« 【一言】Jパワー株を巡る3つの視点 | トップページ | 【テレビ出演】「外国メーカー来襲、携帯端末競争」 »

2008年5月13日 (火)

【一言】青少年ネット規制法から透けて見えること

20080423 仕事が若干立て込んでいまして、またも更新を怠っていました。^^;
 
 今回のテーマも大変重要なことですので、一言。

 “青少年インターネット規制法案”には、いろいろと透けて見えてくることもあります。
 最大のポイントは、「インターネット」なるメディアのオープン性を決して閉ざしたり、葬り去ってはいけない、ということです。

 極言すれば、そのためには、多少の“青少年問題”など無視しえるのです。つまり、青少年への教育上の問題などは、二の次なのです。

(青の太字下線は、私が付しました。写真は、会見の模様。左から、ディー・エヌ・エーの春田真氏、ネットスターの高橋太洋氏、マイクロソフトの楠正憲氏、ヤフーの別所直哉氏、楽天の関聡司氏、全国高等学校PTA連合会の高橋正夫氏 )

=====≪quote≫
マイクロソフトやヤフーら5社、“青少年ネット規制法案”に反対表明「法規制は一番最後に来るべきもの」保護者向けの自主活動を開始
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080423-00000041-imp-sci
(Impress Watch、2008年4月23日)

 マイクロソフト、ヤフー、楽天、ディー・エヌ・エー、ネットスターの5社は2 3日、複数の政党で検討されている“青少年インターネット規制法案”について反対する意見を表明した。

 5社では、「一部の法案においては、保護者の多様な意見を反映できない仕組みの導入を義務化したり、弊害が多く効果の期待できない規制を課したりする傾向が認められる」とし、法案には反対するとしている。また、「法規制は一番最後に来るべきもの」だとして、「まずは、現在進みつつある民間の取り組みを後押ししていただきたい」としている。

 5社では、子供が安心してインターネットを利用できるようにするための活動を開始することも発表した。全国高等学校PTA連合会をはじめとする保護者や学校関係者と協力し、インターネットの安全な利用やリテラシー向上に関する教育を保護者が子供に対して行なえるような教材を制作するほか、講師を派遣して保護者向けの勉強会も開催する。さらに、これらの活動を通じて得た知見をもとに政府や自治体に対して政策提言を行なうとしている。( 永沢 茂 )

法規制は最後の手段、まずは民間の取り組みの後押しを

 5社は23日、共同で記者会見を開催。自由民主党の青少年特別委員会において示された法案(いわゆる高市私案)について、反対する立場からの意見を自民党の谷垣禎一政務調査会長に手渡したことを明らかにした。

 会見では、ヤフー法務部長の別所直哉氏が法案の問題点を説明。法案は「子供を守るという視点」「表現の自由の重要性」「産業競争力」の3つの観点が不足しており、「事業者規制ありき」を前提とした拙速なものであるとして、法案への反対意向を表明した。

 子供を守るという視点では、法案でも「子供を守るため」としているが、実際の法案の検討ではPTAなど保護者からの意見聴取は後回しにされるなど、保護者の意見が十分に反映されていないと指摘。「保護者が自分でやれないから、国が代わりに画一的な基準を決めるという姿勢であるならば、保護者の子供の教育に関する決定権を奪うことになる」として、保護者の意思を重視するよう求めた。

 また、何が有害情報であるかの基準を国が定め、通信事業者に対して有害情報の削除義務を課すといったことは「表現の自由」に対する明確な規制であり、憲法上の問題も大きいと指摘。特定の問題を解決するために、システム全体の利用者全般を規制してしまうような考え方は、建築基準法の改正でも見られたような官製不況を招きかねないとして、拙速な法規制には反対すると説明。法規制は一番最後に来るべきものであり、まずは現在進みつつある民間の取り組みを後押ししてもらいたいと述べた。

 会見には、全国高等学校PTA連合会の高橋正夫会長も出席。高橋氏は、2007年に総務省の検討会で初めてフィルタリング規制の話が進んでいると聞き、「なぜ保護者側の意見を聞かずに話を進めているのかと驚いた」と説明。影響を受ける子供と保護者の意見が反映されない法規制には反対だとした。

 また、検討会などでも、小学生と高校生で同じ基準のフィルタを適用するのはおかしいといった意見を述べてきており、「一律にフィルタリングという蓋をしてしまうのではなく、保護者や教員のリテラシーを高めることが重要。事業者の責任を言うなら、買い与えた親にも責任がある」と語った。 
=====≪unquote≫

■私の見方:

 1996年に成立した米国の「通信品位法」(CDA:Communications Decency Act of 1996)は、当時いくつかの仕事でかかわりがありました。特にわが国のプロバイダー責任論との関連でした。

