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2007年6月22日 (金)

【取材】販売奨励金見直しで“国内競争力”を失う?

 本日午後に連絡が入り、16時前にテレビ朝日の収録を済ませた。内容は、本日の総務省菅(すが)大臣の発言に対するもの。10分くらい、女性インタビューアー(経済記者)にお話しした。10~20秒くらい(私の下述のコメントの一部)が、夕方18時過ぎにオンエアされるらしい。今しがたテレビ局から電話が入った。

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「1円携帯」規制へ、総務省が料金体系見直し要請 (読売新聞、2007/06/22)

 総務省は21日、端末値引きのために携帯電話会社が販売店に支払う「販売奨励金」のコストを、割高な通信料金で回収する現在の携帯電話料金の体系を改めるよう、業界に求める方針を固めた。

 頻繁に端末を買い替える人が値引きの恩恵を受ける一方で、長く使い続ける人が損をする不公平を是正するのが狙いだ。全面実施されれば、通信料金が下がる一方で、「1円携帯」など格安な携帯電話端末が姿を消すことになる。

 ただ、端末の店頭価格が上昇し、売れ行きが悪くなるとして、販売店や携帯会社などが反発することが予想され、現行の料金体系との選択制なども検討されそうだ。

 見直しの方針は、総務省の「モバイルビジネス研究会」が26日にまとめる報告書案に盛り込まれる。同省は、2008年度からの導入を目指す方針だ。
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 私のコメントを要約すると主に次のようなことだ。インタビュー時間の制約から、実際にはここまで詳細にはお話しできていないが。

消費者の支払い額の点で殆ど変わらない、あるいは負担は若干増えることになり、特段嬉しいことにはならないだろう

◆≪販売奨励金制度の現状は?≫

 現在、消費者は毎月7,000円、年に約8.5万円の通信料金を携帯電話会社に支払っているとしよう。
 また、3万円の携帯端末を2年に1度買い換えるとすると(これが日本の買換え需要サイクル)、年平均では1.5万円の出費。
 つまり、通信料金と端末出費の両方で10万円。これが平均的なイメージではないか。

◆≪販売奨励金制度の導入で?≫

 販売奨励金は端末1台で約4万と言われる。これが携帯電話会社から端末メーカーに支払われる(買い上げてくれる)。
 この4万円を消費者にオンさせた場合、消費者の端末負担額は7万円。
 通信料金が月額7,000円から欧米並みの3,500円に値下げされた場合、年4.2万円。
 両方の合計で約11万円。つまり、現状の10万円から1万円余り増えることになる。有り難くはない。

 約2年間使われる端末1台の奨励金4万円を、電話サービス料金で回収しようとすると、月額約1,700円(=4万円÷24ヶ月)。すなわち、1,700円相当が電話料金台として請求される格好となる。言い換えると、月額で5,300円(=7,000円-1,700円)を携帯電話会社は確保できて初めて、現時点の収入の目途がたつ。これより下がれば、収益減となる。

日本の端末メーカーの収入はむしろ減り、国際競争力どころか国内競争力も失うことになるだろう

 販売奨励金は端末1台で約4万と言われる。これが携帯電話会社から端末メーカーに支払われる(買い上げてくれる)。
 携帯電話会社の収入は、上記のとおり、ARPU(ユーザー1人当たりの支払い料金)が5,300円を切ると減益となってしまう。

★写真は総務省菅義偉(すがよしひで)大臣。Photo_6

 日本の携帯電話端末市場の大半は、日本の10社ほどの携帯メーカーで占められている。それでもグローバル市場では10社合計でわずか9%程度。グローバル市場では殆どがGSMというデファクト標準が確立している。

 日本のメーカーは、GSM方式の端末をごく少量生産しているに過ぎず、グローバル市場へ打って出るレベルの量産設備はない。営業チャネルも殆どない。つまり、コスト構造の点で、フィンランドのノキアや米国のモトローラのような海外勢にはとても敵わない。

 海外勢は現状の価格設定のまま、つまり今の強いグローバル競争力につながるコスト力をもったまま、日本市場に改めて参入または梃(てこ)入れできる。

 それゆえ、特別な戦略と打ち手でもない限り、菅(すが)大臣が強調している「国際競争力」(その懇談会のWG構成員を私も4月まで務めていた)に、残念ながら反する状況になってしまうだろう。このことは目に見えている。矛盾。

 1980年代に日米半導体戦争が起きた。米モトローラらは時の米国政府を動かし、日本政府に圧力をかけ、日本が米国製半導体の一定量を買い上げさせることに成功した。今般の件でも、同様な背景が透けて見えてくる。

 今般の販売奨励金制度の見直しが、わが国の携帯電話端末(ひいてはサービス)市場の、これ以上の弱体化につながらないとよいのだが。。。

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