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2008年7月30日 (水)

【一言】太陽光発電の普及策に垣間見える背景

20080730  今回も一見「へぇ~、そうなんだ」という類の記事・テーマを取り上げましょう。

 キーワードは、「地球温暖化」、「CO2排出防止」、「太陽光発電の見直し」、「原発ビジネスの再興」、「排出量取引ビジネスの芽生え」です。

 読者の皆さんには、これらキーワードのつながり(その核心)が読めるでしょうか。少なくとも、下述の記事では、その関係をそれなりに説明しているようです。このBlogでは、少々深読みをしてみましょう。

(太字は、私が付しました。写真は、地球温暖化対策推進本部の会合であいさつする福田首相〔中央〕=2008年6月17日午前、首相官邸でのもの。)


=====≪quote≫
■太陽光発電機普及へ、半額目指す…「低炭素」行動案
(読売新聞、2008年7月26日3時6分配信)

 温室効果ガス排出を大幅に減らすため、政府が29日にも閣議決定する「低炭素社会づくり行動計画」案が明らかになった。

 2050年の排出量を現状から60~80%削減する長期目標を掲げた「福田ビジョン」の達成に向けた具体策を示したもので、太陽光発電機器の価格を3~5年後に半額程度にする施策を打ち出す。火力発電所や製鉄所から排出される二酸化炭素(CO2)を地中に閉じ込める「CCS(炭素回収・貯留)」の実用化への道筋なども盛り込んでいる。

 日本の太陽光発電の導入量は04年までは世界一だったが、05年にドイツに抜かれた。行動計画では「世界一の座を再び獲得する」ことを目指し、「思い切った支援策」を講じるとしている。05年度に打ち切った個人住宅での購入費補助の復活や、電力会社が買い取る太陽光発電の電力量を増やすことを検討する。

 住宅向け太陽光発電機器の普及を図ることで、現在200万~300円の価格が3~5年後に半額程度になるよう後押しする。導入量については、20年に現在の10倍、30年には40倍にするとしている。

 温室効果ガスを大幅削減する「革新的技術」として期待がかかるCCSは、来年度に大規模実証実験をスタートさせ、20年までの実用化を目指す。

 原子力発電所の建設についても、着実な実現を目指すとし、電力各社が新規建設を計画している13基の原発のうち、17年度までに9基を新設するとしている。

 このほか、エアコンなどの家電製品や自動車ですでに導入され、エネルギー効率が最良の製品を業界の基準とする「トップランナー方式」を来年4月から建売住宅にも導入する。企業間で温室効果ガスの排出枠を取引する排出量取引制度は10月から試行を始める。
=====≪unquote≫


■私の見方:
(ビジネスパーソンも知っておきたいマクロ経済学的な視点)


 順にこの記事のポイントを追いつつ、深読みをしてみましょう。

◆冒頭に「太陽光発電機普及」に向けた今般の背景として、「温室効果ガス排出を大幅に減らすため」とあります。

 日本でも世界でも、現在「温室効果ガス排出」を軽減するための取り組みが、あたかも“神学”となってしまった感が最近あります。いつのまに、【仮設A】「ガス(主にCO2)」排出により(原因)「温暖化」(結果)していることが真実となってしまったのでしょうか。“科学的”には、この因果関係は証明されていません。むしろ、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)を含む、世界の学者・専門家(科学者)の中には、むしろ原因は「温暖化」であり、その結果が「CO2」排出だ、という見解が増えています。因果関係が逆なのです。

 マスコミや政治家あるいは経済学者の間では、この単純な因果関係の確認を十分せずに、「温室効果ガス排出の軽減」があたかも前提(given)となったような議論・取り組みがなされています。

 槌田敦氏(名城大学教授:資源物理学)、近藤邦明氏(『環境問題』を考えるHP管理者)、伊藤公紀氏(横浜国立大学教授:物理化学・環境計測科学)、渡辺正氏(東大教授:生体機能化学・電気化学・光化学)、丸山茂徳氏(東工大教授:地球惑星科学専攻)ほか、このことを論じている人々は少なくありませんので、このBlogでは繰り返しません。

