« 【財政】消費税増税となれば景気は悪化の一途を辿ること必至 | トップページ | 【マクロ経済】アブダクション法を通じた経済学の理解 »

2010年2月26日 (金)

【米国の財政】10兆ドルなどではなく99兆ドル(債務比率700%)!?

 昨年(2009年2月)に、米国ダラス連銀総裁(米国の中央銀行の地域組織)のリチャード・フィッシャー氏が、中国高官に対して口にした、恐らく本当の米国の公的債務残高について記しておきます。

 この数字は、米国FRBや日本のマスコミなどが報じる値の約10倍近いもの99兆ドル:年金や医療債務などを含むもの)であり、驚愕すべきものです。以前から私はこの程度の数字は予想していましたが・・・。

 何となれば、ここでは詳細を記しませんが、米国CBSの人気番組CBS 60 Minutes」(2008年10月27日放送) などで、 デビット・ウォーカー〔David Walker〕氏(元米会計監査院長:GAOトップ、かつ米国政府監査院長: Comptroller General of the United States)が、やはり53兆ドル(2007年9月時点)といった数字を、次のように公表していたからです。
≪The nation's real tab, on the other hand, amounted to $53 trillion as of the end of the last fiscal year. That was the sum of our public debt; accrued civilian and military retirement benefits; unfunded, promised Social Security and Medicare benefits; and other financial obligations — all according to the government's most recent financial statement of September 30, 2007.≫

 オリジナルの映像(YouTube上)は削除されていますので、2005年時点で46兆ドルと言及していた映像をご参考まで。
http://www.youtube.com/watch?v=KIgrxpp97OQ
≪参考≫関連映像
http://www.youtube.com/watch?v=OS2fI2p9iVs

 ちなみに、“リーマン・ショック”前(2007年頃)の世界のGDPは約50兆ドル(≒5,000兆円)ほど。また最近の米国の名目GDPは14兆ドル程度です。

 では、問題の発言記事(英国のテレグラフ紙)から、重要な部分を抜粋し、簡単に日本語訳を付しておきます。

Richard Fisher, president of the Dallas Federal Reserve Bank, said: "Senior officials of the Chinese government grilled me about whether or not we are going to monetise the actions of our legislature." ≫

【日本語訳】≪ダラス連銀のリチャード・フィッシャー総裁は、「中国政府高官が、米国議会の貨幣発行(鋳造)をするつもりなのかどうか、私を随分と厳しく尋問・詰問した」と語った。≫
【補足】中国は大量の米国債を所有していますので、今後の米国債の価値が下落する可能性がないのか、とても心配で仕方ないのです。

≪~has been running a fervent campaign to alert Americans to the "very big hole" in unfunded pension and health-care liabilities built up by a careless political class over the years.

【日本語訳】≪~長年、不注意な政治家たちによって積み上げられた資金がない、年金と医療債務に空いた巨大な穴を米国人に警告するための熱心なキャンペーンを行っている。≫
【補足】別の地域連銀総裁によれば、純粋な米国公的債務残高は50兆~60兆ドルのようですが、それに年金や医療などに関する債務を加えた、実質的な公的債務残高のことを述べています。

≪We at the Dallas Fed believe
the total is over $99 trillion," ≫

【日本語訳】≪ダラス連銀の私たちは、総額が99兆ドルを超えるものと信じている。≫
【補足】驚くべき数字です。簡素化のため1ドル=100円として、99兆ドルは9,900兆円です。
 債務率(粗債務率)=粗債務÷名目GDP=99兆ドル÷14兆ドル≒700%です。
 先進主要国でダントツ最大と言われている、日本の粗債務比率は190%程度ですが、それよりも3.7倍ほども大きいのです。

 ちなみに、より正確に日本の債務状態を見るには、
「純債務比率」で見るべき。それは高々60%程度です(欧米諸国並み)ので、日本が財政危機にある(破綻している)と喧伝されているのは、おかしな話であり、別の意図(例:増税したいなど)があるのです。「純債務」=粗債務-金融資産の等式のうち、欧米諸国の政府は金融資産を殆ど持っていないため、「粗債務率」でみても、「純債務率」でみてもそう数字は変わりません。

