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2010年12月21日 (火)

【ICT業界向け講演】クラウドサービスの国際展開に向けた方向性とその戦略

 バックデートで、昨年末(2010年12月下旬)に行われた講演に関することを、備忘を兼ねメモしておきます。
 ご関係者の皆様、当日は貴重な機会にお招きくださり、有り難うございました。(^-^)

=====≪quote≫
■クラウドコンピューティング・国際戦略委員会
 平成22年度 第2回 委員会

日時 :平成22年12月21日(火)13:30~15:30
場所 :ゆうぽうと 紅梅(6階)

議事次第

1.開会挨拶 :特定非営利活動法人ASPIC(ASP・SaaS・クラウド コンソーシアム) 会長
2.委員長挨拶 :エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 取締役 経営企画部長
3.来賓挨拶 :総務省
4.講演
  株式会社日本総研 理事・主席研究員 新保 豊 様
  「日本のクラウドサービスの国際展開に向けた方向性とその戦略示唆」
  ~再考ODA戦略との連動の必要性~
5.当委員会WG検討状況について(中間報告)
6.質疑応答
7.閉会
=====≪unquote≫


 当日の私の資料の抜粋を、貼っておきます。

=====≪quote≫
■「日本のクラウドサービスの国際展開に向けた方向性とその戦略示唆」
 ~再考ODA戦略との連動の必要性~

【目的】
 日本のクラウド事業者の国際競争力向上・海外展開促進に向けた各種施策検討・政策提言を行う

【1】ODA戦略の再考

●ODAの歴史と意味合いの変容
≪参考≫主要海外機関の概要(ADB、IMF、World Bank)
≪参考≫円借款:JICAおよびJBICの概要
* 「国際協力」を超えて「国際展開」(ビジネス)とするには、もはや外務省や財務省管轄の資金を戦略的に活用することが求められる
≪参考≫日本の国際収支変遷(多額貿易黒字・所得黒字+適度な資本収支赤字)

●途上国援助とODAのあるべき姿

●戦略的ODAを考える

【2】グローバリズムを知り備える

●「SCPパラダイム」で考える
* 「CSPパラダイム」がグローバル市場のパラダイム
(注)「C⇒S⇒Pパラダイム」(シカゴ学派)
 「C](企業のグローバルベースの戦略と行動)が、各国の「S」(市場構造など)を支配し、「P」を最大化。
 ← 米欧の多国籍企業、“リーマン・ショック”前の投資銀行やファンドなど。
 ← 新古典派(ミクロ経済学のマクロへの適用)のアプローチ。
≪参考≫“政治覇権国・金融帝国”化とグローバル構造下における投資と消費のメカニズム
≪参考≫2009年_世界の巨大銀行(25行)の2009年の総資産
≪参考≫世界の主なタックスヘイブンと誤差脱漏
* 「誤差脱漏」と「貿易収支額」との対比(2009年)
 ⇒タックスヘイブンなどへの流出入と推定される
 - 米国     :同赤字の3倍
 - 日本     :同黒字の0.5倍
 - フィンランド :同4.5倍
「国際収支」=A+B+C+D=0
 A:経常収支(貿易収支など) B:資本収支(対外投資など)
 C:外貨準備高          D:誤差脱漏

【3】アジア新興国市場の概観

●新興国を育て刈り取る
* G20(G8除く)の存在感は高まりつつあり、G8は外需に期待(投資によるリターンor収奪)
* G8ないしG2(米中)を、政治経済的に牽制する動きとなろう
* 他方、G8の成長限界という信仰は本当か?
 ⇒実際は正しい総需要政策を採ればG8内需は喚起可
* 特にデフレギャップ膨大(300兆円超)の日本経済の内需潜在性は先進国で最大
≪参考≫真のデフレギャップ規模は膨大
≪参考≫デフレギャップ(真の財源)利用した経済対策と劇的な効果
≪参考≫ICT産業が採るべき未来の発展パターンと「飛躍の10年」
≪参考≫名目GDP成長率とその寄与度
* 「NX(純輸出)」の寄与(相対値)は小さく、絶対額もGDP比で1~3%
≪参考≫強小国は貿易依存度大、大国は一定の内需成長と外需追求
* G7と比べた各経済グループの存在感
* 主な次期ターゲット国(アジア+アフリカ)
≪参考≫中国人民元および韓国ウォンの為替レート推移

●国際収支の発展段階説
* インドの国際収支(多額貿易赤字とODA+IT系サービス黒字)
* インドネシア国際収支変遷(多額貿易黒字と少額のODA・FDI)
* ベトナム国際収支(多額貿易赤字・ODAと多額FDI・短期借入)
≪参考≫韓国の国際収支変遷に見る韓国経済の危うい現状
≪参考≫国家戦略的研究開発を進める場合の戦略の共有

【4】クラウドサービス事業の国際展開

●グローバル市場とクラウドサービスの通説
【2010年12月の外資IT系企業(多国籍企業)の日本法人トップ】
* 日本企業は海外に目を転じ、新たな需要に対応していく必要

(注)日本経済の内需の膨大な潜在性を知らない発言 ⇒本当か?
* それには自らを筋肉質な体質に変え、グローバルで適用するビジネスのやり方、経営のあり方に改めていかねばならない
(注)本当か?
 - “筋トレ”だけでは勝てない。多国籍企業の言いなりになる必要はない。
 - “CSPパラダイム”(多国籍企業の手口)を知り、“SCPパラダイム”
   (特に 相手国の構造)の研究は必須
* 世界的な競争力をもう1度取り戻すためには、独自のやり方に固執するのではなく、グローバルで適用するコミュニケーション基盤、情報共有基盤の整備が不可欠
(注)本当か?
 - 日本企業は、国際収支面で、昔も今も世界トップ級の競争力を保持(最近ではむしろ増加傾向)。
 - 多国籍企業が用意する受け皿(基盤)に全面依存するのでは、競争優位獲得は難

●サプライサイド方策が有効であるかどうかは経済状況に拠る
* 国際展開には、経済成長を促す「インフラ整備」に連動させることが重要
* 「経済成長」←「民間投資」+「政府支出」(投資+消費)+純輸出+消費
≪参考≫新古典派(ネオクラシカル)の経済成長モデルは特殊
* ミスリードさせる「新古典派の経済成長の定式」:
 g(経済成長率)=s(貯蓄率)/v(資本係数)+n(労働人口増加率)+t(技術進歩)

* 経済成長率を大きくするには・・・・
 - s(貯蓄率)を大きくする
  ⇒高齢化に伴い小さくなるので、海外からの資金流入を促す
 - v(資本係数)を小さくする
  ⇒企業リストラと公的部門の合理化(規制緩和による競争促進と小さな政府の実現)
 - n(労働人口増加率)を大きくする   
  ⇒労働人口を確保するため大量の移民を受け入れろ
 - t(技術進歩)を促進する
  ⇒供給サイドの試み(デフレ不況下では二の次)
* しかし、実際は極めて特殊なケースでしか有効でない
* 政府の需要創出政策が必要
 - g(経済成長率) ←I(民間投資)+G(政府支出〔投資と消費〕)+NX(純輸出)+C(消費)
 - g ← 乗数値×(I+G+NX)               
 - Cは、「Y(所得)≒g」の従属関数ゆえ
【誤った政策】デフレ不況下: ROIが見込めないためNX重視 ⇒経常黒字大で円高に
【正しい政策】デフレ不況下: 当面G増やし(成長すれば税収増え債務率減)、適度なNXに

●クラウドサービスの海外動向とマクロ経済面での見通し
* “リーマン・ショック”後の余波冷めやらぬ欧米よりも(に加えて)、新興国の内需拡大に歩調を合わせることも視野に
 - 欧米    ⇒置き換え需要は大   
 - 新興国    ⇒成長率高いが規模はまだそう大きくない

●クラウドビジネスの階層別国際展開時のポイント
* 技術優位性のみでは勝負できない
* 単年度の収益性追求のみでは、現地顧客(政府や企業)のニーズを満たせない

●国際展開時のグリーン化とパートナー連携の核心部分
* 「グリーン化」は、“CSPパラダイム”に基づく多国籍企業らの高等戦略
* 日本企業 ⇒その手口を熟知した上で、土俵を変える戦い方(矛と盾)の備え要
≪参考≫非科学的な国連組織IPCC報告書の成果は政治家の手に
≪参考≫Climategate事件:地球規模の“Much Ado about Nothing”
* 2009年11月17日、英イースト・アングリア大学(UEA)の気候研究ユニット(CRU:Climate Research Unit)がクラッキングされ、地球温暖化研究に関連した電子メールと文書が公開

●日本政府および企業の新興国への進出アクションイメージ
* 成功事例(スモールスタート)を積み上げるための民間主導の「外需獲得基盤」づくり
* 広域経済圏向け「J-SIBA」の構想案
* 広域経済圏をターゲットとする「J-SIBA」組織のイメージ
* 広域経済圏をターゲットとする「J-SIBA」を通じたアクションステップ

●結論
①ODAに求められる昨今の意義と国益
 ⇒untiedからtied(短期)、豊かにし豊かになる(中長期)
  =付加価値(利益+地元含む人件費や賃借料等)向上≠「太らせて刈り取る」 
②グローバリズムの何たるかを知り備える
 ⇒CSPパラダイムの手口・遺伝子(短期的利益志向の株主資本主義)、
  世界の力の序列:政府<多国籍企業<金融機関
③外需の規模(絶対額)と構造や地域研究の不備
 ⇒巨大な内需潜在性+正しい経済政策でGDP成長 ⇒一定の外需獲得
④「インフラ+ICT」の真の相互便益享受
「ICT」例
 ⇒「クラウドとストリーミング」(安価な基盤)+「サービスの独自性」(日本ブランド育成・強化)
 ⇒外需獲得のための一元的発想と同組織の不備への対策
* 民間主導「P-EMA」(外需獲得基盤づくりPJ)によるトライアル 
 ⇒All-JAPANの「J-SIBA」(日本社会インフラビジネス・エイジェンシー)等の組織対応
* 戦略的「Public(相手国+日本政府)・Private(日本)・Partnership」
 ⇒相手国の鉱山資源や農作物等 ⇔ 日本の技術とマネー等
(注)
- 「P-EMA」:Project foundation for External Market Acquisition(外需獲得基盤構築づくりプロジェクト、JRI造語)、
- 「J-SIBA」:Japan Social Infrastructure Business Agency(日本社会インフラビジネス・エイジェンシー、JRI造語)。

