起こす

(出所)ウィキペディア

=====≪unquote≫

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