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2009年5月 6日 (水)

【一言】『エコノミスト』論考へのコメント

20090508  先日の『エコノミスト』(2009年5月5日・12日合併号)の、私の拙稿に関するコメントを、ここに簡単に残しておきたいと思います。

=====≪quote≫

○○様
 今回は、私の拙稿へのコメントを有り難うございます。

(前略)

 豚インフルエンザとタミフルなどの薬との間に、供給と需要の関係が(不謹慎ながら)確実にあるのが経済法則というものです。
 需要が増大すれば、それを満たすための製品を持つ製薬企業の株価も上がります。製薬業界というのも、こう考えてみると因果な商売(rotten business)ですね。

 クライスラーをはじめ多くの米国企業が破綻状態にありながら、また同様に日本でも膨大な赤字決算(証券・保険、半導体、自動車などなど)が続く、実体経済の絶不調下にあって、なぜか株価は8,500ドル台(ダウ)や9,000円ほど(東証)を、まるで維持するかのように振舞っています。

 もはや、これは実体経済が株価には反映されておらず、市場原理主義者の“神の見えざる手”が日本の場合、郵貯資金に加え、年金資金まで使ってPKO(Price Keeping・・・) をやっているとしか読めません。きっと選挙前だからでしょう・・・
 どうみても無理があります。従って、現在の株価維持の協調ぶりは、そのうち破綻することでしょう。そこからが、さらなる覚悟の時期を迎えることになりそうです。^^;

【補足】 ≪以前の当Blogで、「恐らく日経平均は、ダウ平均につられ、今週中には7,000円を切ることでしょう。」と書きました。その予想は幸いにも(?)はずれました。
 エコノミクスの原則から、ずっとおかしいと思っていました。その理由は、PKOだったのです。また、米国でも「利益確定売り」行為により、依然株式市場は極めて不安定です。

 日経平均では、政府が一定レベル(恐らく9,000円程度)まで買い支えると以前表明してしまったために、上昇局面では都度ハゲタカに利益を持って行かれていることでしょう。そこで政府が再度買い支える(多分次の選挙までは)、そしてハゲタカの餌食になる、このことが繰り返されているのだと思います。

 米国のダウでも同様です。大手金融機関(銀行、証券)の現下の自己資本不足ゆえの、利益確定を通じた資金調達がなされていると読めます。株式市場では必ず胴元が勝つことになっています。情報の非対称性がありますので、素人(個人も組織も)は勝てません。^^; ≫


> 最新号のエコノミストの論稿を拝読いたしました。(略)
> 原因と結果、競争政策と産業政策、国際競争力など、
> 説得力のある議論を展開されておられ、現下の風潮に
> 警鐘を鳴らすものと思います。(略)

【補足】 ≪読者からのお便りの一部です。この程度の内容でしたら、ご本人の所属組織を含め、一切個人情報を含まないものですので、抜粋をご容赦下さい。(^-^) ≫

 前置きが長くなりましたが、先日の『エコノミスト』の拙稿の件、コメント(ご連絡)有り難うございます。嬉しく思います。

 私の論稿は、的外れなエコノミストが余りに多いため、その反論・反証のつもりで書きました。紙面制約があるため、あの程度ですが、『エコノミスト』がこの論調のものを掲載したことには勇気があると思いました。

(脱稿直後の4月中旬の、CIAJのある勉強会では、2時間かけてその核心部分とその背景にあることをレクチャーする機会がありました。)

 特に『週刊東洋経済』(2009/02/14)の、(略:幾つかの記事)には呆れました。それも意識して書きました。
 このようなエコノミスト・学者らが、日本経済のことを語り、また情報通信産業のことまで口を出すので、いつまで経っても日本経済も情報通信産業も浮かばれないのかも知れません・・・

 恐らく日本の多数のエコノミスト(殆どが新古典派、シカゴ派、構造改革派)は私の論稿をまったく理解しないでしょうが、米国では私が書いているような政策(不胎化を伴わない財政出動策、バーナンキの“ヘリコプターマネー”策)が採られているのです。

 米国は、金融危機を振りまいておいて、酷いことを結果的に世界にもたらしたのですが、その対策は極めて早く、しかも実にプラグマティズム流のやり方です。良くも悪くも、人材のレベルが高く豊富なのです。

 長くなりました。あまりに情けない、昨今のマスコミ論調であるため、つい力が入ってしまいました。(^-^)
(略)

=====≪unquote≫

【補足】 「実にプラグマティズム流のやり方」:

 当の米国を少々持ち上げてしまいました。実際は、もう後がないほどの危機的状況下での、①金融政策と、グローバル資本主義を標榜してきた新古典派本山の米国でのほぼ70年ぶりの②財政政策がなされている、いわば危うい「ポリシー・ミックス」が同時並行で進められている状況にあります。これを、上では「プラグマティズム流」と表現しているだけです。

金融政策 :流動性がない(=市場が機能していない、債券・証券などの買手がいない)という危機的状態ゆえ、FRBが前代未聞の
「CP(コマーシャル・ペーパー)の購入」制度を設置し、殆ど価値のない約束手形を無担保で融資する(資金を手当てする)ことが行われています。

 加えて、
FRB(=中央銀行)による、市中銀行を通さない国債の直接買いつけ、言い換えれば、米財務省が発行した国債をFRBとの相対で直接売り買い(財務省が国債を売り、FRBが買い上げることでマネーを渡すこと)がなされているのです。

 従って、FRBの総資産は「リーマン・ショック」(2008年9月15日)より少し前(ベア・スターンズ社破綻後の2008年4月頃)から、3倍弱にも膨れ上がり、破綻(債務超過)になる可能性が高くなってきました。

財政政策 :日本経済と決定的に異なる点として、過去10年以上、米国経済では(欧州も)、高い経済成長ゆえにインフレ気味で経済は推移して来ました。つまり、財政出動のための財源(原資)となりうるデフレギャップは殆どない状況にあるはずです。ただ、「リーマン・ショック」以降、急速に米国も(欧州も)デフレに突入しています。

 本来の財源とは、国の信用力(経済力+軍事力など)にあるはず。米国の場合、前者の経済力が赤信号状況にあること、そして後者の、年53兆円(日本の10倍、世界シェアの1/4)ほども支出している軍事力についても、経済力が落ちれば結局低下します。それゆえ実際は「財源」と呼べるものがありません。

 インフレギャップこそあれ、殆どデフレギャップがない状況にあります。言い換えますと、資本設備や労働力要素が十分稼動して来ており、潜在GDPレベルからの乖離が殆どない状況です。
(日本経済では、幸い?にも膨大なデフレギャップが存在するため、つまり真の財源が存在するため、米国よりも“新たなマネー”創出による財政出動が効果をもたらすのです。日銀による、市中を通じた従来の国債買い入れ方式では、既存のマネーが移動するだけの不胎化を起しますので効きません。中立的なだけです。この点を多くの皆さんが間違えます。)


 米国の場合、それゆえに、
新たなマネーの投入のための、つまり、FRBによる信用創造=CPや国債の直接買い上げによる融資=財政出動のための、財源が殆どない状態ですので、一時的な(向こう1年程度の)有効需要刺激、すなわち景気回復があってもそう続かないでしょう。

 
従って、同①(無謀な金融政策)による、前代未聞のツケ・しっぺ返しが、向こう2年程度以内に、必ず表面化して来ることでしょう。

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