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2010年8月27日 (金)

【Round Table】北欧専門家とのサービスイノベーションの意見交換

 2010年8月27日(金)に「##### Round Table」なる、北欧のある国と日本側との、「サービス・イノベーション」に関する催しものがあり、そこに私も参加しました。

 同国のMrs.TTが、訪問団のリーダーでした。

 私からは、主に次のことを質問またはコメントしました。

◆日本の「サービス業」の労働生産性(=付加価値額÷労働投入量)が低いのは、その定義である分子(≒営業利益+人件費+減価償却費)が、デフレ下で伸び悩んでいる点にあること。
================================
 労働生産性   米国    日本 

* 製造業    :  3.3%    4.1%
                    ∨
* サービス業 :  2.2% > 0.8%
================================
◆また、流通や小売あるいは農業などの内需型の市場分野において、規制緩和の号令のもと欧米からの企業参入が活発化し競争が激化したこと、あるいは中国からの低価格の農産物が流入してきたことが、サービス業に関する労働生産性が低いことの原因。
◆他方、日本のサービス業は、石川県の加賀屋旅館のサービスに見られるように、世界で類をみないほどの高度なものであること。
 単に財務的な価値のみでは、測れないこと。決して、過度なサービスなどと形容されるものではないこと。
◆主に以上のマクロ経済的視点や非財務的な価値(尺度)まで視野に入れないと、北欧の専門家をミスリードしてしまうのではないか、ということ。

■招待状(日本語)の抜粋:
=====≪quote≫
 この度、#####の政府・大学・企業の各方面からサービス・イノベーション関連の関係者9名 (#####プログラムの幹部)が訪日し、サービスイノベーションの関連機関・企業を訪問する予定です。

 この視察の一環として、8月27日午後14時より帝国ホテルにて、「日本と#####のサービスイノベーションへの取組み」というテーマでラウンドテーブルを開催し、意見交換・議論を通して両国の交流を深めたく存じます。
 ラウンドテーブルの後には、両国の関係を一層深めていただくために軽いレセプションも準備いたしておりますので、皆様には是非ご参加いただきたく宜しくお願い致します。

 尚、当日のプログラムは、別紙の英文招待状に添付してあります。

(略)

 今回のラウンドテーブルの開催に関しまして、東京工業大学#####教授(大学院社会理工学研究科・サービスイノベーション特別教育研究コースディレクター)の多大な協力により実現の運びとなりました。ここに、#####教授に心から感謝すると共に、ご参加される皆様にご報告いたします。
=====≪unquote≫

■#####側の参加者: 男性4名+女性4名の計8名
* Mrs.TT, Director, Service Innovation, ##### Funding Agency for Technology and Innovation, the main architect of ##### strategies in service business and service innovation.
* Mr.LM, D.Sc. (Econ. & Bus.Adm.), professor at University of #####.
and managing director and consultant
* Mrs.SA, B.Sc., Economics and M.Sc., Forestry, Forest Products Marketing.
* Mr.KH, Ph.D. in Finance and a M.Sc.(Eng.) in Civil Engineering, Director, Business Development, Senate Properties 
* Mr.AR, M.Sc.(Econ.) and eMBA, CEO, ##### Oy, a Member of the Board of a major malt, enzyme and incredient producer.
* Mr.JV, Master of Education and leadership, founder and CEO in ##### Ltd.
* Mrs.JA, a research director and senior researcher at ##### University, Senior Technology Adviser, ##### Funding Agency for Technology and Innovation.
* Mrs.HP, D.Sc. (Econ.), Coordinator of ##### – Pioneers of Service Business programme in #####, Senior Consultant at ##### Ltd

■日本側の参加者
* 東京工業大学 教授
* 東京工業大学 教授
* 北陸先端科学技術大学院大学 教授
* 株式会社NTTデータ パブリック&フィナンシャル事業推進部 グローバル推進部 グローバル推進担当部長
* 科学技術振興機構 研究員
* 日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所 サービス・リサーチ担当部長
* 株式会社ぐるなび 執行役員/経営企画室長
* 株式会社日本総合研究所 総合研究部門 理事
* 株式会社野村総合研究所 社会システムコンサルティング部 上席コンサルタント
* 株式会社コーエーテクモネット 代表取締役社長
* 藤沢市、市長室産業戦略担当部長
≪傍聴≫
* 東京工業大学ソリューション研究機構 特任教授(元日本総合研究所)
* 東京工業大学ソリューション研究機構 特任講師
* 東京工業大学 博士課程在籍
* 東京工業大学 博士課程在籍
* 東京工業大学 特任助教
* UPM-Kymmene Japan 社 社長
* #####庁、#####大使館科学技術参事官
* #####大使館商務部
* #####大使館商務部
* #####大使館商務部
* #####技術庁

(注)ちなみに、東京工業大学ソリューション研究機構 特任教授氏は、私の元同僚(日本総合研究所時代)でした。久しぶりの対面となりました。(^-^)

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2010年6月30日 (水)

【有志国際マクロ経済勉強会】顔合わせ

 2010年4月13日(火曜)に行った、「2010年 情報通信産業の潮流と展望 浮揚のための次の一手~グローバリズムの本質とマクロ経済・金融問題を絡め、抜本的な解決策を提言~」なるタイトルの講演出席者(ある企業の社長さん)から、もっと詳細を聞きたいという話が出ました。

 そこで本日6月30日(水)に、あるところで打合せをもちました。
 結果、喜んでそれをお受けすることになりました。年末まで、数回の勉強会を開催するというイメージです。

 出席者として、企業のトップ(社長)や経営幹部、あるいは公認会計士、証券会社勤務の方(エコノミスト?)らに加え、政治家(自民党)の方もいらっしゃるということでした。

 ご関心事のキーワードとして、次のようなものがあがりました。
* マクロ経済(財政問題と金融問題)、財政破綻、金融緩和
* グローバル経営、企業や産業の海外進出、多国籍企業の動向
* 欧米のサブプライムローン問題、金融危機後の債権問題、米ドルやユーロまたは人民元などの為替問題、各国の国際収支問題
* 情報通信産業の展望、規制緩和、競争・・・・・

 そこでとりあえず、「有志国際マクロ経済勉強会」といったようなもので、数回の勉強内容の割り振りを行おうと思いました。

 ご熱心な方は、少なからず、まだまだいらっしゃるのだな、という感想を持ちました。
 この種の場は、聞き手がいれば、当方も一層勉強するようになりますので、大変よい刺激になるものです。

 

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2010年4月19日 (月)

【講演】「2010年 情報通信産業の潮流と展望 浮揚のための次の一手」の補足

 先週(2010年4月10日)行った、ある講演に関するレジュメ(項目のみ)を貼っておきます。
 当日は、通信会社、総合電機、総合商社、広告代理店、政府系投資銀行、外国政府(北欧)などから経営幹部(代表取締役社長、事業本部長、部長ら)の皆さんがお集まりになりました。
 計200分(Q&A含む)の長丁場でしたが、壇上から拝見するに、皆さんのとてもご熱心な様子が伝わって来ました。

【主なQ&A】

≪Q1≫原口総務大臣らによる、将来(2015年?)の名目GDPの150兆円アップ見通し(現約500兆円から650兆円)、うちICT産業が70兆円とする見方について、どのようにお考えか?

⇒ 自民党政権時に加え、現民主党政権においても、決定的に欠如しているものがあります。それは、マクロ経済の基礎的な視点
 ICT産業がいくら頑張っても、経済成長が大きく増大する訳ではありません。現在は、民間企業にとって、国内に有望な投資案件を見出せない(つまり、一定のリターンが得られない)ため、民間投資が不十分となり、所得も増えず消費にもつながりません。

 デフレ不況下にあっては、総需要<総供給の状態ですので、ある意味当然なのです。不足しているのは総需要の方です。従って、例えば、ICT産業インフラをいくら拡充してもそれは供給過多の状況をさらに高めるだけです。
 では供給過多と言って、これまでの折角の有効な設備資本や人材・人員を削減してしまうことはご法度です。このような考え方をするエコノミストや経済学者が多いのは、困ったことです。世界の非常識です。投資したインフラた設備などを活かすことが重要。有効設備資本と有効な人材要素は、経済復権の原資です。そのためには、総需要を喚起すること。

 方法は、民間が投資しにくいデフレ不況下では、政府が有効な投資をすることがポイントです。戦略産業や戦略分野に政府が投資(社会資本形成)することで、つまり、そこにお金が流れることで、需要が増大します。どこが有効な分野であるかは、お話しした通り(下述の項目)です。
 そうなって初めて、ICT産業の市場規模の拡大も見込めるのです。



=====≪quote≫
■2010年情報通信産業の潮流と展望浮揚のための次の一手
(新保豊、2010年4月10日)

はじめに
 本講演では、最近のトピック(国の政策動向、国内外の情報通信産業の市場動向、通信・放送の融合や新たなメディアの動向)を例に挙げながら、なぜ日本企業が競争力を落としているのか、今後の打ち手はどうあるべきかなどを、マクロ経済やグローバル金融などの視点と結びつけた分析・綜合化を行いつつ、情報通信産業の浮揚のための打ち手を展望。

 日頃の経営コンサルティング現場や政策提言(競争政策やマクロ経済など)の視点から、問題の核心と今後の見通しなどについて解説を試みます。


講演内容の構成

【1】国の政策動向

■動き出した新政権のICT関連の政策
▼総務省の政策を決定する"チーム原口"の構成
▼過去の審議会、研究会と一線を画するICTタスクフォースの運営体制
▼日本と欧米各国の通信・放送行政の比較
▼「地球温暖化問題に関する閣僚委員会タスクフォース会合」(2009年10月)
■郵政の次はNTT:再統合へネジ巻く政官業の腹づもり
■「原口ビジョン」(2009年12月22日発表)の概要
■原口総務相“光の道”構想(2010年3月発表)
▼総務省:携帯電話のSIMのあり方に関する公開ヒアリング(2010年4月2日)
■菅財務相:積極財政を数年継続=財政再建は「その後」に
■危うい鳩山政権「5原則」
≪参考≫憲法改正試案の中間報告
■「国際協調及び平和主義」「安全保障」の条項について