 その頃、ある仕事の関係につき当社で、東大のI教授(刑法)や明治大学のN教授(民法)、弁護士、企業法務担当者を加えた研究会を実施しました。
 なぜかその研究会プロジェクトのリーダーを私が務めました。私の能力や知識を補ってもらうために当社の研究員2名(いずれも東大法学部出身)に加わってもらいました。余談です・・・^^;

 このCDAについて、1997年6月26日、米国連邦最高裁判所は、言論の自由を保障する憲法第1修正に違反するとの判断を示しました。

 今般の“青少年インターネット規制法案”が、「なぜ今頃?」という感じをもつ読者も少なくないに違いありません。

 ヤフーの法務部長さんは、①「子供を守るという視点」、②「表現の自由の重要性」、③「産業競争力」の3つの観点を強調しています。最大のポイントは次の点でしょう。

①について、「Q. 
何から守るべきか?」
 ⇒「無闇に規制(≒検閲)された情報から遠ざけられる状態(=真実を知ることのできる状態)から」が答え。

 米国で懸念されたような、暴力やわいせつ情報などを見ることは奨励する訳ではありませんが、これら品位に反する情報とともに、知っておくべき情報からも閉ざされてしまうこと、が最も重大です。

 ②と③とは次元の異なる問題であり、上記の答えが核心部分。子供に判断できないとすれば(言い換えると)、「
保護者の子供の教育に関する決定権を奪うことになる」が重要であり、「一律にフィルタリングという蓋をしてしまうのではなく」ということが核心なのです。

 杞憂かも知れませんが、「高市案」が通過すると、恐らくなし崩し的な動きが加速することも懸念されます。つまり、「青少年」の次は・・・・・どうなるのだろうか、ということです。

 マスメディア(テレビ、新聞など)は
〔1〕マスメディアはニュースを選別する、〔2〕マスメディアは真実を伝えない、〔3〕マスメディアは国民を孤立させる、と言った実態がチョムスキーにより以前から指摘されています。

 「インターネット・メディア」は、この〔1〕~〔3〕のどの特性とも重ならない、地球上の唯一といってもよい、多様な情報にアクセスでき、真実を知ることができ、それゆえに国民・市民が結束できることを可能にする媒体です。もちろん、雑多な情報も混在していますが、そんなことは、最近すっかり“退化してしまったかのようなマスメディア”に比べれば、遥かに優れていると言えましょう。

 以下、「高市案」が決してそうだと言うことではありませんが、私たち国民・市民には、政府に対し絶えず“よき牽制”が求められている、と言うべきでしょう。そのことを通じ真の意味で、政府との良き関係構築ができるからです。

 なお、「弊害が多く効果の期待できない規制」とありますが、「規制」とは、外部性を撒き散らしながら行動する(その結果、過分な利益追求のみに走る)、企業などの行動に対するもの。政府の規制を国民に向けるのはお門(おかど)違い。それは
“検閲”に過ぎない。この区別をすることが必要でしょう。

(注)「外部性」:ここでは、他の経済主体にとって不利に働く要因のこと(負の外部性)であり、公害や雇用搾取(貧困の増長・固定化)などが例に挙げられます。



≪参考≫『ウィキペディア』から抜粋・要約

 英国の作家ジョージ・オーウ
ェルが1949年に書いた小説に、『1984年』(Nineteen Eighty-Four)があります。あらゆる形態の管理社会(統制社会)を痛烈に批判したものです。
 小説の場面設定は、ITや
コンピューターによって昨今急速に“整備”されつつある、個人情報管理システム時代にあって、全くその輝きを失ってはいない、との評価を得ています。

 同小説の中に、例えば、「党」が登場します。
「偉大なる兄弟(ビッグ・ブラザー)」によって率いられる唯一の政党のことです。そして、「党」によって、次のようなスローガンが街中の至る所により表示されています。

◆自由は屈従である   (FREEDOM IS SLAVERY)
◆無知は力である    (IGNORANCE IS STRENGTH)


 上述の「真実を知ることのできる状態」から遠ざけられることとは、「無知」のことであり、そうなればビッグ・ブラザーに、とてつもない「力」を与えてしまいかねない、ことになるのです。

|

« 【一言】Jパワー株を巡る3つの視点 | トップページ | 【テレビ出演】「外国メーカー来襲、携帯端末競争」 »

3.情報通信・メディア・ハイテク産業」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【一言】青少年ネット規制法から透けて見えること:

« 【一言】Jパワー株を巡る3つの視点 | トップページ | 【テレビ出演】「外国メーカー来襲、携帯端末競争」 »