 このような数字(債務比率700%)が本当であれば、実質米国は経済破綻していると言えるのでしょうが、そこは米ドルが基軸通貨ゆえの政治経済力があり、過去の国々(例:メキシコ、アルゼンチンなど)とは若干異なる様子があります。

 それは、①
限りなく0に近い預金準備率によるマネー創造(米ドルを大量に刷っていること)、および②他国からのマネーの流入(日本や中国、最近では英国からの米国債の買い支え)により、財政を“バランス”させている(させることができる)ものと推察されるからです。
 ただし、後者(②)については、このフィッシャー連銀総裁が言及しているように、中国からの売り圧力が、最近では相当にあるように思われます。実際昨年(2009年)末には、中国保有のかなりの米国債が売却されたと、マスコミは報じています。

 こうなると、今年の上海万博終了後(2010年10月末)あたりの、中国と米国との駆け引きの行方が、日本経済にもかなりの影響を及ぼすことの可能性が出てきそうです。
 従って、上記のような数字に関する把握・認識、あるいは米中間の水面下のパワーポリティクスを考慮に入れない限り、凡庸なエコノミストや経済学者の大半の主張・予想は、まったく当てにならないものとなるでしょう。

 このことに関連する大事な動き(中国によるデリバティブ商品を巡る米国への圧力・牽制など)を、参考にここに示してあります。
⇒ 【マクロ経済・金融】米国経済(債券・ドル)の価値は中国の出方にかかっている



=====≪quote≫
■China warns Federal Reserve over 'printing money'
China has warned a top member of the US Federal Reserve that it is increasingly disturbed by the Fed's direct purchase of US Treasury bonds.

By Ambrose Evans-Pritchard
24 May 2009, TELEGRAPH.CO.UK
http://www.telegraph.co.uk/finance/financetopics/financialcrisis/5379285/China-warns-Federal-Reserve-over-printing-money.html

Richard Fisher, president of the Dallas Federal Reserve Bank, said: "Senior officials of the Chinese government grilled me about whether or not we are going to monetise the actions of our legislature."

"I must have been asked about that a hundred times in China. I was asked at every single meeting about our purchases of Treasuries. That seemed to be the principal preoccupation of those that were invested with their surpluses mostly in the United States," he told the Wall Street Journal.

Mr Fisher, the Fed's leading hawk, was a fierce opponent of the original decision to buy Treasury debt, fearing that it would lead to a blurring of the line between fiscal and monetary policy – and could all too easily degenerate into Argentine-style financing of uncontrolled spending.

However, he agreed that the Fed was forced to take emergency action after the financial system "literally fell apart".

Nor, he added was there much risk of inflation taking off yet. The Dallas Fed uses a "trim mean" method based on 180 prices that excludes extreme moves and is widely admired for accuracy.

"You've got some mild deflation here," he said.

The Oxford-educated Mr Fisher, an outspoken free-marketer and believer in the Schumpeterian process of "creative destruction", has been running a fervent campaign to alert Americans to the "very big hole" in unfunded pension and health-care liabilities built up by a careless political class over the years.

"We at the Dallas Fed believe the total is over $99 trillion," he said in February.

"This situation is of your own creation. When you berate your representatives or senators or presidents for the mess we are in, you are really berating yourself. You elect them," he said.

His warning comes amid growing fears that America could lose its AAA sovereign rating.
=====≪unquote≫

|

« 【財政】消費税増税となれば景気は悪化の一途を辿ること必至 | トップページ | 【マクロ経済】アブダクション法を通じた経済学の理解 »

1.マクロ経済(財政・金融)とグローバリズム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/408903/33543880

この記事へのトラックバック一覧です: 【米国の財政】10兆ドルなどではなく99兆ドル(債務比率700%)!?:

« 【財政】消費税増税となれば景気は悪化の一途を辿ること必至 | トップページ | 【マクロ経済】アブダクション法を通じた経済学の理解 »