【2】国内外の情報通信産業の市場動向

■グローバル化を通じた“勝ち組・負け組”も金融危機後は総崩れ
▼金融危機後の主要電機各社リストラ計画により日本経済のデフレギャップがさらに増大
■ウィルコム再生支援に関する基本合意内容
■「クラウド」:通信キャリアが提供することの見方
▼「クラウド」:海外事業者と比べて考えられる問題
▼「クラウド」:端末とネットワークの役割分担はうまく図れているか
▼「クラウド」:取り組む方向性についての評価
≪参考≫「クラウド」:利用企業が注意すべきポイント
≪参考≫「クラウド」:国内データセンターの国際競争力に関する状況
■中国:インターネット関連サービスのユーザー数推移は急増
▼中国:インターネット関連やオンライン広告は急増
▼中国:地方の消費者購買力も7,000ドル(per capita GDP)近くまで高まる
▼中国:“中流”コア購買層は6億人を超える(リッチ層も5,500万人)
■侮れぬ中国「OPhone」の深謀

【3】通信・放送の融合や新たなメディアの動向

■広告費に見るインターネットとマスメディアの明暗
≪参考≫新聞の発行部数の推移
▼米国と日本における新聞発行部数の比較・ランキング
≪参考≫米国The Huffington Post(創業4年のオンライン新聞)の躍進
≪参考≫News Corporationグループに見るグローバル市場での独占・寡占化
■電子書籍「Kindle」と「iPad」に関する最近の動き
▼各社の電子書籍端末比較
▼「電子書籍」に関する最近の議論
■「ホワイトスペース」:放送電波のすき間に眠る「埋蔵金」
■「マスメディア集中排除原則」の緩和(集中化)へ
■米YouTube社およびHulu社のコスト構造分析
■メディア2.0市場の位置づけ
≪参考≫メディア内の主体構造の変化
■オルタナティブメディアへの変遷
▼シナリオ別のマスメディアのゆくえ
■P2P技術の本質に横たわる著作権問題
▼「P2P型インターネットテレビ」がもたらす社会・経済的なインパクト
≪参考≫「キーホールTV」サービスのイメージ
■「地デジ」化の思惑と「P2P型インターネットテレビ」の可能性
≪参考≫ネット上の“パノプティコン”が生権力(バイオパワー)支配
■「中国 vs Google」の戦いから見えるものとは?

【4】グローバリズムの本質とマクロ経済・金融問題

■「年次改革要望書」とは何か?
≪参考≫「CHANGE」?されたオバマ政権の主要閣僚・顧問らの顔ぶれ
■内外主要ファンドの一覧
▼「ファンドの貪欲」
■金融ビッグバンによる資金流出(日本経済に使われなかったマネー)
▼信用創造量と名目GDP伸び率の関係
▼日米の金融政策比較
▼クレジットデリバティブのメカニズムと証券レバレッジによる新型の信用創造
≪参考≫世界の流動性
■巨大複合金融機関LCFIとのその役割とスキーム(Ponzi scheme)
▼世界の銀行の総資産の大きさに見る世界覇権(金融経済)の動き
≪参考≫世界の巨大銀行(25行)の2009年の総資産
▼米GDPに占めるFRB総資産の急増ぶりに見る国家破綻への兆し
≪参考≫米国の債務残高:99兆ドル(債務比率700%)を超えている!?
≪参考≫国家破産の方法(John Maynard Keynes)
■“政治覇権国・金融帝国”化とグローバル構造下における投資と消費のメカニズム
▼中国の輸出競争力の背景には「人民元安」があったが早晩切り上がる
≪参考≫為替レートのあるべき調整と現状
■主要国GDP比較に見る日本の経済成長の低迷さは異様
≪参考≫債務残高の対GDP比による国際比較の誤解
≪参考≫日本の新規財源債発行額(年間)とその残高および長期金利の推移
■部門別の資金過不足推移と日本経済の低迷と水準維持のメカニズム

【第1の方法:国債発行】世界のGDPに占める日本の存在感と財政出動
▼日本経済に「デフレギャップ」は殆ど存在しない!?
≪参考≫GNPギャップ(デフレギャップ)の定義
≪参考≫日経新聞における潜在成長率の定義
≪参考≫内閣府モデルによるデフレーター予測値と実際値との乖離
≪参考≫ケインズの乗数効果を考える
▼真のデフレギャップの規模
▼GDP=「乗数効果」×「有効需要支出」ゆえデフレ下では「社会インフラ投資」が有効
≪参考≫「日経NEEDS」モデルによる大規模な財政拡大シミュレーション
≪参考≫主要国の国税収入全体に占める消費税の割合
≪参考≫「税収の対GDP弾性値」は大きいため借金返済ペースの方が速い

【第2の方法:日銀の国債直接引受】日銀からの国庫納付金を通じた実質的な無利子国債発行による財源調達
▼危機下で学ぶべき高橋是清の教訓:財政危機の「出口」戦略描け

【第3の方法:政府紙幣発行】即効性のある景気対策と年率10%の経済成長
▼スティグリッツによる「政府紙幣」発行の提案
≪参考≫中国の地方政府で相次ぐ「消費券」の発行

【5】情報通信産業の浮揚のための打ち手

■「グローバル・トップワン」が本当に必要か?
■総務省「デジタル日本創生プロジェクト(ICT鳩山プラン)」骨子
▼デフレギャップ(真の財源)利用した経済対策と劇的な効果
▼ ICT産業が採るべき未来の発展パターンと「飛躍の10年」
▼「ミクロ」に固執し「マクロ」の視点を欠いた日本の不思議
≪参考≫大深度地下利用による「社会インフラ資本」形成(生産力を生まない投資)
■社会インフラ整備を通じた関連サービスが今後のフロンティア
▼今後の需要喚起が期待されるのは「社会ニーズ」を満たす分野

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2010年4月12日 (月)

【講演】2010年 情報通信産業の潮流と展望 浮揚のための次の一手

 明日(2010年4月13日火曜)の午後、あるところで情報通信産業を例に、グローバルな観点およびマクロの観点から見た、わが国における経営課題および経済課題に関するお話しを致します。

 これまでの情報通信産業をミクロの視点のみで“分析”するというよりは、様々なドライバー要因(政治・経済、環境・エネルギー問題、金融問題)を加味した上で、それら全体を“綜合”化することを試みます。
 そのことにより、本質的・核心的なことが、浮かび上がって来るのです。

 これまでのアカデミズムやシンクタンクなどのアナリストやエコノミストの皆さんの分析アプローチとは、少々異なる視点を提供したいと思います。

=====≪quote≫
■2010年 情報通信産業の潮流と展望 浮揚のための次の一手
~グローバリズムの本質とマクロ経済・金融問題を絡め、抜本的な解決策を提言~
http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_10136.html

◇開催日時  :2010年4月13日(火)午後1時30分~午後5時
◇会場     :SSK(新社会システム総合研究所) セミナールーム
         東京都港区西新橋2-1-1 (03)5532-8850 

●重点講義内容
(株)日本総合研究所 理事・主席研究員
(通信メディア・ハイテク戦略クラスター長兼務)

新保 豊 (しんぼ ゆたか)氏 
 本講演では、最近のトピック(国の政策動向、国内外の情報通信産業の市場動向、通信・放送の融合や新たなメディアの動向)を例に挙げながら、なぜ日本企業が競争力を落としているのか、今後の打ち手はどうあるべきかなどを、マクロ経済やグローバル金融などの視点と結びつけた分析を行いつつ、情報通信産業の浮揚のための打ち手を展望。日頃の経営コンサルティング現場や政策提言(競争政策やマクロ経済など)の視点から、問題の核心と今後の見通しなどについて解説を試みます。

1.国の政策動向
  (景気変動と情報化投資、縮小均衡に陥りつつある日本の情報通信産業、
    NTT組織改編問題、光アクセス網の行方、ホワイトスペース、利活用を進める
  には?民主党のICT政策、危ういチーム原口?など)

2.国内外の情報通信産業の市場動向
  (ネットブックが拓く「垂直統合」、侮れぬ中国「OPhone」などの
    コンシューマー向け、クラウドコンピューティング、データセンターなどの
    法人向け、再び本格化する海外進出、拡大するAndroid経済圏)

3.通信・放送の融合や新たなメディアの動向
  (マスメディアとインターネットとの攻防、映像配信、マス排とローカル局再編、
  メディアの本質、Twitter等ソーシャルメディアなどの新メディアの胎動、
  電子書籍〔Kindle、iPadなど〕の広がりと可能性)

4.グローバリズムの本質とマクロ経済・金融問題
  (中国問題を含むグローバリズムとマクロ経済環境、経済も浮揚もせず
    国際競争力も落ちる要因・課題、抜本的な解決策としての現状再認識)

5.情報通信産業の浮揚のための打ち手
  (経済と情報通信産業を簡単に浮揚させるための方策)

6.質疑応答/名刺交換

=====≪unquote≫

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2010年3月 9日 (火)

【新聞コメント】「クラウドが拓く、日の丸ITの岐路」の視点に欠けるもの

 少し前(2010年1月29日)、日経新聞社の○○記者(『日経産業新聞』担当)が、私のところを訪ね、主にクラウド・コンピューティングに関する取材に応じました。
 その内容が昨日(2010年3月8日)記事になっていました。

 それに伴う弊社広報部担当者へのeメール内容と、その記事についての補足を簡単に下に行っておきます。

=====≪quote≫
広報部 ○○さん
新保です。

 ご丁寧にご連絡有り難うございます。
 当件、随分と経過していましたので、もう忘れていました・・・。
 それに日経○○記者は、民主党で通信政策に詳しい人をどなたか私に紹介してくれませんか、と言うこと(のみ?)に随分とご関心を持っていたようでしたので。
(記事を今朝手にしてみると、結局、原口総務相の元に行かれたようですね。)

 そういえば、昨日、当社代表電話に山形県のある方(この日経産業の記事をご覧になった60歳代の男性)から、電話でのご質問・感想などの件で、私とやり取りがありました。
 クラウド・コンピューティングの今後について、ご興味を持っているようでした。今度当社まで、地産の枝豆を持ってお礼のご挨拶に来たいとおっしゃっていました。(^-^)

