【一言】デフレで社会保障制度が不安視されるなか消費増税のご提言ですか?
先々週と先週の土日は、朝から夕刻までのある大学院MBAの授業、および授業後深夜までの懇親会などもありまして、Blog更新が滞りました。
この内容もとても重要なことですので、ごく簡単に取り上げておきましょう。
(青の太字下線は、私が付しました。写真は時事通信からのものです。)
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財政審「健全化」へ建議 消費増税踏み込めず 高まる「歳出圧力」…
(FujiSankei Business i. 2007/11/20 )
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は19日、2008年度予算編成の指針となる建議(意見書)を額賀福志郎財務相に提出した。都市部と地方の自治体の財政力格差是正のため、法人事業税など地方法人2税の再配分を提言。文部科学省が求める教員定数増には反対し、医師の診療報酬引き下げなど財政健全化路線の継続や、消費税を含む税制改革の実現を求めた。
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が19日公表した2008年度予算編成の建議(意見書)は、社会保障や地方財政に広がる歳出圧力に警鐘を鳴らす内容となった。「財政健全化は成長政策の1つ」と強調。
ゆるみがちになってきている財政規律の堅持を強く訴えている。しかし、政府・与党や地方からの要求は強まるばかりだ。本格化する予算編成作業に建議で示された理想がどこまで反映できるかは不透明だ。
「歳出圧力が強まっており、市場の信認をそこないかねない」
建議では、広がる歳出圧力に強い警告を発した。額賀福志郎財務相に建議を手渡した西室泰三会長は記者会見で、この一節について「財政審としての姿勢を鮮明に示した」と語った。国と地方合わせた長期債務は773兆円。国内総生産(GDP)比148%と先進国の中でも突出する借金を抱え、「財政構造改革は待ったなし」の状況だ。
財政再建を加速させるため、国が目指す11年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化目標だけでなく、国債利払い費を含めた財政収支の均衡目標の設定など厳しい要求を政府に突きつけた。
地方の財政格差や高齢者への配慮など格差是正を求める声は強まる一方。「今後5年間で14兆円の歳出を削減する」とした昨年策定の「骨太の方針」の目標はかすれつつある。
建議では、医療費の抑制が医師不足の原因とする指摘に対しても、大学病院の医師派遣機能の低下など制度上の欠陥が背景にあると強調。診療報酬のさらなる切り込みは可能だとした。また、地方間の財政格差の是正では、都市と地方で偏在が大きい法人2税(法人住民税、法人事業税)を「共同財源」にすることを提案。地方交付税や地方消費税の増額など歳出増につながりかねない地方の主張を一蹴。切り込む姿勢を明確に示した。
焦点となっている消費税では、社会保障費の安定財源としての重要性を強調。政府税調の関係からこれまで消費税に言及しなかった不文律を破った。ただ、西室会長は「引き上げの話だろうと読んでもらえると思った」と述べたものの、増税の必要性を明記できず財政再建の方向性があやふやになった面は否めない。
今後、政府は08年度予算編成作業を加速させる。参院の過半数を野党に握られるなど難しい政治情勢もあり、さらに曲折がありそうだ。(石垣良幸)
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■私の見方:
(ビジネスパーソンも知っておきたいマクロ経済学的な視点)
◆「都市部と地方の自治体の財政力格差是正のため」:
この財政力格差は、2002年頃から本格化する「構造改革」プログラムにより増大して行ったのではないでしょうか。いま求められることは、地方においても「持続的経済成長」。
地方にも資金需要は旺盛にあるはずですので、そのためには、適度な資金が回ることが不可欠でしょう。
また、「需要があるので資金を供給する」という考え方に加え、「資金があれば需要が喚起される」という発想転換があるべきでしょう。実際、後者は現実的なことです。資金があれば、創意工夫を発揮して、いろいろと試してみたいことは地方にもたくさんあるはずです。
◆「消費税を含む税制改革、社会保障費の安定財源、引き上げの話だろうと読んでもらえると思った」:
税不足であるのは、GDPが増えないため。つまり、構造改革を優先させ、経済成長を怠って来たためというべきではないでしょうか。この審議会の提案は、合成の誤謬に陥ってはいないでしょうか。
GDP(=消費+企業投資+政府投資+輸出入ネット)が増大すれば、つまり、デフレで不稼動状況にある設備・資産が利用されるようになれば(最大部門である消費需要が喚起されれば)、企業の売上高も増大し投資も促進されます。
こうなれば税収も増えるのです。この考え方は、前安倍政権の「上げ潮政策」にも見られたことです。ただ、どちらかというと「生産性」向上を中心としたサプライサイド的なアプローチだったと言えましょう。ただこれでは、企業投資は促されるだけで、総需要の増大にはつながりません(つまり、設備の不稼働率を上げるだけとなります)。
さらに社会保障(社会保険)制度への国民の信頼が失われつつある時に、その財源確保のための消費税増大とは、国民感情としては、なかなか受け容れがたいものではないでしょうか。
◆「ゆるみがちになってきている財政規律の堅持」:
1964年の東京オリンピックが開催された翌年(65年)10月、当時の田中角栄政権下、財政法が改正され、国債発行が可能となり、同年11月に最初の国債が市場に出回りました。このときをもって、大蔵省と日銀の立場に変化が現れ、以降後者にとって有利な状況が続いています。
外国でも一旦、国債を発行してしまうと(国が中央銀行から借金をしてしまうと)、まず2度と完済されることはできません。これにより、国家が借金漬けになることが一般的です(事実上、宿命付けられるのです)。不思議なことです。
その意味では、今更ながら「財政規律の堅持」を意識することは重要と言えましょう。ただ、この借金問題の解決は増税などの方法ではまず不可能であり、もっと別の方法でしか解決できません。今回はここでは触れませんが。。。
◆「市場の信認」:
ここで「市場」とは何・誰を指しているのでしょうか。国家債務についての格付け機関のことでしょうか。もしそうだとすれば、国家が民間企業の格付けに右往左往するのは、私にはやや不自然・不思議にも感じられます。
◆「長期債務は773兆円。国内総生産(GDP)比148%」:
確かにこの数字・割合は、世界でも飛びぬけて高いものです。1990年代に累積で約150兆円ほどの「財政政策(財政刺激)」を打ちましたが、一時的にはあったにせよ、結局どれも殆ど有効な効果を生むことにはつながりませんでした。
それは一重に、経済成長(経済取引における購買力の増大)を決定するマネー(信用創造)の量を増やすことにつながらなかったからだとされます。言い換えますと、必要な産業セクターに適度なマネー(預金量ではなく信用創造量)が回れば、経済成長が促され、債務は確実に減ることでしょう。
また、「2010年問題」、つまり、80年代に大量に買い込んだ30年物国債の償還のことも、この長期債務と合わせ心労の種とされます。しかし、満期を迎えても市場があれば売ればよいですから、問題は起こらないという見方も一方であります。
◆「診療報酬のさらなる切り込みは可能」:
本当に無駄になるようなことであれば、地方にはもうその手の道路やダムは不要でしょう。しかし、高齢化や学力低下の傾向にあって、医療設備や教育設備などの産業インフラは不足しているはずです。医療費の抑制と言うよりも、適当な医療設備を整備することには大きな意味があるでしょう。
つまり、医療設備があれば医師の数も増えるはずです。もちろん、無駄な医療設備をつくることで、医者に行くほどのこともない“患者”の数を却って増やすことで、医療費の無駄遣いにつながるようなことはいけません。これは論外です。
医療設備や教育設備の拡充は、新たな公共投資です。適度なマネーの量の増大という裏打ちのある財政政策は有効です。上述の「90年代の財政政策の失敗」とは、この点(新たなマネー=信用創造量の裏打ちがあったかどうか)が異なります。資金があれば、医療設備をつくりたいという欲求(需要喚起)につながり、生産活動における購買力を高めます。
この際のマネー=信用創造量は、地方公共団体が地方債を発行しても地方経済全体ではマネーは増えません(マネーがあるセクターから別のセクターへ移動するだけ)ですので、地方の銀行や信用金庫などの融資機能をもったところからの資金借り入れが有効となります。こうなれば地方のGDPを増やすことになり、医療費増大に伴う税収不足も解消されるはずです。
以上、マクロ経済的な発想(合成の誤謬回避の発想)があれば、この記事の問題の多くが解決されうることではないでしょうか。
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