 このような専門家が主張することに耳を傾けることもせず、膨大なコストをかけ「地球温暖化対策」をしているとしたら、その背景や意図を知らねばなりません。そうでなければ、どうも合点がいかないのです。

◆次に「CCS(炭素回収・貯留)」について。

 【仮設B】「地球温暖化=CO2回収・貯留」という主張です。CO2が温暖化の犯人ということですので、その犯人を退治する。方法として、地中に閉じ込めてしまうものです。

 米国のバテル記念研究所が、米国コロラド州で「帯水層へのCO2注入が誘発する地震活動の調査」をしたことがあるそうです。民主党の風間直樹議員は、2007年10月31日の第168回国会(災害対策特別委員会第3号)で、このレポートのことを質問されています。 地中に水ないしCO2を注入した時、どのような形で地震活動が誘発するかを調べたところ、例えば、デンバーで廃液処理のため、深さ3,671mでCO2注入(注入時圧力は7.6Mpa)したところ、マグニチュード5.5の地震が誘発された模様。他にも類似のデータが報告されているようです。

 つまり、「CO2地中化貯留⇒地震発生」です。このメカニズムについては諸説あるのですが、ここでは深追いは止めましょう。もしこのような因果関係が明確にあるとすれば、慎重を期すことが求められます。

◆「個人住宅での購入費補助の復活」や、「電力会社が買い取る太陽光発電の電力量を増やす」について。

 電気事業連合会やNEDOのデータを基に、太陽光発電の設置容量を、次のようにドイツと日本で比較してみましょう。

   ドイツ :19.1KWh(全発電量6,132kWhの0.31%)

   日本 :14.2 KWh(全発電量10,942kWhの0.13%

 この通り、まずドイツの全発電量は約0.61兆KWh、日本のそれは1.1兆KWhです。両国のGDP比とほぼ相関がありそうな値です。

 次に、太陽光発電の設置容量を見ましょう。ドイツ19.1kWhであり、日本の14.2kWhを近年追い抜きました。記事の通りです。そして、全発電量の太陽光発電が占める割合となりますと、ドイツは0.31%、日本では0.13%です。その比率は2.4倍であり、ドイツの方がよく普及しています。しかし、まだドイツでさえも、全発電量に占める割合は高々0.3%程度に過ぎません。太陽光発電の今後の普及に、さらなる期待が集まるところです。

 ちなみに日本の全発電量の構成比は、石炭28.3%、原子力27.9%、石油13.3%、水力7.2%、天然ガス1.2%、その他2.1%です〔出所:電気事業連合会「原子力・エネルギー図面集」(2008年度版)〕。太陽光発電は、この「その他」の中にあります。一方、原子力は2番目に大きな割合を占めています。

 私はある仕事で、2006年6月のドイツ・ワールドカップの開催時期に、ベルリンまで出向き、ドイツ環境省(BMU)と電力産業連合会(VDEW)の両担当者(政策スペシャリスト、産業アナリスト)から、ドイツのエネルギー政策についてインタビューしたことがあります。ドイツでは、電力会社による太陽光発電の電力を買い取る価格に“よき”規制があり、1KWhあたり150円ほどもあるのに対し、日本では同30円程度です。

  また、電源コストは、太陽光発電で70円前後、原発では7円程度と言われています。水力や石油さらには大規模風力では、およそ10~12円程度ですので、天然ガスや石炭の同5~6円の次に、原発は“安い”ことになっています。原発コストの試算では、運転年数40年、設備利用率80%とすれば、同5.3円まで下がる模様です。いずれにしろ、5~7円ということでかなり安い。しかし、この試算には、「事故なしで運転され設備利用率が低下しない」という極めて楽観的な前提の上で成り立つものらしいのです。つまり、原発コストは実際はもっと高いのです。