PS:
 クラウド・コンピューティングの本質とは、【A】IT革命を通じた時空間の開放により、世界最高の技術・生産力(欧米)と世界最低賃金(BRICsなど)とが結びついたことで実現した、また同時に進んだ金融革命とが後押しする(前者国が後者国へファイナンスする)ことで実現した、新たな世界パラダイム(世界帝国化の流れ)を支える一要素であろうかと思います。A国(警察庁の隠語)の明確な戦略をここに垣間見ることができます。

 その意味では、この流れを是認する際に、わが国は出遅れた感がありますが、必ずしも是認してよいことばかりではないと考えています。

 他方先般、【B】菅大臣が打ち出した継続的かつ積極的な財政出動により実現可能な、新たな“内需型社会資本大国”に向け、より具体的には地方をも元気にするために、様々な国内資源(人、地場企業、地場環境など)とクラウド・コンピューティング資源とを有機的に結びついた際、別の意義が見出せるコンセプトでもあろうかと思います。

 (略)後半の解釈については、恐らく日経○○記者の理解を超えているものかと思います。。。
=====≪unquote≫


 その記事について、主な内容を抜粋します。

=====≪quote≫
■クラウドが拓く、日の丸ITの岐路、霞が関システム統合迷走
(『日経産業新聞』、2010年3月8日)

≪抜粋≫

* クラウドは情報システムの統合とグローバル化を加速させ、既存のシステムを陳腐化させる力を秘めている。

* 国や自治体、情報関連産業はクラウドの大波に乗れるか

* 霞が関クラウドが最初に発表されたのは昨年(2009年)3月、当時の麻生政権が打ち上げた。構想には世界最高水準の電力利用効率を持つ次世代データセンタ-(DC)の構築などが含まれ、日本のIT競争力を高めるのが狙いだ

* そもそも“霞が関クラウド”は自民党時代に姿も形もなかった。構想も我々がゼロから作っているのが実情だ。不正利用の防止や国民のプライバシーなどに配慮しつつ、早急に構築する〔原口総務相〕

* 日本はグーグルなどの米国勢に先行されたが、政府の支援があれば追いつく可能性がある〔情報経済学が専門の須藤修東大教授〕

* だが構想は迷走。当初1,000億~2,000億円の国費を投じ、全国に次世代DC網を拘置する案もあったが、景気後退の影響で前政権が2009年度に盛り込んだのは、“電子政府クラウドの推進”など207億円だけ。民主党政権下では事業仕分けなどでさらに削られ、52億円まで圧縮

* 北海道(候補地:岩見沢市)で雪や地下水を使ってサーバーを冷却する最新型DCの実験の予算も消えた。他方、IIJ社(鈴木幸一社長)は、2010年2月上旬、静岡県のある工業団地で次世代DCの実証実験を開始。

* 米国や中国などは官民一体でITを向上させており、日本が取り残されている。例えば、米IBMは昨年(2009年)、米空軍向けのクラウド基盤に着手。グーグルも年内に、米政府にクラウド方式で表計算送付となどの提供を始める。今年はグーグルやアマゾン・ドットコムが、DC建設などで相次ぎ日本に進出してくるとみられている〔情報通信分野の経営戦略に詳しい日本総合研究所の新保豊主席研究員〕

* 自民党政権時代とは違う霞が関クラウド構想が登場し、日本のIT競争力を引き上げる起爆剤となるのか。海外の国や企業は待ってくれない
=====≪unquote≫
 

■補足

◆≪グローバル化を加速させ、既存のシステムを陳腐化させる力

 情報通信産業を含む実体経済(貿易財)の「グローバル化」を考慮する際、それが特に「金融グローバル化」と不可分一体で動いている様に注視する必要があります。

 「金融グローバル化」とは、水野和夫氏(三菱UFJ証券のチーフエコノミスト)の言葉を借りれば、ITで市場を一体化させ、実物経済を一体化させながら、金融の自由化と新自由主義の強いドル政策でマネーは全て米国に集める、すなわち「全てのお金はウォール街に通ずる」なるパラダイムを構築するための「米国金融帝国」もしくは「米国投資銀行株式会社」の明瞭な意図・戦略のことです。

 ちなみに、水野和夫氏の代表作である『100年デフレ』(2003年2月)、『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』(2007年7月)、『金融大崩壊』(2008年12月)、その他論文などはおよそ読破しています。特に最初の著書は大作・力作だと感心しています。経済学の知識に加え、その他世界の財閥史・金融史や社会学などの基礎知識などが不十分な場合、この著書の大半の読者は、恐らく水野ワールドに引き込まれたままで帰って来れなくなることでしょう。(^-^)
 数百年の世界経済史の中で、現代の世界的なデフレ経済を分析した力量には目を見張るものがあり、大変勉強になります。

 ただ、経済を動かす人間(特に資本家)そのものやその行為(その心理面、思惑、さらには脳機能学からの側面)についての考察には、最近ようやく気付いてきたようですが、少なからず甘さがあるのではないかと感じます。同氏(および三菱UFJ証券)の豊富なデータを駆使した経済分析は日本ではトップクラスにあることに間違いありませんが、分析をする際の前提(あるいはその結果に対する解釈)には、私との価値観の違いもあるのでしょうが、明らかに誤っていると思える個所が幾つか(そう多くありませんが)散見されると思います。何れ近く、このブログでも触れてみたいと思います。

 加えて、マクロ経済学を正しく理解していれば、何も数百年前からのデフレから論じなくとも、現下のデフレ経済をきちんと分析できますし、そこから脱却するための抜本的な解決策もあります。さらにグローバルな、言い換えますと、一物一価の経済が支配する単一経済(単一通貨)を標榜する世界的な、経済パラダイムの是非を論じることができます。水野ワールド(水野氏流の考え方・アプローチ)などを持ち出す必要はありません。私には、同氏においても多分に恣意的かつ演繹的な方法論を感じてしまうのです。

 話を戻します。「クラウド・コンピューティング化」とは、IT革命の一部であり、「金融グローバル革命」と連動して動いている「世界帝国パラダイム」の完成のための1つの現象だということです。

 「既存のシステムを陳腐化」させる原動力の源泉は、前述の通り、世界界最高の技術・生産力(欧米)と世界最低賃金(BRICsなど)とが結びついたことで実現した、新たな世界パラダイム(世界帝国化の流れ)に沿ったものだからです。

◆≪国や自治体、情報関連産業はクラウドの大波に乗れるか

 わが国の行政府(中央+地方)や情報関連産業界は、「クラウドの大波」の本当の意味・背景が分かっているのか、やや不安になります。
 単なるICT上のことではないのです。

 このままのトレンドで物事が進展していくと(任せてしまうと)、「世界帝国パラダイム」に呑まれること必至でしょう。その尖兵が、GoogleやAmazon.comやsalesforce.comらなのです。

◆≪不正利用の防止や国民のプライバシーなどに配慮しつつ

 もし国が主導でデータセンタ-を構築しようとする場合、もしくは国家データセンタ-などを作るとなった場合の、「影」の部分のみ補足しておきます。

 ジョージ・オーウェル(George Orwell)の小説『1984年』の世界のことです。
 古今東西、政府というビッグブラザー(オセアニア国の指導者のことを指しますが、度重なる歴史改竄のため、来歴どころか本当に実在するのかさえ不明な、ある種の独裁権力)を、国は常に潜在的に宿していると考えた方がよいでしょう。

 従って、国民データを全て、そのビッグブラザーには渡してはならいのです。黒髭でもたくわえた温厚そうな人物として描かれているビッグブラザーのことを、もちろん原口大臣と言っているのでは毛頭ありません。権力の象徴を指し示しているだけです。

 杞憂と思われるかも知れませんが、わが国の国家基幹システム市場において、1996年~2001年にわが国で実施された“金融ビッグバン”以降、徐々に外資系IT事業者(もしくはIT系コンサルティング会社)により、そのシェアを奪われているのも実態のはずです。

 水野和夫氏が強調する「1995年」の直後、つまり米国のルービン財務長官の採った「強いドル政策」を通じた「米国金融帝国化」または「米国投資銀行株式会社化」という世界戦略なる分水嶺が形成される直後のことです。
 彼の国のビッグブラザーの力を背にしているとすれば、警戒せねばなりません。

 また、須藤氏(東大教授)が言う、「米国勢に先行されたが、政府の支援があれば追いつく可能性がある」というのは正しいと思います。しかしながら、事態を正確に把握すれば、政府支援の範囲は、クラウドやICTに限らないことなのです。グローバリズムを牽制しつつ(特に国際資本の完全自由化の見直しなど)、国内にあっては財政政策(や金融政策)という経済対策と連動することが不可欠なのです。

◆≪景気後退の影響で、(略)事業仕分けなどでさらに削られ、52億円まで圧縮≫、≪雪や地下水を使ってサーバーを冷却する最新型DCの実験

 匠の国の人々(日本人、中でもメーカーやIT事業者)は、とかく技術に走りがちだと思います。地場資源を活用して冷却する方式は、寒冷地のノルウェイなどでも話題となっており、グローバル・データセンタ-の誘致合戦が、様々な国々で行われつつあります。

 日産自動車の電気自動車(EV)事業と連動した戦略的な「グローバル・データセンタ-」のことが、極秘事項ゆえにほんの部分的な情報として新聞紙上に先日報じられました。先週、私も顧問を務める産官学のある勉強会で、日産自動車の主管の方(電気自動車担当)を講師にお呼びし、その件について少々詳し目のお話しを聞くことができました。

 当日はEVに関することがテーマだったのですが、私から2点コメントしました。
 ①現在大騒動となっている、トヨタ自動車の米国での急発進事故問題をどう読むか。米国でも違法なはずの“トラック野郎”の強力なCB(Citizen Band:市民バンド)無線による、トヨタ車とのすれ違いにより生ずる可能性のあるエンジン電子制御機能へのノイズの影響について。
 ②米国南部の広大な帯水層地域に進出し工場を建造・生産していることで、既に地下水が枯渇しつつある“ヴァーチャル・ウォーター”問題について。ライフサイクルで見た場合、自動車1台の生産に水が378トンも使用されるそうです〔出所:「グローバル・イノベーション・アウトルック・レポート2009」〕。
 ここではこの2つについての詳細は記しません。

