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2007年6月16日 (土)

WiMAXの免許行政はこれでよいのか?

 電波は国民の財産。その電波を預かる行政(総務省)次第で、関係企業の経営戦略は大きな影響を受ける。

 WiMAX(次世代高速無線通信)のもつ大きな潜在性は、今後のモバイルビジネスの行方を左右する。ゆえにKDDIやNTTドコモは、WiMAX免許への付与について神経を尖らせる。企業の立場からは当然だ。

 モバイル通信産業は希少資源(=電波)を扱うため、単に市場メカニズムに任せておけばよいというやり方を手放しで支持することはできない。なぜなら、当該資源の独占傾向が高まれば、市場の効率化が妨げられる可能性が増す。これは経済学の教えるところだ。

 では資源の適正な配分を国(行政)が担えるのか?ここが難しい。総務省の官僚が「神の見えざる手」になることはできない(なろうともしていないでしょうけれど)。従って、電波行政の舵取りは難しいのだ。


 実際、2005年に総務省が割り当てた携帯電話免許のうち、アイピーモバイル社は、現在も事業開始の目途がたっていない。結果論であるが、国の貴重な資源である電波が有効活用されず時間だけが浪費されている。

 この免許付与のケースでは、総務省がしっかりと同社の事業計画やトップの能力などを見極めることができず、総合的な判断ができたかどうかという点で誤算もあったのではないか。しかし、それをあまり声高に糾弾もできない。経営コンサルタント(≒例えば私を含め)であっても、そのクライアント企業の当該事業の将来展開において、たまに見誤ることはある。もちろんさまざまな類似ケースを経験することで、その経験の厚みが増せば、その判断の狂いの幅を縮めることはできるのだが。

次世代高速無線通信、参入争い合従連衡呼ぶ (NIKKEI NET、2007/06/16)

 今秋にも免許交付先企業が決まる「次世代高速無線通信」を巡り、通信各社が合従連衡を模索し始めた。総務省は既存の携帯電話会社に免許を与えない方針。これに対し各社は15日までに反論などを提出したが、覆すのは難しいとの見方が多い。現状ではアッカ・ネットワークス、ウィルコムの2社が有力視されている。厳しい立場になったNTTドコモやKDDIなどは何とか足がかりを得ようと他社との連携を検討し始めている。

 総務省は携帯分野での新通信方式の免許交付について、①交付先は2社、②第三世代サービスを手掛ける携帯会社とそのグループ会社には直接免許を与えない、③携帯会社やそのグループ会社でも出資比率が3分の1以下なら参入を認める――などの条件を打ち出した。

 15日までに関係者からの意見提出を締め切り、これを踏まえた免許方針案を7月の電波監理審議会に正式諮問。適当と認められれば申請の受け付けを開始し、今秋には事業者が決まる見通しだ。

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★写真はWiMAXフォーラムのロゴ。

 今般の総務省の方針には、それなりに思慮された跡は見られる。しかし、次のような課題も残ろう。

方針① ⇒ 現在の電波帯域のゆとりから自ずと帰結されるもの(2社限定という枠数のこと)。
 ただ、今般のWiMAXなどの新たな次世代高速無線通信技術が、今後大きな経済的な価値を生むようなことになれば、放送事業に付与している電波枠の抜本的な見直しも求められよう。

方針② ⇒ 新規参入を促すという観点は重要なことだ。
 しかし、携帯電話会社の既存3社+1社(ドコモ、KDDI、ソフトバンク+イー・モバイル)への縛りについては議論の余地がある。

 総務省は「国際競争力懇談会」で、“国際競争力”の強化を標榜している。その観点からは、WiMAX関連製品などのメーカーやサービス事業者(コンテンツ配信など)にとっては、WiMAXの市場規模(=量)がいち早く拡大したほうがメリットを受ける。最初からグローバル市場をターゲットとした開発もできよう。

 言い換えると、WiMAXという新たなビジネス機会を、グローバルビジネス展開の布石ととらえる国家戦略が求められるのだ。そしてこの際、国内市場における一定規模の“配分”の問題ではなく、日本企業に期待される“量”(収益規模やグローバル市場シェア)の問題のことが重要となる。

 新規2社のアッカ・ネットワークスとウィルコムでは、残念ながら既存3社に比し、収益規模が小さい。またWiMAX向けの基地局の整備もままならない。既存事業者が既に保持しているような、モバイル事業の量(収益規模)との連動による、規模や範囲の経済性を発揮することも難しいのではないか。

方針③ ⇒ 出資比率を1/3に限ったグループ会社の参入を認めている点については、同②での既存事業者の反対意見をかわそうとする伏線でもあろう。

 しかし、今回の新たな免許付与に関する意思決定は、真の国益の観点からなされるべきだろう。

 以上3つの方針に対する課題(ないし注文)は、中長期的なものである。じっくりと腰をすえて何が最も大事であるかを考えて頂きたい。

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» WiMAX免許で総務省「既存携帯4社はダメ」 [時事にゅ~す。]
『総務省は15日、先月15日に免許割り当て方針案を示していた 次世代高速無線通信 [続きを読む]

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» アイピーモバイル買収へ [にっかんせきぐち]
もうね、付き合わされた広告屋はたまったもんじゃないですよ。かわいそうに・・・って、僕じゃないですか!!まぁ、1年も前のことなんて覚えていないですよ、ええ。結局外資へ売却かぁ。... [続きを読む]

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