◆さて、「13基の原発のうち、17年度までに9基を新設」について。

 原発コストが実際は高いにもかかわらず、現行の55基に加え、今になってなぜ新設することが声高に叫ばれているのでしょうか。経済合理性からすれば、不自然ですね。 ここには、【仮設C】「CO2排出防止⇒原発は最適」というロジックが背景にあるようです。言い換えますと、実際は“少々”高コストであっても、あるいは危険かも知れないが、CO2を発生させないことで、地球にとても“優しい=クリーン”なのです、つまり「原発ビジネスの再興」こそ今まさに求められているのです、と。しかし、本当なのでしょうか・・・

 確かに、ウランの核分裂エネルギーを使うためCO2は出ません。しかし、原発という発電システム全体を考えると、その他様々なエネルギー発生によりCO2は出てしまうのです。例えば、原発の建設時(水力や火力の10~20倍もかかる模様)、核燃料の製造・輸送・管理時、施設の維持・管理時、使用済み核燃料の処分・保管・維持・管理時などに、どうしてもかなりの量のCO2が発生してしまうようです。従って、ちょいとシステム思考をすれば、【仮設C】はかなり怪しいのです。

◆さらに「温室効果ガスの排出枠を取引する排出量取引制度」について。

 【仮定D】「温暖化防止には排出量取引(証券化)が不可欠」という主張がなされています。金融(デリバティブ)経済が実物経済を、その規模(取引額)において遥かに凌駕する昨今、石油や穀物などのあらゆるコモディティ(商品)が投機の対策となり、証券化されています。このマネーゲームの延長に、「排出量取引制度」が位置付けられるのです。CO2温暖化ガスにまでその対象が移ってきました。

 つまり、【仮定D】とは、「金融ビジネス」とつながっているのです。その投資リターン率は、静脈産業といわれて来た「環境ビジネス」などの比ではないでしょう。しかも、その「投資」は日本を筆頭に、世界の主要国(の国民が税金支出の形で)負担するのですから、その収益率は半端ではない でしょう。

 以上の仮設を再掲してみましょう。

【仮設A】「ガス(主にCO2)」排出により(原因)「温暖化」(結果)している

【仮設B】「地球温暖化⇒CO2回収・貯留」

【仮設C】「CO2排出防止⇒原発は最適」

【仮定D】「温暖化防止には排出量取引(証券化)が不可欠」


 う~ん・・・。この帰結点が、「原発ビジネスの再興」 であり、過度の「金融証券化ビジネスの拡大」 。上の記事から、どうやら各キーワードのつながりについて、このように読めそうです。この両ビジネスの是非またはそのつながりの可能性については、今回は触れません。長くなりましたので、またの機会にしましょう。

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5.環境・エネルギー・資源(石油、天然ガス、ウランなど)」カテゴリの記事

コメント

■政府がCO2貯留コストを大幅削減へ 低炭素社会へ行動計画-黄昏EUの二の舞を踏まないため福田首相の手腕に期待しよう!
 こんにちは。私達が日頃感じる気候変動は、大昔からありました。悠久の地球の歴史を調べてみると、いっとき暑くなったように思えても、長い期間にわたってはじょじょに寒冷化している場合もあります。
 逆の場合もあります。いずれにせよ、地球温暖化二酸化炭素説は誤りであることは、多くの発見から明らかです。
 真実は、気温が上昇するとそれにつれて二酸化炭素が増加するという、真逆の事実です。
 また、地球温暖化により、人類にもたらされるのは、災厄ではなく豊穣です。多くの人が、地球温暖化二酸化炭素説、および温暖化によって人類は大災厄によって大打撃をこうむるという説をもとにする様々な手段によってこの考えに呪縛されています。
 その蔭には、これらの説で多大な恩恵をこうむる人達の存在があります。地球温暖化二酸化炭素説に基づいて行動することは、現実世界とは遊離した宗教の教義に従って行動するようなもので、いずれ破綻するか、それこそ大災厄をもたらします。
 私は、多くの人がこの呪縛から解き放たれるべきだと思っています。こには、あまり長くはコメントできません。詳細は是非私のブログをご覧になってください。

投稿: yutakarlson | 2008年7月30日 (水) 14時44分

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