 DCがどれほどの冷却水(地下水)を必要としているかのデータがありませんが、その使用量が膨大な場合には、内燃機関型自動車産業と同様に、潜在的なリスクがあるかも知れません。他産業で現実に起こっている、このヴァーチャル・ウォーター問題は、人為的なCO2排出問題の比にはならないほど、私たち人類の生活圏への影響の点で深刻なのです。

 さて、その勉強会でも抜け落ちていると思われる(あるいはもっと政府に働きかけて強調すべき)点こそが、この「景気後退の影響」、すなわち「景気回復の手立て」に関することだと思います。

 デフレ不況、つまり「総需要<総供給」の状態にあるのですから、まず政府が投資を行い、民間企業の投資需要を生みだすこと、ひいては消費者の所得・購買力を向上させることが不可欠です。

 日本の主要エコノミスト(主に新古典派、新自由主義者、あるいはグローバリスト)が何と言おうと、それ(ケインズ的な政策≒財政出動)が、デフレ不況下にある日本経済には必要なのです。言い換えれば、グローバルな舞台での資本家への利潤分配率(株式配当など)を引き上げることを目的としたグローバリズムに対して、周辺国における国民への利潤分配率(≒雇用者所得への配分率)を引き上げることの方策が、いま切実に求められているのです。私はもちろん社会主義者ではありません。そうしなければ国民(≒消費者)の購買力が増大しません。増大しなければ、企業の利潤も高まらないのですから。

 幸い先日(2010年3月4日)、菅直人財務相が「積極財政を数年継続=財政再建は“その後”に」と、そのケインズ的な政策実行の意思表明をしました。その財政出動の規模によっては、景気回復の契機になることでしょう。IMFや内閣府らが算出するGDPギャップ(需給ギャップ、今はデフレギャップのこと)の規模に相当する、年間最低30兆~40兆円が必要でしょう。本当はそれ以上必要なのですが・・・。私の試算では、デフレギャップはもっと遥かに大きいからです。

◆≪自民党政権時代とは違う霞が関クラウド構想が登場し、日本のIT競争力を引き上げる起爆剤となるのか。海外の国や企業は待ってくれない

 「霞が関クラウド」とは、上述の通り、単なる供給能力を増大させる(ICT基盤を整備する)だけのものでは効果がありません。
 総需要を刺激することが不可欠です。その順番として、まずは「新たな生産力を生まない投資」(=政府による社会資本整備のための投資)が必須。それには、継続的かつ大規模な財政出動を通じた、新たな「内需型社会資本大国」を目指した“国のかたち”を描くことが求められます。

 「クラウド」1つとってみても、総務省のみならず財務省やその他関係省庁(国交省、環境省、経産省、文科省・・・)らの横断的な取り組みが求められます。
 そのための抜本的なアクションには、公務員制度改革や道州制の導入が前提となることでしょう。話題が広がり過ぎますので、この件はまた別途としましょう。

 マスコミの論調で気に食わない点の1つは、例えば、「海外の国や企業は待ってくれない」といった件(くだり)です。
 これは、冒頭の「【A】IT革命を通じた時空間の開放により・・・」に関することを是認する言い方だからです。
 これを是認することの大きな流れは、もはや無視できないことを私も認めますが、他方「【B】菅大臣が打ち出した継続的かつ積極的な財政出動により実現可能な、新たな“内需型社会資本大国”に向け・・・」なる視点も(こそ)、今の日本経済には重要だということを強調しておきたいと思います。

 急がば回れで、【A】グローバリズムに合わせることの前に(あるいはそれと並行して)、【B】内需型社会資本大国を目指した新たな国づくり、別の表現としては、もはや満ち足りている“消費欲求”ではなく、“社会欲求”にこたえ、国民の生活の質(QoL)向上につながるようなサービスを開発(その需要を喚起)し、そのための情報通信基盤(通信ネットワークやデータセンタ-設備、そしてそこに備わるクラウド機能)の整備を官民挙げて進めることが大切だと思います。そして、それがひいては「日本のIT競争力を引き上げる起爆剤」になるものと考えます。


 以上、補足・追記していますが、日経の○○記者には、ざっとこのようなことの骨子をお話ししました。新聞記事になったりテレビで報道されたりするのは、コラムの紙面やテレビ画面・放映時間の制約(もしくは取材者の感度・好みなど)により、そのごく一部が切り取られて読者・視聴者にコンテンツが届けられる、と言うことです。(^-^)
 

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2010年1月18日 (月)

【講演】JEITA(大阪支部):日本経済とICT産業を浮揚させる方策

 本日は2009年2月10日(水)です。
 2009年1月18日(月)に、社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA: Japan Electronics and Information Technology Industries Association)から招かれ、大阪で「日本経済とICT産業を浮揚させる方策」と題する講演を行いましたので、バックデートにより備忘録として、概要をアップしておきたいと思います。

 JEITAさんからは、東京でもおよそ似たような場を少し前にもったことがあります。

 下述の各項目はこれまでのように、ほぼ同じようなものが並んでいると思いますが、今回は、「リーマン・ショック」以降のグローバル経済・金融状況を踏まえ、データなども極力新たなものにリフレッシュ致しました。

 また、多少時間の余裕もありましたので、≪付属≫として、「地球温暖化問題の核心」につきましても、簡単にレクチャー差し上げました。何となれば、産業界の皆さんは、この問題についての知見が殆ど無く、海外のロジック・打ち手により、なすがままにされ、結果、自らの産業界の競争力を大きく減じている実態があるからです。

 当日はJEITAさんの21年目の記念すべき会合のようでした。1990年頃に当会合が開催された模様です。なお当日のことにつきましては、私は後日知ったのですが、『電波新聞』でも紹介されていたようです(未確認)。

 村田製作所、加美電子、ホシデンなどの会員企業の社長さん、その他シャープ、パナソニック、ローム、アルプス電気、京セラ、太陽誘電、東芝、日立製作所、三菱電機、TDKなど、約60名ほどの皆さんがお集まりになりました。

 講演後、懇親会が催され、グラス片手に、より突っ込んだ話も皆さんとすることができました。

 その皆さんの中には、「このような話は初めて聞きました。まったく目からウロコでした。」、また「この話が本当であれば、私たちは大きな勘違いをしていました。」とか、「もっと長い時間をかけ、じっくり聞きたいものです。」といった類の感想がありました。

 この種の感想は、ここ2年間ほど、産業界、霞が関官僚のみなさん向けにお話しした際、あるいは大学院のビジネススクールなどでレクチャーした際に、手前味噌ながら、ほぼ共通的に必ずといってもよいぐらい出てくるものです。
 こう書いているのは、このことを私が自慢したいのではなく、問題の核心を日本の産業界も、よく研究する必要があるのではないか、ということなのです。核心をはずした観点で、「国際競争力をつけよう」などと息巻いても、所詮それは無理なのです。

 こうした機会は、私にとっても、直接的な産業界の皆さんの反応を体感でき、大変貴重な場です。そのことを毎回しみじみ想うのであります。


=====≪quote≫

■■■日本経済とICT産業を浮揚させる方策(現下の金融危機問題を解きながら)

≪要旨≫

 これまでの政権が財政出動(ケインズ政策)を何度となく実施し、また、市場機能を重視し民営化・自由競争・規制緩和などの構造改革(新古典派・シカゴ派)などを、官民挙げて懸命にわが国は行ってきたにもかかわらず、先進国で唯一、なぜ日本経済は一向に浮揚・成長しないのか(15年超もデフレが続くのでしょうか)。
 そうこうしている内に未曾有の金融危機・金融恐慌が、世界経済を覆いつくそうとしています。日本経済はこれからどうなるのか、基幹産業はどうなってしまうのでしょうか。また、米国(一極覇権型)から中国などの新興国(BRICs、VISTA、NEXT11)への(政治)経済覇権が急速に移行(多極覇権型)していくのでしょうか。
 経済が浮揚しない真の理由・原因とは何か。そして、その解決策または抜本的な奥の手(財源問題含む)はあるのか。
 グローバル経営(欧米やBRICsなどの国々の多国籍企業や政府の取り組み)を主軸に、私の日頃のリサーチ・コンサルティングの仕事や、国への政策提言活動などを踏まえ、現下の金融危機問題を解きながら、こうした重要な事項(日本経済とICT産業を浮揚させる方策)について考えてみたいと思います。

■■■講演内容の構成

【1】情報通信業界を取り巻くマクロ経済環境の現状

■グローバル化を通じた“勝ち組・負け組”も金融危機後は総崩れ
▼金融危機後の主要電機メーカーの円高の影響が利益を吹き飛ばす
▼金融危機後の主要電機各社リストラ計画により日本経済のデフレギャップがさらに増大
▼日中貿易額は毎年増大傾向にあり米国よりも存在感大
▼日本における対中輸出・輸入品目の推移に見られる産業空洞化
■政府・エレクトロニクス産業界の考える「国際競争力向上のための方策」
■中国の輸出競争力の背景には「人民元安」があったが早晩切り上がる
≪参考≫膨大な外為資金運用による外需下支え(内需向け資金不足)
≪参考≫為替レートのあるべき調整と現状
■“政治覇権国・金融帝国”化とグローバル構造下における投資と消費のメカニズム
▼なぜ、今後はやはり「中国」なのか?


