« 【ICT業界向け講演】クラウドサービスの国際展開に向けた方向性とその戦略 | トップページ | 【講演】日本経済の構造的問題点を踏まえた今後の経済発展のための処方箋案 »

2011年1月12日 (水)

【社内マクロ経済勉強会】財政支出や増税の意味の一部

 いつもの早朝のマクロ経済勉強会の実施前日に、アナウンスしたeメールを貼り付けておきます。
 少し加筆しました。

=====≪quote≫
■JRIマクロ勉強会:20110112.●ノート(財政支出・増税の意味)_0111-2132shimbo

 このファイルで明日水曜、勉強したいと思います。
 これまでも(前回も)、財政支出の意味について勉強してきた、その続きです。

 “リーマン・ショック”の際、NYウォール街の人々に、「我々はもしかするとミンスキーの時間にいるのかも知れない」と言わしめた、故ハイマン・ミンスキー教授(セントルイスの名門Washington大学)も、あるいは日本のシンクタンクでは数少ない、正論を主張しているエコノミストの野村総研のリチャード・クー氏などが、重視する方策です。

 バブル経済(“リーマン・ショック”前)の崩壊後の、世界のデフレ傾向にあっての、実質唯一のデフレ脱却方法が、この財政支出です。ミンスキーは『金融不安定性の経済学』(1986年)の中でこのことを、既に予言していました。

 また、クー氏はこの構造的なデフレ現象を示す「バランスシート不況」なる概念を世に問い、英国、オランダ、豪州、EUなどでの講演に引っ張りだこで、今や大変注目されている、世界では時の人です。
 他方、日本のマスコミには、特に2001年の小泉構造改革以降、殆ど登場しなくなりました。この差は一体何でしょうか・・・・・?

 ちなみに、クー氏の『デフレとバランスシート不況の経済学』(2003年10月)の中の「バランスシート不況」のことは、上述のハイマン・ミンスキーの1986年の原著では、「負債デフレ」という表現で、本質的にはほぼ同じことが10年以上前に指摘されていました。

 ただ、前者が特に一般企業や金融機関のバランスシートの毀損ゆえの投資活動の不活発化を強調しているのに対し、後者では、政府支出がもたらす一般企業や金融機関および家計へのバランスシート上の恩恵(優良資産=優良負債の増強や、家計の借金の減少)にフォーカスしているという、本質的には同じことですが、若干の重点の置き方の違いは認められるところかと思います。

 ミンスキーは、米国経済(特に1970年代の不況時)を実証的に分析し、「巨大な政府債務の存在」が、貴重な“ポートフォリオ安定化装置”として機能してきたことを明らかにしています。政府債務は、一般企業や家計の単なる借金・負債とは、全く異なる性格を持つという核心を突いた指摘だと思います。

 シンクタンクとしては競合にある野村さんではありますが、クー氏の主張は正しいものです。ただ、クー氏は米NY連銀出身ゆえか、その考え方や視点において、ある種の縛りがあるのではないかと感じられるところはあります。あくまでも感想とか印象の類ですが。

 この勉強会での、財政支出シリーズもそろそろ終わり、その後はNY連銀などをはじめとする中央銀行シリーズへ、近く移行していくことになると思います。その際に、その縛りのことも勉強しましょう。

 では明日、集まれる人で、続きを行いましょう。
=====≪unquote≫

|

« 【ICT業界向け講演】クラウドサービスの国際展開に向けた方向性とその戦略 | トップページ | 【講演】日本経済の構造的問題点を踏まえた今後の経済発展のための処方箋案 »

1.マクロ経済(財政・金融)とグローバリズム」カテゴリの記事

8.勉強会・研究会(社内および社外産官学活動)など」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【社内マクロ経済勉強会】財政支出や増税の意味の一部:

« 【ICT業界向け講演】クラウドサービスの国際展開に向けた方向性とその戦略 | トップページ | 【講演】日本経済の構造的問題点を踏まえた今後の経済発展のための処方箋案 »