【2】経済も浮揚もせず国際競争力も落ちる要因・課題

■経済成長(景気回復)のメカニズム
▼「年次改革要望書」とは何か?
▼『年次改革要望書』に見るオバマ政権の意志
≪参考≫「CHANGE」?されたオバマ政権の主要閣僚・顧問らの顔ぶれ
■内外主要ファンドの一覧
▼「ファンドの貪欲」
≪参考≫外国人投資家の売買行為により日経平均株価は十分影響を受ける
■金融ビッグバンによる資金流出(日本経済に使われなかったマネー)


【3】抜本的な解決策としての現状再認識

■信用創造量と名目GDP伸び率の関係
≪参考≫日米の金融政策比較
■米ダウ平均株価の長期上昇トレンドのなか最近の株価下落はどこまで進むのか?
▼クレジットデリバティブのメカニズムと証券レバレッジによる新型の信用創造
■巨大複合金融機関LCFIとのその役割とスキーム(Ponzi scheme)
▼世界の銀行の総資産の大きさに見る世界覇権(金融経済)の動き
≪参考≫世界の巨大銀行(25行)の2009年の総資産
▼驚くべき最近の米国連邦準備銀行(FRB)の資産推移!
≪参考≫米GDPに占めるFRB総資産の急増ぶりに見る国家破綻への兆し
≪参考≫国家破産の方法(John Maynard Keynes)


【4】経済と情報通信産業を簡単に浮揚させるための方策

■主要国GDP比較に見る日本の経済成長の低迷さは異様
■部門別の資金過不足推移と日本経済の低迷と水準維持のメカニズム

【第1の方法:国債発行】世界のGDPに占める日本の存在感と財政出動
■日本経済に「デフレギャップ」は殆ど存在しない!?
≪参考≫GNPギャップ(デフレギャップ)の定義
■真のデフレギャップの規模
■GDP=「乗数効果」×「有効需要支出」ゆえデフレ下では「社会インフラ投資」が有効
≪参考≫「日経NEEDS」モデルによる大規模な財政拡大シミュレーション
≪参考≫債務残高の対GDP比による国際比較の誤解
≪参考≫日本の新規財源債発行額(年間)とその残高および長期金利の推移
≪参考≫「税収の対GDP弾性値」は大きいため借金返済ペースの方が速い

【第2の方法:日銀の国債直接引受】日銀からの国庫納付金を通じた実質的な無利子国債発行による財源調達
▼危機下で学ぶべき高橋是清の教訓:財政危機の「出口」戦略描け
≪参考≫両大戦間期の日本における経済成長率とインフレ率

【第3の方法:政府紙幣発行】即効性のある景気対策と年率10%の経済成長
▼スティグリッツによる「政府紙幣」発行の提案
■総務省「デジタル日本創生プロジェクト(ICT鳩山プラン)」骨子
▼デフレギャップ(真の財源)利用した経済対策と劇的な効果
≪参考≫「グローバル・トップワン」が本当に必要か?
■「ミクロ」に固執し「マクロ」の視点を欠いた日本の不思議
▼ ICT産業が採るべき未来の発展パターンと「飛躍の10年」
■将来の基幹産業(サービス群)を生みだすPF層やNW層への投資
■今後の需要喚起が期待されるのは「社会ニーズ」を満たす分野


≪付属≫地球温暖化問題の核心

≪参考≫CO2とCH4濃度と気温変化
≪参考≫エルニーニョとCO2濃度の変化の関係
▼地球温暖化の真因は太陽の黒点活動
▼温暖化へのCO2影響度は僅か(むしろ雲=水蒸気が主因)
▼気温は過去100年間以上(CO2増加の前から)上昇基調にある
▼国連組織IPCCのこれまでの動き

=====≪unquote≫

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2009年12月 2日 (水)

【講演】「NTT版クラウド」に求められること・想うこと

 日経BP社『日経コミュニケーション』誌の松本編集長からの、少し前のご依頼により、同誌が主催するセミナー(「NTT版クラウド」の実像)での終盤にあたる、パネル・ディスカッション「NTT版クラウド」への提言に関することで、私も登壇することになっています。

 そのご案内をここに貼っておきます。また、一番下に、私が想うことを記しておきます。

=====≪quote≫
■「NTT版クラウド」の実像
http://coin.nikkeibp.co.jp/coin/ncc/semi/0912/
(2009年12月10日、日経BP社『日経コミュニケーション』誌)

 2009年に業界を席捲した「クラウド・コンピューティング」に向けて,日本の通信事業最大手のNTTグループが本格的に動き出しました。米国のグーグルやアマゾン・ドットコム,マイクロソフトなどが提唱するクラウドとは異なり,NTTはグループ内で構築するNGN(次世代ネットワーク)やLTE(long term evolution)網の機能を生かし,その上位にあるクラウドで通信事業者ならではの信頼性と安全性を高めたサービスを展開しようとしています。

 本セミナーでは,NTTグループのクラウドを理解するため,その基幹技術である「CBoC」の開発を進めるNTT情報流通プラットフォーム研究所をはじめ,クラウドを使い企業向けサービスを展開するNTTコミュニケーションズとNTTデータ,クラウドを支える基盤網NGN(次世代ネットワーク)を運営するNTT東日本,無線ネットワークとクラウドとの連携で新しいサービス像を描くNTTドコモのキーパーソンが,それぞれの役割からクラウドの実像を詳しく解説します。

 さらに国内外の通信事業に詳しい日本総合研究所の新保主席研究員と海外のクラウド・コンピューティングへの造詣が深い早稲田大学の丸山客員教授が,ディスカッション形式でNTT版クラウドの課題整理とNTTグループへの提言を行います。加えて,NTT(持ち株会社)でグループ内のクラウド戦略を指揮する宇治副社長に,登壇をいただくことが決定いたしました。

 NTTグループはNGNの構築時点から業界の枠にとらわれないパートナシップを標榜し,様々な企業とネットワーク基盤を活用したサービスの開発を進めています。ただグループ内のNGNやLTE網などの基盤インフラに加えて,プラットフォームやアプリケーションの実効環境をどの機能をどの範囲までグループ外のパートナ企業に公開するかなどはまだ明確に見えていません。その一端がセミナーの講演の中に見えるかも知れません。

 本セミナーは,クラウドを利用したいユーザー企業様やパートナ企業様だけなく,NTT版クラウドの進展によるビジネスモデルの変化を読み取りたい通信業界の皆様に,有益な情報をお届けいたします。
 通信事業にかかわる皆様にとって,今後の戦略を考える好機となるでしょう。ご来場をお待ちしています。

開催概要
日時 :2009年12月10日(木)12時30分開場、13時00分~17時45分
会場 :青山ダイヤモンドホール 地下1階 サファイアルーム(東京・表参道)
主催 :日経コミュニケーション
(略)

プログラム

13:00~13:15
開催挨拶
 日経コミュニケーション編集長
* 松本 敏明

特別ゲスト
 NTT 代表取締役 副社長
* 宇治 則孝氏

13:15~14:00
技術解説 クラウド・コンピューティング技術CBoCの全容
 NTT情報流通プラットフォーム研究所 所長
* 後藤 厚宏 氏
 NTTグループは,これまで通信事業者として培ったノウハウをどうクラウド・コンピューティングに生かすのか。キャリア・クラスの信頼性をもたらす管理・制御技術である「CBoC」(Common IT Bases over Cloud Computing)のコンセプトを中心に,クラウドが目指すサービス像とそのために不可欠な技術を解説する。

14:00~15:00
ビジネスモデル BizCITYとSettenで広がる企業のクラウド環境
 NTTコミュニケーションズ
 ビジネスネットワークサービス事業部 部長
* 原 隆一 氏
 NTTコミュニケーションズでは,セキュアかつユビキタスなプライベート・クラウド環境を実現するICTサービスを“BizCITY”としてラインナップし,順次拡充を進めている。本セッションでは、“BizCITY”への取組みについて,通信事業者としてのクラウド・サービスへのアプローチとクラウド基盤技術“Setten”を活用したサービスの展開など,今後のビジネス展開を含め紹介する。

NTTデータのSaaS/PaaSプラットフォームが実現すること
 NTTデータ ビジネスソリューション事業本部
 サービス&プラットフォームビジネスユニット ビジネスユニット長
* 中井 章文 氏
 NTTデータは,プライベートクラウドの構築からパブリッククラウドのためのサービスプラットフォームまで,統合的にサービスを提供する。中でも,来春提供予定のアプリケーション&プラットフォームサービスのためのプラットフォームは,立ち上げまでのリードタイムや導入コストの削減を実現する基盤として,企業ニーズに柔軟に対応していく。今回はそのプラットフォームを中心に取り組みを紹介する。

15:00~15:15 休 憩(15分)

15:15~16:00
基盤技術1 クラウドを支えるNGNの最新技術
 NTT東日本 ネットワーク事業推進本部
 研究開発センタ
 ネットワークシステム開発担当 担当部長
* 相原 正夫 氏
 NTTグループが推進しているNGN(次世代ネットワーク)は,ユーザーがNTT版クラウドを利用するうえで鍵を握るインフラである。NGNが備える「帯域保証」や「回線認証」といった機能のほか,キャリアグレードの高信頼性を支える技術について分かりやすく解説する。

16:00~16:45
基盤技術2 LTEによる無線高速化と端末・ネットワーク連携でクラウドはこう変わる
 NTTドコモ 研究開発センター
 サービス&ソリューション開発部 部長
* 栄藤 稔 氏
 NTTドコモが2010年のサービス開始に向け構築を進めている「LTE」(long term evolution)網は,クラウド環境への高速無線アクセス・インフラとして期待される。この高速アクセス網によるモバイル端末とクラウドの連携が生み出す全く新しいサービスの姿を提案する。

16:45~17:00 休 憩(15分)

17:00~17:45
パネル・ディスカッション: 「NTT版クラウド」への提言

≪パネリスト≫
 日本総合研究所
 理事・主席研究員
* 新保 豊 氏

 早稲田大学大学院
 情報生産システム研究科 客員教授
* 丸山 不二夫 氏

≪モデレータ≫
 日経コミュニケーション 編集長
* 松本 敏明
=====≪unquote≫


 私の「クラウド・サービス」に関する問題意識のみ、ここに記しておきたいと思います。

◆海外(特に米系)企業の動きを見る視点:

* Google社やAmazon.com社あるいはSalesforce.com社においての共通点は、サービスに求められる品質が必ずしもキャリアクラスの保証(SLAにより99.99%)を伴うものではない点(99.9%でOK)が挙げられます。
 この差をどう見るかは、ユーザー企業によって、かなり異なるはずです。例えば、一刻を争う金融や軍関係、生命の安全を左右する医療分野などでは、意味合いが違うはずです

* ただ、それ以外の一般サービスにおいては、この差よりも、「価格」や「利便性」の方が、「機能」や「信頼性」よりも、ユーザーにとっての価値が高いのでしょう。従って、これら米系企業の躍進があり、同時に日本企業にとっては脅威になっているのです。
 ちなみに、マーケティング上の「購買階層モデル」(またはスライウォツキーのマイグレーションモデル)では、①機能→②信頼性→③利便性→④価格の順で、ユーザーにとっての価値分布がマイグレーションされていくとされます。


◆「クラウド」(≒XaaS)の持つグローバル・マクロ経済的な視点:

* まず、「XaaS」(SaaSやクラウドなど)という言葉について。一体誰が名付け親(仕掛け人)なのでしょうか。最近の金融や経済の分野では、「BRICs」や「NEXT11」にしろ、たいがいGS International(ゴールドマン・サックス・インターナショナル)社(@London)がネーミングし、グローバルな市場を“リード”しています。
 ICT分野においても、今のグローバル経済をにらんで、きっと仕掛け人がいるはずです。私はいつもそう睨んでいます。

* この言葉を分解してみましょう。
 最初の「X」とは、下層から上層に順に、「Infrastructure」、「Hard」、「Platform」、「Service」あるいは「Knowledge」の頭文字を意味します。「IaaS」、「HaaS」、「PaaS」、「SaaS」、そして「KaaS」のように。

 特に私は、日本経済が深刻なデフレ下にあって、「Infrastructure」が鍵を握っていると思います。ちなみに、日本経済のデフレについて、実際は1970年代から始まっており、遅くとも1993年頃から深刻な状況にあります。今年になって、政府や日銀がようやく公認したようですが、休眠状態から本当に覚めたことを願うばかりです。

* そして、「S」。これは様々なサービスやアプリケーション(APL)を意味するものです。「クラウド」(≒XaaS)全体が上位層サービスといった位置付け・理解となっているようで、これからは「サービス」だと期待が集まっています。
 悲しいかな、ここが情報通信産業全体が抱える盲点そのものなのです。

 デフレ不況下で、国民の所得(購買力)が減少しているなか、消費は上向きません。消費と言う被説明変数は、所得と言う説明変数との関係にあって、見事に因果関係(ほぼ比例のような関係にあることが実証されています)があるのですから。
 つまり、いくら「X」部分の供給側(ICT設備など)を拡充しても、効果はさほど得られないのです。デフレとは、「総供給>総需要」にある状態のことです。物価(消費者物価またはGDPデフレーター)の下落が連続で何ヶ月続くといった定義(政府・日銀やIMF)が、そもそも誤っているのです。その定義は、あくまで現象面を語っているに過ぎません。

* 問題は、所得の減少。では、いかにすれば増大できるか。
 資金(マネー)のICT産業への投入です。必ずしも最初は「民間投資」を意味してはいません。ICT企業は現下、投資したくとも有望案件がなく投資できないのですから。

 従って、解決策は国民(消費者)の貯蓄からのマネーの移動か、新たなマネーを創って市場に投入するか、消費者に手渡しすることが有効です。
 もちろん前者については、社会不安などが背景にあって、財布の紐はきつく締まったままですから、今は期待できません。

 残る選択肢は、政府が支出する(財政赤字を発生させる)しかないのです。このことは決して悪いことではなく、今の日本経済にとっての必然なのです。膨大なデフレギャップ(GDPギャップ)が存在しますので、新たなマネー(例えば、50兆円ほど)を経済に注入してもインフレになることは、まずありえません。仮にあったとしても、インフレを抑止するのは、そう難しいことではないのです。

* 長くなりますので簡単にしますが、上述の通り、だから「Infrastructure」に意味があるのです。政府の社会基盤投資(新たな公共投資)と連動させて行うことが有効です。
 この接点なくしては、単に日本経済下にあって、さらに総供給を増大させ、デフレギャップを大きくするだけとなってしまいます。ここにいかに知恵を結集できるかが、実は「クラウド・サービス」の明暗を分けることになるでしょう。 

* グローバル経済における「クラウド」(≒XaaS)とは、一体どのような意味を持つのか。
 BRICSやNEXT11において、まず、だぶつき(過剰流動性)気味のマネー(もしくはIMFなどが日本・他から引き出して手にしたマネー)を投入し、それら国々の購買力を高めます。所得向上のかたちで、高いGDP成長を促します。

 次に、様々な「X」なる供給側の基盤を安価に整備します。そうすれば、これらの国々では「S」が盛り上がります。グローバル・マクロ経済的にはこうなるのです。この新古典派経済学的なアプローチで、世界を経営(マネジメント)しているメカニズムが働いているのです。
(ちなみに、新古典派経済学的なアプローチとは、殆ど経済学とは言えない代物で、経営学と言った方が近いもの。だからMBA流経営学のみを身に付けた経営コンサルタントとも相性がよいのです。)

 いわば、米系企業など(あるいはMNEs=多国籍企業)が、世界の国々の複数市場をあたかも1つ市場として活躍(Conduct)できるよう、グローバルベースでの市場構造(Structure)を創るのです。そうなれば、そのグローバル市場で最も有利にその果実(Performance)を手にできると言うわけです。産業組織論における、シカゴ学派の「CSPパラダイム」の実現ですね。^^;

  

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2009年11月26日 (木)

【マスコミ記者勉強会】政権交代に伴う世論の変化やオルタナティブメディア台頭に伴うマスメディアの行方(補足)

 昨日予定通り、マスコミ記者勉強会が弊社(千代田区一番町)オフィスで行われました。
 私が名刺交換をした皆さんは、読売、朝日、日経、時事通信、日刊工業、東洋経済、ブルームバーグ、モーニングスター、そして下述のJ-castニュースから来られた記者でした。

 早速、当日の夜半には、次のような記事がネットにアップされました。

=====≪quote≫
■「マスメディアからネットメディアへ」 ジャーナリスト大移動は起こるか?
http://www.j-cast.com/2009/11/25054712.html

(2009/11/25 20:15、J-CASTニュース )

   地盤沈下する「マスメディア」からネットを基盤に台頭する「オルタナティブメディア」へ、ジャーナリストのマイグレーション(移動)が起きようとしている――日本総合研究所の理事・主席研究員で、通信メディア・ハイテク分野の経営戦略を専門とする新保豊氏は記者向けの勉強会で、メディア業界の未来図をこう予想した。新保氏はアメリカで起きている事例を紹介しながら、「メディアビッグバンがいよいよ生きた言葉となってきている」と語った。

   勉強会は2009年11月25日、東京都千代田区の日本総研で開かれ、新聞社や通信社などに勤務する記者たちが聴き入った。新保氏は、アメリカの新聞事情を中心にマスメディアが置かれた状況を概観。ほとんどの新聞の発行部数や広告収入が落ち込む一方で、インターネットメディアが着実に伸びている様子を説明し、「景気が回復してもマスメディアの地盤沈下は続く」と厳しい見通しを示した。
(略)
=====≪unquote≫

 私のレクチャーの後半部分のポイントをうまくまとめて下さっています。
 ネット上の書き込みをみると、マスコミに対する厳しい見方が多いようです。その当たりのトーンについては、私もほの同感です。読者離れ(コンテンツへの飽き)が急速に進んでいるものと感じます。

 当日の資料では、冒頭で次のようなことをお話ししました。

▼新聞の発行部数の推移
* GDPは名目で見ても微増かゼロ成長にあって、新聞発行部数は減少
* 「1世帯あたりの部数」は▲1.7%
  ⇒新聞離れの背景には何が起こっているのか?

▼新聞の総売上高の推移
* GDPは名目で見ても微増かゼロ成長にあって、新聞の総売上高は減少
* 「広告収入」▲4.1%に加え、「販売収入」▲0.5%
  ⇒新聞離れの背景 : 
  ①購買力低下(デフレ不況下の所得減ゆえ)
+②コンテンツへの飽き(国民の価値観の変化ゆえ)?

 私が重視したのは、上記②に関することです。このことをマスコミの皆さんに知って欲しかったのです。

 そこで、下述のような資料の構成としたのです。
 私が強調したかったことは、「【2】日本のマスメディアの最近の論調(マクロ経済・財政、構造改革、CO2地球温暖化など)」に関し、≪参考≫として示した「様々な俗説・常識」に対するものです。
 ことここ日本では、「俗説・常識」になっていたとしても、世界の「非常識」もしくは日本(国民)には本当のことを知らせておかないことが、結構あるのです。

 まさにノーム・チョムスキーが、「MANUFACTURING CONSENT: NOAM CHOMSKY AND THE MEDIA」(1992年)で言っていることです。

マスメディアは・・・
①なぐさみと娯楽と恐怖を与える (働くだけに隷属させる)
②ニュースを選別する (国民は教化の対象)  
③反対意見を小さく見せる  (世論の誘導)
④本当に重要な問題を語らない (現体制の保持)
⑤ただ過大な利潤を求める (広告主のみを見ている)
⑥人びとを孤立させる (考えさせない、気付かせない)

(注)上記①~⑥のカッコ内の記述は、私が補足。


=====≪quote≫
「政権交代に伴う世論の変化やオルタナティブメディア台頭に伴うマスメディアの行方」

2009年11月25日(水)14:00~15:30

新保 豊
JRI 日本総合研究所 理事・主席研究員
(通信メディア・ハイテク戦略クラスター長兼務)

【1】マスメディアの最近の傾向(現状認識:新聞・テレビの存在感の低下)

■広告費に見るインターネットとマスメディアの明暗
▼米国と日本における新聞発行部数の比較・ランキング
▼新聞の発行部数の推移
▼新聞の総売上高の推移
≪参考≫新聞の広告量推移

【2】日本のマスメディアの最近の論調(マクロ経済・財政、構造改革、CO2地球温暖化など)

■「経済成長(景気)や経済予測」に関する最近の論調
≪参考≫主要国GDP比較に見る日本の経済成長の低迷さは異様
≪参考≫金融ビッグバン(国際会計基準など)と資金流出
≪参考≫膨大な外為資金運用による外需下支え(内需に資金が回っていない)
≪参考≫信用創造量と名目GDP伸び率の関係
≪参考≫日米の金融政策比較
≪参考≫部門別の資金過不足推移と日本経済の低迷と水準維持のメカニズム
≪参考≫日本経済に「デフレギャップ」は殆ど存在しない!?
≪参考≫GNPギャップ(デフレギャップ)の定義
≪参考≫日経新聞における潜在成長率の定義
≪参考≫内閣府モデルによるデフレーター予測値と実際値との乖離
≪参考≫ケインズの乗数効果を考える
≪参考≫内閣府の乗数値を使った実質GDPの押し上げ効果試算
≪参考≫GDP=「乗数効果」×「有効需要支出」
≪参考≫世界のGDPに占める日本の存在感と財政出動
≪参考≫非現実的な経済財政モデル(内閣府モデル)

■「財政」に関する最近の論調
≪参考≫債務残高の対GDP比による国際比較の誤解
≪参考≫日本の新規財源債発行額(年間)とその残高および長期金利の推移
≪参考≫真のデフレギャップの規模
≪参考≫名目GDPの成長率と税収の伸び率および税収のGDPにおける弾性値
≪参考≫デフレギャップ(真の財源)利用した経済対策と劇的な効果

■「構造改革」に関する最近の論調
≪参考≫「CHANGE」?されたオバマ政権の主要閣僚・顧問らの顔ぶれ
≪参考≫オバマ政権への期待、その幻想と真意を知る
≪参考≫『年次改革要望書』に見るオバマ政権の意志

■「地球温暖化の原因?CO2削減」に関する最近の論調
≪参考≫ CO2濃度変化(原因)と気温変化(結果)の因果関係は逆
≪参考≫温暖化へのCO2影響度は僅か(むしろ雲=水蒸気が主因)
≪参考≫気温は過去100年間以上(CO2増加の前から)上昇基調にある
≪参考≫国連組織IPCCのこれまでの動き
≪参考≫原発と原潜からの廃温水で海温は上昇

■「原発・原子力」に関する最近の論調
≪参考≫低く喧伝されている原発コストと非効率なエネルギー利用効率
≪参考≫専門家のアバウトな想定式を判断基準に置いている危うさ
≪参考≫PWR(加圧水)型燃料集合体の構造と汚染冷却水の海中への還流
≪参考≫核燃料サイクル施設と活断層地形
≪参考≫再処理工場や英セラフィールドからの広範囲の放射能汚染
≪参考≫最近の米国と過去の日本での水/CO2と地震の関係

【3】メディアの変遷と将来シナリオ(マスメディアからオルタナティブメディアへ)

■メディアの分化(メディア2.0の出現)
≪参考≫メディア2.0市場の位置づけ
▼マスメディアとメディア2.0の社会的影響力
≪参考≫メディア内の主体構造の変化

■オルタナティブメディアへの変遷
≪参考≫米国The HuffingtonPost(創業4年のオンライン新聞)の躍進
≪参考≫News Corporationグループに見るグローバル市場での独占・寡占化

■シナリオ別のマスメディアのゆくえ
▼トレンド・シナリオA
* マスコミの地盤沈下続く
* インターネットの存在感増大
▼激震シナリオB
* マスコミのビジネスモデル瓦解
* オルタナティブメディアとの主役交替(シナリオB1)
* インターネットの終焉(シナリオB2)

■最後に
=====≪unquote≫


 長くなりますので、上記内容については、今回は触れません。

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2009年11月20日 (金)

【マスコミ記者勉強会】政権交代に伴う世論の変化やオルタナティブメディア台頭に伴うマスメディアの行方

 今朝(2009年11月20日〔金〕)、私の所属する会社の広報部から、来週私が担当することになっている「マスコミ記者勉強会」向けのアナウンスがありました。
 当件は、金融記者クラブ、経済研究会、財政研究会、経済産業記者会、金融庁記者クラブ、霞クラブにて登録しているようです。

 当ブログには、マスコミの皆さんも多少はアクセスがあるようですので、少し補足しておきます。

 恐らくアナウンスされた文面は、次のものになると思います。
 若干、オリジナルの文章が、マスコミさんを意識 してか、欠落していますので、それをここで補っておきます。このことは、本当はとても大事なことなのです。


■公開版

=====≪quote≫
 今般、下記内容にて勉強会を開催する運びとなりました。
 お忙しい中とは存じますが多数のご参加を賜りますようお願い申し上げます。

                            記

1.日 時 :
 2009年11月25日(水)14:00~15:30
    
2.場 所:
 日本総合研究所 東京本社
 東京都千代田区一番町16番
 <地図>→ http://www.jri.co.jp
 電話:(03)3288-4606(広報部)

3.テーマ:
≪次世代の国づくり」記者勉強会≫
『政権交代に伴う世論の変化やオルタナティブメディア台頭に伴うマスメディアの行方』

 新政権へ移行後、国民にとっての価値観の変化、所得減少に伴う購買力の低下など、マスメディアを取り巻く環境も大きく変化しようとしています。

 今回は、マスメディアの影響力の減退や、勢いを増すインターネットメディア(=オルタナティブメディア)の台頭など、メディア界を取り巻く現状を確認した後、メディアのビジネスモデルや関連制度が持つ課題や、現在、日本のマスメディアが陥っている矛盾などに触れ、マスメディアやオルタナティブメディアの将来シナリオについて、理事の新保豊が解説を試みます。

※今回はご参加の皆様と活発な意見を交わしながらの勉強会にしたいと思いますのでディスカッションスタイルの会場を用意しております。

4.出席者:
 理事  新保 豊

*ご参加にあたっての事前予約等は不要です。当日直接会場にお越し下さい。

以上
=====≪unquote≫


 世の中に事なかれ主義が蔓延しているのか、あるいはどの会社の広報部にとっても、マスコミさんは、彼らにとっての“お客様”となっているため、あまりストレートに表現できない事情・立場があります。きっとそう言うことでしょう。^^;

 シンクタンク・コンサルティング業界の者(特に研究員、エコノミスト、コンサルタント)が、マスコミにおもねるようになれば、お終いです。どちらが上だという話しではなく、お互いよき牽制作用が機能する関係を構築しておくこと、それを維持できること、これらのことが尊いのです。

 オリジナルの文章(テーマの概要)では、下述のように、青字下線部のものがありました。

■オリジナル版

=====≪quote≫
(略)

3.テーマ:
≪次世代の国づくり」記者勉強会≫
『政権交代に伴う世論の変化やオルタナティブメディア台頭に伴うマスメディアの行方』

 新政権へ移行後、国民にとっての価値観の変化(正しいものに対する目覚めの兆し)、所得減少に伴う購買力の低下など、マスコミを取り巻く環境(コンテンツの質要素、財務要素)も大きく変化しようとしています。

 今回は、マスコミの影響力の減退や、勢いを増すインターネットメディア(≒オルタナティブメディア)の台頭などマスコミを取り巻く現状(カニバリズムの拡大)を確認した後、マスコミのビジネスモデルや関連制度(寡占・独占状態を許容してきたもの)が持つ課題や、現在、日本のマスコミが陥っている矛盾・間違い(世界の経済・金融、マクロ経済・財政、環境・エネルギー問題についての日本の非常識)などに触れつつ、マスメディアやオルタナティブメディアにとっての将来シナリオ(トレンド型、激震型)について、弊社理事の新保豊が解説を試みます。

(略)
=====≪unquote≫

 臭いものに蓋をしたままでは、本当の知識と実態をつかむことはできません。

 当日、私が説明できる時間は1時間ほどでしょうから、あまり広く・深く、それぞれの内容面(日本の非常識:マクロ経済、金融、財政、環境エネルギー問題など)を掘り下げることはできないでしょう。

 また、日本のマスメディアは、その発行部数や広告・販売収入の減少(新聞)や視聴率低迷(テレビ)など、このままではジリ貧必至です。

 その背景には、 ①購買力低下(デフレ不況下の所得減ゆえ)②コンテンツへの飽き(国民の価値観の変化ゆえ)といった大きな要因が横たわっているのです。

 私は日本のマスコミの場合、同①以上に同②に関する要因が深刻だと考えています。そして、その舵取りを見誤ると、「激震型シナリオ」を踏むことになるのではないかと・・・

 米国では、特に同②に対する動きとして、例えば、『HuffingtonPost』などの無料・広告ビジネスモデルを主とするオンライン新聞がブレイクしています。今や900万ほどの購買者数を獲得し、WashingtonPost(オンライン版)を抜き去る勢いがあります。

 『Democracy Now!』では、寄付(donation)モデルを主とする運営が行われているようです。マスメディアに替わる、「オルタナティブメディア」の先駆けのような存在です。ここが取り上げるコンテンツ(映像作品など)は、私も社会人MBAの授業で取り上げています。とても勉強になるものばかりです。日本のマスコミが、報道しないため、一部国民(覚醒した市民)にとって、この種のコンテンツでなければ、もはや満足していないのだと思います。

 その他、有料購買モデルとして、元ジャーナリストなどによる大変充実したスタッフを抱える『politico.com』(米国Washington D.C.)などがあります。ここは年200ドルの購読料をとりながらも躍進し、米国のメディア業界にあって異彩を放っています。

(注)読者からのコメントを下に記し(再掲)、訂正・補完しておきたいと思います(2009年12月5日)。
=====≪quote≫
 上記記事で、Politico.comへの言及があり、年200ドルなのに躍進している云々とありますが、誤解を招きかねない表現でしたので一言。
 200ドルというのは、議会会期中は連日発行される紙の新聞を配達(おそらく全て郵送)してもらう場合の料金です。国内は一律で、海外は600ドルです。
 ワシントンDC内外では無料配布です。もちろん、サイト閲覧はすべて無料です。
=====≪unquote≫
  このBlogでは示していませんが、私が説明に使った「2×2」マトリクス、つまり、横軸の左側に「マスメディア(オールドメディア)、同右側に「インターネットメディア(オルタナティブメディア)、また縦軸上側に「無料(広告)モデル」、同下側に「有料購読モデル」において、『Politico.com』は右下部分と同時に左上部分でもある、ということになります。



 日本では、『田中宇プラス』(半年で3,000円)などもあります。私も愛読者の一人です。田中宇(たなか・さかい)さんによれば、30万人ほどの読者がいるようです。こうなると、確か30万台の英『GUARDIAN』や仏『Le Monde』に迫る勢いです。素晴らしい。

 このような元ジャーナリストによる高質記事のコンテンツへの魅力度が高まるにつれ、既に米国などでは胎動しつつある、「ジャーナリストのマイグレーション」、つまり、メインストリートに現在所属しているジャーナリストの、マスメディア業界からオルタナティブメディア業界への移動(ジャーナリスト自身の覚醒)が、早晩日本でも起こることが考えられるのです。そうなって欲しいと考えています。(^-^)

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